2017.03.28 |暮らし

もう断捨らない!認知症なりたくないなら「片づけすぎ」に注意

 介護施設に入居したり、伴侶を亡くすなどで子供の家で同居し始めたりした途端、認知症になるケースが少なくない。「“断捨離”によって思い出を振り返る機会を失うと、脳の機能が衰え、孤独感からも認知症のリスクを高める可能性が」と脳科学者の加藤俊徳さんは警告する。認知症にならないために、捨てすぎない片付けについて考えてみました。

Kurhan150300774.jpg - moving boxes in new house.

写真/アフロ

まず、あなたの記憶力をチェック!

□ 顔は思い浮かぶが、名前が出てこない
□ 物を取りに席を立ったが、何をしようとしたか忘れる
□ スーパーなどでよく買い忘れをする
□ 昨日食べた物を思い出せない
□ 会話の中で「えーっと」「あのー」が増えた
□ 先の予定を立てられず、行き当たりばったりの生活だ

 1個でも当てはまる人は、注意が必要!

高齢者の引っ越しは、認知症の危険を増す

 高齢になると、広い家での生活は不便になる。そこで、住み替えなどで自分の生活スペースを狭める人は少なくない。

 長年の脳の研究で記憶とものの関係に気づいたという、医師の加藤俊徳さん。特に、高齢者の引っ越しは認知症への近道になると指摘する。

「年老いて子供と同居する場合、家事はもちろん、探しものなど手助けしてもらえて便利にはなる半面、頭を使ったり、体を動かすことが減ります。さらに、住環境が狭くなるからと思い出の品をごっそり処分すると、昔を思い出す頻度が少なくなり、記憶力の低下につながります」(加藤さん、以下「」内同)

 若い人の場合は、環境の変化で新しいものを見聞きすると脳が活発に刺激されるが、高齢になると記憶のないものは脳の刺激になりにくく、引っ越しは孤独感も増して認知症の危険がさらに増す。

思い入れの強い品まで捨ててしまうような、断捨離のしすぎは、認知症のリスクが高くなります。認知症になると、記憶をつかさどる脳の器官“海馬”が衰えて収縮します。海馬は40代後半から衰えるといわれ、まだ若いからと安心はできません」

脳の海馬を鍛えることは、さまざまな病気の予防になる

 海馬は脳の左右の側頭葉の内部にあり、アルツハイマー病やうつ病でも萎縮することがわかっている。海馬を鍛えることで、さまざまな病の予防にもなるのだ。

 では、ものと記憶力はどう関係するのか。

「普段は学生時代のことを滅多に思い出さない人でも、たとえば、卒業アルバムを開けば思い出のシーンが脳内で再生されたり、記憶が芋づる式によみがえります。それは写真に限らず、昔よく聴いた曲なども同じです。

 脳には、ものを目で見て認識したり、喜怒哀楽を感じるなど、大きく分けて8つの役割がありますが、それぞれが密接に携わって脳を刺激しています。そのため、思い出す頻度の高いものの方が記憶に定着しやすいのです」

思い出は記憶力以外も刺激する

 思い出の品は単に記憶を呼び戻すだけではない。時を経て振り返ることで、記憶が“上書き”され、脳の成長に役立つ。
 
「過去を振り返った時に、当時の自分の思いとは違う感情を抱いたり、新たな理解が生まれることがあります。この経験は思い出をより印象づけ、自分を客観的に見る脳のトレーニングにもなります」

次の頁では、記憶のタイプと脳の役割を解説!

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