2017.04.20 |ヘルス

研ナオコ、赤木春江ら芸能人にも多発する「大腿骨骨折」、死を招く“隠れ骨折”も

 私たちは350本の骨を持って生まれるが、成人すると206本になる。骨の重さは体重の約20%。最も小さい骨は耳小骨で、最も大きい骨といわれるのが大腿骨――知っていました? ちなみに骨折した骨は強くなると信じている人もいるかもしれないが、これには何の医学的根拠もありません。そんなふうに、当たり前のように体内にある骨について、真剣に考えたことがあっただろうか。しかし年を重ねると、ちょっとつまずいて、ちょっと転んで、が命取りになる。だからこそ知っておきたい骨のこと!

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赤木春江は自宅で転倒、左大腿骨を骨折した

 あまりの痛さに、家族や病院のスタッフにも暴言を吐いてしまっていたようなのですが、あまり記憶がありません――手術から1週間、タレントの研ナオコ(63才)は、ようやく再開したブログにこう綴った。舞台公演中にバランスを崩して転倒。右大腿骨頸部(だいたいこつけいぶ)を骨折し、右大腿骨人工骨頭置換手術を受けた。

 大腿骨頸部――そう聞いてもピンとこない人も多いのではないだろうか。

 だがこの骨折は、時に死を招く。しかも50才以上の女性であれば、誰しも明日はわが身、なのだ。

 研だけではない。芸能界では大腿骨骨折が多発している。

 パーキンソン病と要介護4の認定を受けていると明かした赤木春恵(93才)は、2015年に自宅で歩いていた際に転倒して骨折。しばらくは周囲に「大丈夫」と痛みを口にしなかったものの、MRI検査の結果、左大腿骨骨折が判明した。

 2013年には吉行和子(81才)が、雨の日に転んで骨折し、2か月の入院生活。木の実ナナ(70才)も舞台上でつまずいて骨折し、リハビリ含め1か月にわたって車椅子生活を余儀なくされた。

 骨は大きく分けて2つの成分でできている。鉄筋コンクリートに例えると、鉄筋のようにしなやかな部分がコラーゲン。そこに硬いカルシウムやリンといったミネラル成分がコンクリートのようにくっついて、硬さとしなやかさを兼ね備えている。

 だが、年を重ねるにつれ、コンクリートにあたるミネラル成分が減り、結果、骨はだんだん弱くなっていく。

 女性は閉経を境に急激に骨がもろくなり、骨粗しょう症が増加する。

女性は閉経後、骨密度が低くなる。70%以下は骨粗しょう症

 骨粗鬆症財団理事で健康院クリニック院長の細井孝之さんが解説する。

「女性の平均閉経年齢は50才といわれています。女性ホルモンには骨を壊すのを抑える働きがありますが、閉経すると女性ホルモンがほとんどなくなるので、閉経後の10年間は骨密度が急激に減っていきます

 骨密度とは、骨を構成するカルシウムやリンなどのミネラル成分がどのくらい詰まっているかということ。詰まっているほど骨が強く、スカスカになると骨が弱くなる。

「骨密度は若い成人平均値に比べて何%かで表されますが、80%以上あれば正常、70~80%であれば骨密度が低い。70%以下であれば骨粗しょう症です。

 閉経前後から平均で年2%ずつ減っていき、腕や脚といったほかの骨に比べて背骨の骨密度は減りやすいともいわれています」(細井さん)

 高齢者で背中や腰が曲がってきたり、身長が縮むのは、骨粗しょう症の主な症状といわれている。

骨粗しょう症が原因で…それは死を招く“隠れ骨折”かも

 骨がもろくなる骨粗しょう症が原因で起きる骨折は主に、手首、肩の付け根の上腕骨、背骨、太ももの付け根の大腿骨頸部の4か所。

 大腿骨頸部とはいったいどの部分の骨なのか。井尻整形外科の院長・井尻慎一郎さんが説明する。

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大腿骨頭頸部骨折は、矢印箇所


「太ももの部分の太い骨を大腿骨といいますが、上の図のように大腿骨の頭の部分と大腿骨をつなぐ部分の骨を大腿骨頸部といいます。研さんが折れたのは右太ももの付け根の関節部分だと考えてください。若い時は転んだくらいでは折れる部位ではありませんが、骨がもろくなっている高齢者の場合、つまずいたり、転んだりすると、この部位が折れることが多くなります

 脚を支えて動かす重要な骨なので、折れるとかなり痛みを伴い、もちろん歩くことはできない。井尻さんは「大腿骨頸部の骨折は命にかかわることもある」と指摘する。

「大腿骨頸部の骨は、折れると元通りにくっつかないこともあるし、つくまでは歩けないので、特に昔は手術もできず寝たきりになる原因でした。寝たきりになるとほかの病気にかかるリスクも高く、肺炎などで亡くなることも珍しくありませんでした。

 研さんが人工骨頭を入れる手術を受けられたように、今は治療技術も進歩し、手術とリハビリで歩けるようになります。肺炎で亡くなる人も減っています。それでも寝たきりになる人はゼロではなく、大腿骨頸部骨折を起こすと寿命が短くなるといわれているほど、怖い骨折です

 大腿骨近位部骨折の発生推計数に関する全国調査(2012年度)によると、1987年には5万3100件だったのが、2012年には17万5700件に急増。背景には超高齢社会があるが、その発生件数の内訳を見ると、女性は男性の3倍以上となっている。

 むらき整形外科クリニック院長・村木重之さんは、背骨の骨折も命を縮める原因だと指摘する。

「背骨は知らないうちに、圧迫骨折といって上半身の重みでつぶれてしまいます。これが最近話題になっている“隠れ骨折”です」

 6日に肺炎で亡くなった京唄子さん(享年89)が、表舞台から一線から退くきっかけとなったのはこの“隠れ骨折”だった。

 2009年1月中旬、足に痛みを感じ、MRIによる精密検査で第4腰よう椎ついの圧迫骨折が判明。2か月程度で完治するとの診断を受け、無理をせずに仕事を続けていたものの、同年4月初旬に強烈な痛みが彼女を襲った。階段を下りられなくなり、便器に座ったまま腰が上がらなくなったという。病院へ行くと、第4腰椎の骨折こそ完治していたが、今度は第3、第5腰椎が骨折していたのだ。

 京さんのように圧迫などによってつぶれた骨は元に戻らない。それは日常生活に影響を与えることもある。

「背骨前側がつぶれるので、背骨が全体的に前に曲がり、背中が丸まって歩きづらくなることもあるし、胃が圧迫されて逆流性食道炎になることもあります」(村木さん)

 日本では人口1300万人が骨粗しょう症といわれているものの、治療を受けているのは約300万人。実に1000万人以上もの人が、この病を放置していることから、隠れ骨折が急増している。

隠れ骨折の多くは病院に行くほどの痛みを感じないため、気づかない人も多い一方で、高齢者の多くが痛みを我慢しがちな傾向もあって、深刻な状態になるまで骨折を放置するんです。

 そのため、知らないうちに第2、第3の骨折を招くことがある。骨折は連鎖を起こすといわれていて、国際骨粗鬆症財団の標語は『最初の骨折を最後にしましょう』。そう声高々にいわなくてはいけないほど、骨折の連鎖は起こりやすいんです」(井尻さん)

隠れ骨折を知る方法とは?

 ではこの隠れ骨折を知る方法はないのだろうか。細井さんが言う。

「背骨が1つつぶれると身長が2~3cm低くなるため、いつもはいているスカートの丈が長く感じるようになったとか、病院で身長を測ったら思いのほか低くなっていたとかしたら、骨粗しょう症に詳しい整形外科などを受診するといいでしょう。隠れ骨折は放置していると別の背骨もつぶれていくので早期発見が望ましく、骨量を増やすのみ薬などで治療できます」

 また、自宅で簡単にできるチェック方法もある。

壁に背を向けて立ち、かかととお尻をつけた状態で頭が壁につけば大丈夫です。背骨が折れて曲がっていると頭がつきません。ただの猫背の人は伸ばせば頭がつきます。また、自分の骨密度を知るためにも、閉経期を迎えたら一度は骨密度の検査を受けた方がいいですね。無料で検査を受けられる自治体もありますが、X線を使うDXA装置での測定は、医師の診察を経て行います」(細井さん)

 一般的にその検査費は1000円前後といわれている。

※女性セブン2017年4月27日号

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