2018.09.05 |    1

食材をやわらかくする6つの基本調理法【介護食】【やわらか食】

 今まで食べられたものが噛めない、飲み込めない──食べる力は加齢によって衰えていくもの。おかゆや流動食にして“食べさせる”方法もあるけれど、食べることは“楽しみ”でもある。その幸せを奪わないために、見た目もよくておいしくて、そして食べやすい料理の作り方を、一緒に覚えませんか?

 噛む力が衰え始めた場合、注意したいのは食材の大きさより“かたさ”。スプーンでつぶせるほどやわらかくするための6つの基本的な調理法を、摂食・嚥下アドバイザーなど専門家に教えてもらいました。

皮をむく

 野菜は、皮を厚めにむくのが基本。トマトや豆の薄皮も口の中に残りやすいので、むくこと。

ミニトマトとはちみつのレモン漬け

■レシピ
【1】ミニトマト10個は、ヘタをとって熱湯に1分入れたら、取り出して皮をむく。
【2】密閉容器にレモン果汁½個分、はちみつ大さじ1と1/2を入れて合わせ、【1】のミニトマトを漬け込む。冷蔵庫で半日置けば食べられる。3日以内に食べきる。

「なすの皮は、焼いたり揚げたりして実がやわらかくなるほど、皮の硬さが強調されます。噛む力があれば、しま模様にむく程度でもいいのですが、不安がある時は全部むくといいでしょう」(摂食・嚥下アドバイザー 江頭文江さん、以下「」内同)

繊維を断ち切る

 歯ごたえをよくする場合は繊維に沿って切るが、やわらかくしたいならその逆。繊維を断つように切ればいい。

「青菜や茎の部分の繊維は硬いので、調理には、葉先のやわらかい部分を選んで使いましょう。クタクタになるまで加熱すれば、繊維がやわらかくなります」

小松菜とはんぺんに煮びたし

■レシピ
【1】小松菜½束は、葉先のみを3cm程度に切る。にんじん1/5本分とはんぺん1/4枚は短冊に切る。
【2】鍋に【1】を入れ、だし汁カップ1、めんつゆの素(濃縮タイプ)大さじ1、塩少量を加えてやわらかくなるまで煮る。

すりおろす

 りんごなど、完熟でも硬い果物や、歯ごたえのある大根、きゅうりは、すりおろせば生でも食べられる。いも類や根菜類は、すりおろして料理に入れると、つなぎやとろみづけにもなる。

ピーマンの肉詰めトマト煮

■レシピ
【1】ピーマン6個はヘタと種を取る。
【2】玉ねぎ1/2個とれんこん80gはすりおろす。
【3】牛と豚の合いびき肉300gを混ぜ、【2】と卵1個、パン粉大さじ2、塩小さじ1、こしょう少量を加えて混ぜる。
【4】【1】のピーマンの内側に小麦粉をふり、【3】を詰め込む。
【5】深めのフライパンにバター大さじ1を入れて【4】のピーマンを焼き、トマトの水煮缶1缶を入れる。
【6】固形コンソメ1個を加えて10分ほど煮込み、塩小さじ1、ウースターソース・砂糖各大さじ1、こしょう少量で味を調える。

やわらかく煮る

 煮ると食材はやわらかくなるが、時間と手間がかかる。調理時間を短縮するには、材料を小さく切るといいが、あまり小さすぎると食材が溶けてしまうので、ひと口大がおすすめ。

「電気ポットの保温機能を活用すると、ほったらかしでも煮物ができるので、時間がない時はおすすめです。食材と調味料をポリ袋に入れ、空気が入らないように袋の口をねじったら、できるだけ上の方で結びます。それを、湯の入ったポットに入れて加熱するだけ。一度に数種類の料理が同時にできて便利です」

玉ねぎの丸ごとスープ煮

■レシピ
【1】玉ねぎ1個は皮をむいておく。
【2】ポリ袋の中に玉ねぎと中華スープの素小さじ1/2を入れ、空気を抜くようにして袋の口をねじっていき、上の方で結ぶ。
【3】電気ポットに水を容量の1/3と【2】を入れて沸騰させる。
【4】98℃をキープして1時間加熱する。

蒸す

 焼くと水分が蒸発し、食材が硬くなりがちだが、蒸すと水分を逃さずに調理でき、しっとり仕上がるのでおすすめ。特に蒸し器を使えば、水分を与えながら蒸せる。シリコンスチーマーやラップをかけてのレンジ加熱の場合、素材の持つ水分を利用するので、蒸し器よりも水分量は減ってしまう。

「アルミホイルやクッキングシートで魚や野菜を包み、フライパンやトースターで焼くだけでも蒸し料理になります。脂の少ないあっさりした白身魚を、マヨネーズなどの油脂を含むタレを塗って焼けば、しっとり仕上がります」

鮭のホイル蒸し

■レシピ
【1】生鮭1切れは塩少量、酒小さじ1に漬けて5分置き、水気を拭いて臭みをとる。
【2】玉ねぎ1/6個は繊維を断つように切る。
【3】みそとマヨネーズ各小さじ1/2を混ぜる。
【4】アルミホイルにバター小さじ1/4を塗って【1】を置き、【3】を上面に塗って【2】をのせ、しっかり包む。
【5】フライパンに【4】を置き、中火で15分焼いて蒸し焼きにする。

つぶす

 いも類や豆類は、加熱するとやわらかくなるが、もっと食べやすくするには、つぶすのがおすすめだ。ただし、冷めると粘りが出てつぶしにくくなるため、熱いうちに手早く行うこと。これを裏ごしすれば、さらになめらかになる。

「里いも、さつまいも、かぼちゃなどは、煮汁などの水分を加えてつぶすだけでも比較的やわらかく仕上がります。しかし、でんぷんの多いじゃがいもをマッシュポテトにする場合、つぶしてすぐに牛乳などの水分を混ぜるとボソボソ感が残ってしまいます。まず生クリームやマヨネーズ、バターなどの油脂を入れてから、牛乳を加えて好みのやわらかさに調整すると、なめらかに仕上がります」

■レシピ
【1】じゃがいも2個は皮をむいてゆで、つぶしておく。
【2】生クリーム大さじ1を加えてよく練り、塩少量、練乳小さじ1を加えてなめらかにする。

 また、食べ物を、喉から食道へとスムーズに移動させるには、口の中で唾液とからめてまとめ、塊にする必要がある。その助けとなる調理法4種類を紹介します。

とろみをつける

 咀嚼機能が低下すると、口の中で食べ物と唾液が一緒にうまくまとまらず、バラけてしまう。

「ご飯の場合は、あんかけチャーハンにしたり、半熟卵のオムライスにすると、“とろみ”と混ぜながら食べられるので、口の中でまとまりやすくなります。また、水溶き片栗粉でとろみをつけた場合、時間がたつととろみがなくなってしまうので、冷ましてから食べるものや作りおき料理には、市販のとろみ剤を使いましょう。

 おくらやモロヘイヤなど、ぬめりのある野菜を活用するのもおすすめです」

つるんとさせる

「ゼラチンや寒天を使って固めたゼリーやムース、プリンなどのデザートは、舌で押しつぶせるほどやわらかく、つるんと飲み込めて喉ごしがいいのでおすすめです。口の中に残ったものも一緒にまとめて喉を通過するので、食事の最後に食べれば、掃除の役割も果たしてくれます」

 ただし、硬い寒天ゼリーは口の中で溶けにくく、つぶすとバラバラになって飲み込みにくいので注意が必要。こんにゃくゼリーも噛みにくく、喉に詰まる危険性があるので、なるべく控えること。

つなぎを入れる

 ひき肉は加熱すると硬くなるので、ふわふわに仕上げるためには、豆腐や卵、パン粉などの“つなぎ”を加えるのがおすすめだ。

「ひじき煮は、口の中でパラパラしてまとまりにくいですが、つぶした里いもと和えると、独特の粘りでまとまり、飲み込みやすくなります。

 白和えの豆腐、ごま和えの練りごま、おろし和えの大根おろし、ヨーグルト和えのヨーグルトも、食材を食べやすくまとめるための“つなぎ”。これらを活用すれば、食べられる食材が増えるはずです」(江頭さん)

油脂を使う

 水分がある食材に少量の油を加えると、乳化してなめらかになり、飲み込みやすくなる。

 例えば、じゃがバター。じゃがいもは、蒸してつぶしただけだと、水分を含んではいるもののポロポロして飲み込みにくい。あわてて食べるとむせやすいが、溶けたバターを混ぜると、なめらかで口当たりがよくなり、飲み込みやすくなる。

「市販のごまドレッシングを活用すると、油脂だけでなく、とろみも加わり一石二鳥。また、刺身にオリーブ油をかけたカルパッチョは、なめらかな口当たりになります」(リハビリ専門医 藤谷順子さん)

食べ力を高める体操

 飲み込む力が低下すると心配な誤嚥性肺炎の予防には、次の4つのトレーニングが有効と藤谷さん。

【1】膝を立てて仰向けになり、息を吐く時に腹をひっこめ、吸う時に膨らませる。3~5回を1セットに数回行う。
【2】いすに浅く腰掛けて背もたれに寄りかかり、反動をつけずに腹筋の力だけで上体を起こす。1日に5~10回行う。
【3】1回につき15秒、「あ~」と大きな声を出し続ける。
【4】背中を伸ばして腹筋をひっこめ、10回連続で咳をする。  飲み込む力に不安を感じたら試してみて。

撮影/菅原拓 料理/江頭文江

※女性セブン2018年8月9日号

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  1. ehara より:

    食事に悩んでいたので、とても勉強になり、助かりました。

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