2018.10.30 |ヘルス   

骨密度低下が“老け顔”の原因!?しわ・たるみを招くのは頭蓋骨の急劣化だった

 更年期を迎えると、女性ホルモンの減少で骨密度が低下することは、女性にとって大問題。骨粗しょう症になって骨折しやすくなるだけでなく、頭蓋骨の骨密度低下が“老け顔”を招く原因であることもわかっている。つまり、全身の健康と容貌の若々しさを保つカギこそが、“骨トレ”にあるのだ!

寺川國秀さん論文(『歯科技工』15缶、596ページに掲載、87年)を参考に編集部作成。40代では650g(右)あった頭蓋骨のの重さが、60代では280g(左)と半分以下になってしまう

 日本の骨粗しょう症患者は約1300万人。そのうち約8割を50才以上の女性が占めている。骨密度の低下は、手足の骨折リスクを高め、寝たきりの生活を招くことで知られるが、顔面の骨密度もまた手足同様に低下することはあまり知られていない。

 20年前から下あごの骨密度を研究している歯科医の高石佳知さんによると、40代と70代の女性の頭蓋骨の重さは、2倍以上もの差があるという。

「40代は650gあるのに対し、70代は280gと、半分以下になってしまいます。これは、失われる歯の重量を差し引いても、加齢で頭蓋骨のカルシウム分が失われ、スカスカになることを意味しています。骨量が減少して頭蓋骨が小さくなれば、皮膚も緩み、ひいてはしわやたるみの多い老け顔につながってしまいます」(高石さん)

 骨の衰えは外見の問題や骨粗しょう症などの疾患にとどまらず、アルツハイマー型などの認知症にも関係していると言うのは、骨トレを提唱する内科医の藤澤孝志郎さん。

「骨の衰えを食い止めれば、病も効率的に予防できます。しかも、毎日ちょっとした刺激を与える骨トレを継続するだけでかまいません」(藤澤さん)

→関連記事:骨を鍛える「骨トレ」骨を強くする食の公式と刺激を与える9つの習慣

【「骨老化」が加速する悪習慣】

●たばこ
血流が滞り、カルシウムの吸収を阻害。また、女性ホルモンのエストロゲンの分泌を妨げ、骨粗しょう症を招く。

●過激なダイエット
過激なダイエットは骨の発達を阻害。最大骨量は20代がピークで、その後は下り坂となるため、バランスよく食事を取り、骨量の維持を心がけたい。

●サプリメントの摂りすぎ
ビタミンDやカルシウムのサプリメントを過剰に摂取すると、高カルシウム血症や腎臓結石の発症率が上昇してしまう。

しわ・たるみを招くのは頭蓋骨の急劣化だった

 脳や目、鼻をガードし、顔の土台でもある頭蓋骨。ここが老化すると、なぜしわやたるみができるのだろうか? そのメカニズムを知るところから始めよう。

【ピチピチ肌の20代】
たるみがない若い顔は、骨密度の高い頭蓋骨に支えられている。丈夫な骨という土台の上で皮膚や筋肉のハリが保たれ、しわやたるみがない。

【しわが出現!60代】
頭蓋骨が老化とともに萎縮し、肌との間に隙間ができ、ハリが失われて皮膚が余る。そのため目元や口のまわり、あご、首にしわが増える。

「Changes in the Facial Skeleton With Aging Bryan M, Aesthetic Plast Surg. 2012」を参考に編集部にてイラストを改変作成

 前出・高石さんによると、頭蓋骨は体内で最も骨密度の高い丈夫な骨だが、加齢にともなう老化もまた早い場所だという。

「骨密度の低下とは、骨内のカルシウム量の減少を意味します。なかでも下あごの骨は、全身に約200ある骨のうち、骨密度の低下率が最も大きいことがわかっています」(高石さん・以下同)

 骨の丈夫さだけなら、下あごの方が腰椎より強いが、骨密度の低下率は10%も高い。実はこれは下あごだけでなく、頭蓋骨全体の性質を表している。

 では、なぜ頭蓋骨の骨密度は低下しやすいのだろうか。

「骨を強くするには、栄養を摂るだけでなく適度な衝撃や刺激を与えることが必要です。しかし、頭や顔は直接の衝撃や刺激を受けづらく、体の構造上、筋肉を動かしての負荷をかけるのも難しいのです」

 これらを踏まえて、頭蓋骨の老化がどのように“見た目”に影響するのか、以下、見ていこう。

1.こめかみが陥没して目尻のしわが深くなる

 笑うとできる目尻のしわは、一般的には表情癖でできる“浅いしわ”に分類される。

「しかし、加齢で頭蓋骨が老化してくると、目の横の側頭骨がへこむと同時に、耳の上の皮膚がたるみ、それが目尻のしわを大きく深くします。土台の側頭骨がへこんだことで支えを失った皮膚が、笑いじわを“深いしわ”に変えるのです」

2.眼窩の拡大が目の下のしわの要因に

 眼窩とは、頭蓋骨の中で眼球が収まるへこみのことをいう。

「目のまわりのくぼみの中の、イラストの(A)と(B)周辺の骨が加齢によって萎縮しやすく、その両方向にくぼみが広がることで、目の下のたるみやしわが目立つようになります」

 もともと目のまわりの骨は体の骨の中でも特に薄く、老化とともに骨が縮むと、真っ先に減少し始める。こうして眼窩まわりの骨の下支えを失うと、目の下のハリがなくなって、涙袋の下にもたるみとしわが広がる。

 ひどくなると、目の下にクマのようなたるみができ、さらに頬を横切る通称“ゴルゴ線”が目立ってくる。

3.鼻腔の拡大がほうれい線を強調

「鼻の骨の裏側には、鼻腔という空洞が広がっていますが、加齢とともに鼻腔は横に広がって穴が大きくなります」

 この鼻腔の穴の拡大は、鼻まわりの骨の陥没を意味し、鼻の両脇から唇の両端に伸びる2本の“ほうれい線”を年々目立たせることになる。

4.上あごの縮小が唇の上の縦じわを作り出す

 上あごは頭蓋骨の中でも特に骨密度が高く丈夫な骨だが、老化とともに収縮・縮小する。そして上唇の上に縦じわができる。

5.下あごの縮小で二重あごが出現

 前述どおり、骨密度減少率が最も高いのが下あごの骨。加齢で骨密度が低下すると、その体積も縮小。すると下あごの体積も縮小。すると、二重あごや首のしわなどが出やすくなる。

 これらのように頭蓋骨の老化が、人の容貌を左右するのだ。

顔の骨トレのすすめ

 顔には咀しゃく筋と表情筋という筋肉がある。ここを動かして筋力を鍛えることが頭蓋骨の骨密度の低下を防ぐのに有効だ。高石さんが効果的な骨トレを2つ教えてくれた。

1.ガムを噛む
「骨を強くするには、適度な衝撃や刺激を与えることが必要で、顔にも負荷や刺激を与えることがしわ予防につながる」(高石さん)。そこで提唱するのが、1日10分間ガムを噛むこと。ほどよい力で噛むことで、咀しゃく筋が鍛えられる。

2.ほほえみ体操
高石さん考案の「ほほえみ体操」も顔のしわ対策に有効だ。手順は、以下の通り。

【1】上下の歯の間を5mm~1cmほど開ける。
【2】どちらかの手の親指と人さし指で口角を奥に押し込んでから、上に上げる。
【3】上の歯が半分くらい見えるように少し口を開けてほほえむ。この状態を1分間キープし、元に戻す。
【1】~【3】を1日10回行えば、表情筋を鍛えられる。

骨は5年ですべて入れ替わる

「骨は一見、変化していないように見えますが、実際には破骨細胞によって古くなった骨が溶かされる“骨吸収”と、骨芽細胞により骨が再生される“骨形成”が日々繰り返され、常に生まれ変わっています。若い時と違い、更年期を迎えると女性ホルモンの分泌量が減る影響で、骨形成より骨吸収が進み、徐々に骨密度も減ってしまうのです」(藤澤さん・以下同)

 上グラフからもわかるように、骨密度の低下は男性よりも女性に早く訪れ、その降下速度も速い。だが50才以上であっても、しかたないと放置せずに骨の強化に取り組めば、全身の骨は5年ですべてが入れ替わるだけに、何才からでも維持や改善ができる。

「しかも、骨密度を維持することは見た目を若々しく保つだけでなく、転倒による骨折予防やアルツハイマー型の認知症予防にもなることがわかってきました」

 そのほか、骨を鍛えると以下のようなメリットがあることもわかってきた。

●若く見える
しわやたるみが改善されることで、見た目も若々しくなる。

●やせる
筋肉や骨をしっかり動かすことで代謝がアップし、やせ体質に。

●姿勢がよくなる
骨が丈夫になると背骨や腰骨がまっすぐに伸び、正しい姿勢をキープできるようになる。

●アルツハイマー型認知症の予防
運動することで脳に刺激を与えて、認知機能の低下を防げる。

●健康寿命が延びる
骨折のリスクが減って、寝たきりになる可能性が軽減。

●免疫力アップ
運動などで骨細胞が刺激されると、免疫力が高まる。

教えてくれた人

高石佳知さん/医学博士。『高石歯科医院』医院長。20年以上前から骨と歯の関係の研究を始め、骨粗しょう症をあごの骨などで判定する方法を開発。

藤澤孝志郎さん/日本内科学会認定内科医。『Dr.孝志郎のクリニック』医院長。総合内科、ER、心臓血管外科の3領域で活躍。医学と物理学両面から骨の刺激による効果(ピエゾ電気効果という)に着目し、骨トレを提唱中。

イラスト/勝山英幸

※女性セブン2018年11月1日号

●骨を鍛える「骨トレ」骨を強くする食の公式と刺激を与える9つの習慣

●樹木希林さんも… 高齢女性が恐れるべき「死を招く骨折」とは

●閉経後10年で骨密度は激減!骨貯金に重要なビタミンDは何から摂る?

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