2017.05.07 |暮らし   

火事に弱い京都の街並み。保存か、防災か

あじき路地(京都市東山区)。京都にはこのような細街路や袋路がそこここにある

あじき路地(京都市東山区)。京都にはこのような細街路や袋路がそこここにある

  京都や奈良のたたずまいを生んでいるのは、寺社や町家の建ち並ぶ眺めだろう。しかし防災という観点から見たとき、木造家屋は火事や地震に弱い。かといっていたずらの補強すれば文化的価値が下がってしまう。このように、歴史的建築物と防災という、時に背反しがちなテーマに挑む講座が開かれた。「歴史文化都市の防災と建築史学」(立命館土曜講座)である。

壊して安全にするのはノー

 講師は立命館大学にある「歴史都市防災研究所」の青柳憲昌先生(同大・理工学部講師)。法隆寺などの建築史や文化財保存が専門であるが、防災を主研究とする研究所に深く関わるようになって、「建築史」から「防災」をどう考えるのか、という問題に向き合ったことから、さまざまな発見があったという。

「建築史」はいわば歴史学で、人文の分野。「防災」は、どうしたら災害の被害を防げるかを考える、どちらかといえば工学の分野。建築史的に見れば、古いものは古いままに遺したいし、防災的視点から見れば、古いものを捨て去ってでも安全なものにしたい。

 確かに。でも、そこで納得したら問題は終わってしまう。先生は自分の専門分野から、この矛盾する2つの領域にどうアプローチできるかを考えてみたという。

 青柳先生は語る。
「文化財として後世に残っているものを見ると、現代の目で見ても防災的に優れている部分がある。文化財の中には、現代人が忘れてしまった過去の『防災文化』を示す貴重な価値が含まれるのではないか。一般に、文化財の歴史的価値の保存と防災は矛盾し合うケースが多いのですが、そのことを推し進めて考えれば、両者を調停することができるのではないか、と思ったのです」

 たとえば京都。古都・京都は、古い街並みを遺す「歴史文化都市」である。その京都が、「防災」に優れた街であるかといえば、ノー。京都には木造の建物が多く、また細い路地や袋路などがあり、災害に弱い都市だからである。

 では、京都の町並みを壊して安全にすればいいのか、といえば、それもノー。それは京都の良さを失うことになる。そもそも、古い歴史を持つ都市や建物が今に残されているのは、近代的見地から見ると災害に弱くとも、長い歴史の中で見れば、防災に長けたところがあったからではないのか。そのためには、歴史ある都市や建築物の歴史をもっと知ることが大切ではないのか。

そもそも都市そのものが、外敵や災害から身を守るために作られたものなのです」と青柳先生。 「都市の本質には、防災があります。現代人が忘れてしまった防災文化を現代に置換することが、できるのではないでしょうか」

 法隆寺壁画の消失で職を追われたが

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