2018.11.20 |ヘルス   

女性の8割は平熱より体温が低い!怖い「冷え」の原因と対策を専門医が解説<1>

 秋から冬にかけては気温だけでなく、体の「冷え」に悩まされる人も増加する。手足の先が冷たい、寝るときに厚着をして靴下をはいてもまだ寒い、体が冷えてカイロが手放せない…。

 そこで、『冷えを取れば9割治る!』などの著書があり、体の冷えと病気、漢方医学にも造詣が深い「イシハラクリニック」(東京都江東区)副院長、石原新菜先生に、冷えの原因やその対処法を教えてもらった。

体を冷やすとさまざまな病気にかかりやすくなる

 体の「冷え」という言葉はよく耳にするが、まずこれはどういうことなのか知っておきたい。

「“平熱”というと36.5度くらいを連想する人が多いと思います。これは1957年、東京大学などの調査で、日本人の平均体温が36度89分であることが判明。それ以来、平熱の定義が36.5~ 37.2度となり、広く知られるようになったからです。

 でも、現代の日本人の平熱は35.5~36.2度が非常に多いのです。女性の約8割は平熱にいたっていませんし、男性も約7割、子どもも約5割近くが平熱以下です」(石原先生、以下「」内は同)

 体温が平熱よりも平均して低い人は、「冷え」が起こっている可能性があると石原先生。では冷えの原因は何だろうか。

「一番の原因は血流です。私たちの体にはすみずみまで血管が走っており、全身を血液がめぐっています。血液には約60兆個の細胞すべてに栄養や水、酸素などを届け、同時に老廃物を回収するという大切な役割があります。血流が悪化すると、体温も下がり『冷え』につながるのです。

 そして臓器の機能が落ち、便秘や下痢、胃痛や腹痛といった様々な不調が起こります。また、肩こりや腰痛といった痛みの他、女性の場合は卵巣や子宮の働きが低下するため、生理痛や生理不順、子宮筋腫、不妊などのリスクも高まります。

 実際に、体温が1度違うと代謝(生体を維持するために体の中で行われる合成や分解などの化学反応)に12%も差が出ます。体温が低いと、それだけ代謝が落ちてしまうため、糖尿病や高血圧、脂質異常症といった生活習慣病にもかかりやすくなるわけです」

冷えの解説をする石原新菜医師

「体の冷えは多くの病気の元凶となります」と、石原先生

 血流が悪化すると体が冷える。このときに、人間の体に起こる反応も、冷えに拍車をかけるそうだ。

「寒さを感じた時、無意識のうちに体をギュッと縮めますよね? 血管も同じで、体が冷えると熱を逃がさないように収縮してしまいます。その結果、血流がさらに悪くなって、体が冷えたり体温が下がったりしてしまうんです」

免疫力低下は冷えが招く

 冷えと血流の悪化は、負のスパイラルを起こすということだ。さらに体が冷えていると、もっと深刻な病気の元にもなると、石原先生は話す。

「それは『免疫力の低下』です。私たちが生活している空間には、体に害を及ぼすウイルスや病原菌などがたくさん存在しています。にもかかわらず元気に毎日を過ごせているのは、免疫の働きのおかげです。免疫力は病気に対抗するために大変重要ですが、体温が1度下がると、なんと約30%も機能が落ちてしまうんです。

 免疫力の低下によって引き起こされる病気の中でも、特に恐ろしいのが『がん』です。がん細胞は低体温、低酸素の状態を好みます。体が冷えると、がん細胞の居心地のいい環境を作ってしまうだけでなく、免疫系が本来の力を出して、がん細胞を抑えるということができなくなってしまうのです」

筋肉量を増やせば健康的な「発熱ボディ」に

 平均体温が低くなっている現代人の体は、常に万病を引き起こすリスクに直面していると言えるだろう。しかしなぜ、冷えが起こる体になってしまったのか。石原先生は、その根本的な原因は筋肉量の低下にあると考えている。

「人間の体には熱を作り出す力があります。安静にしているときの熱生産量は、脳、肝臓、骨格筋がそれぞれ20%の、合計60%。日中の生活で体を動かすと、骨格筋から作られる熱の量が増えるので、1日の体温の残り40%は筋肉が作りだしていることになりますね。したがって、筋肉量が少ない人は冷えやすい体と言うことができます。

 人間は40歳を過ぎるころから筋肉量が低下し始めます。また、女性のほうが一般的に男性よりも体が冷えやすいのですが、これは筋肉量が少ないことが理由です」

 筋肉は血液を貯蔵する役割も担っているため、筋肉量の低下は体の冷えにさらに拍車をかけるという。

「足腰の筋力が落ちて血液を保存する場所がなくなると、本来、下半身にあるべき血液が上半身にあがってきます。これを漢方では『昇症(しょうしょう)』といいます。女性の更年期障害も原因は昇症。血液が上半身に上がってくるために、のぼせ、ほてり、ホットフラッシュ、イライラといった症状が起きるんです。同じ更年期でも、普段から足腰をよく動かしている人は、症状がほとんど出ません。それだけ、足腰の筋肉は大切だということです」

36.5度を表示している体温計

日常的に体温の平均が36.5度より低い人は、筋肉量を増やす工夫が必要

 石原先生が勧める簡単な冷え対策は次の通り。

●シャワーではなくお風呂に浸かる
●腹巻などで保温をする
●体を温める食べ物を摂る
●筋肉を増やす

 何より、一番実践して欲しいことは「筋肉を増やすこと」だという。

「体温の約4割は筋肉から作られるので、筋肉を動かさなければ平熱が下がり『冷え』が起こります。半世紀前に平均体温の調査をした時代と比べて、現代は自動車や家電や通信の発達で、動かなくても生活が成り立つようになりました。ハイテク化が人間の平熱の低下に拍車をかけてしまったんです」

 意識的に体を動かして筋力を増強することが大切ということだが、石原先生によると、特別にジムなどでハードなトレーニングをする必要はないのだそうだ。

「たとえば、1日にスクワットを30回、ウォーキングを20分など、その程度でも毎日行えば筋肉は増えますし、体も十分に温まります。少しでも筋肉をつけて『発熱ボディ』を目指して欲しいと思います」

 体を温めて血行をよくし、冷えを予防することが健康な毎日への第一歩。次回は、石原先生も実践している、冷えない体をつくるための「食」についてご紹介。

石原新菜(いしはら・にいな)

イシハラクリニック副院長。医師。帝京大学医学部卒業後、大学病院での研修を経て、現在、自然医学の専門家で医学博士の父、石原結實氏が院長を務めるイシハラクリニックで、漢方医学、自然療法、食事療法により、さまざまな病気の治療にあたっている。著書に『冷えを治せば病気もよくなる』(Gakken)、『やせる、不調が消える 読む 冷えとり』(主婦の友社)など。

石原新菜Official Blog

取材・文/熊谷あずさ

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