2019.01.09 |マネー   

老後をひとりで生き抜くために今からすべきこと…お金と心得

 50才まで結婚したことのない生涯未婚率は男性で23.37%、女性で14.06%にのぼり、過去最高を記録。高齢者のひとり暮らし人口は増加傾向にある。その点、私は大丈夫? いやいや、夫や子供がいても安心はできない。平均寿命は男性の方が約6才短いし、熟年離婚率も増加。子供だって、住む場所や家計、関係性によってはアテにならないのだから。かくして、老後は誰もがひとりになる(かもしれない)。そう覚悟を決めて、今日からひとりの老い支度を始めませんか?

高齢女性が微笑みながら、庭で花に水やりをしている写真

まだまだ…と思っていても、いつかのための備えは必要だ(写真/ゲッティ)

おひとりシニア最大の課題は“お金”

 国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、ひとり暮らしの高齢者数は、2015年で600万人以上。2030年には800万人になるとの予測だ。都市部では、65才以上の高齢者の4割以上がひとり暮らしになるという。

 注目すべきは、ひとり暮らしの高齢者が多いということだけではない。高齢単身女性の貧困率が2015年のデータで5割を超えていることだ。

 シニアのシングル女性について調査をしている「わくわくシニアシングルズ」の代表・大矢さよ子さんによると、シングル女性が抱える最大の課題は“お金”だという。

「50才以上のシングル女性530人に調査した結果、65才以上の公的年金の受給額は5万~10万円と低い人が多く、就労している人が5割いました。そうした女性たちは、いつ病気になるかと、不安と背中合わせで働いています。もし倒れたら、貯蓄を取り崩さないといけませんから」(大矢さん)

 高齢ひとり暮らしの不安はお金をはじめ、上記のように健康や各種手続きについてなど多岐にわたる。これらの問題をどう解決すべきか、リアルボイスを交えながら探っていきたい。

STEP1 あなたが今すぐすべきこと6

 老後をひとりで生きる準備を始めているノンフィクションライターの中澤まゆみさんから、まずすべきことを教えてもらった。

【1】自分の体を知り毎日体調をチェック

 長く働き、楽しい老後を送るためには健康管理が必須。

「体調がいい時に、血圧、体温、体重を測っておきます。それを定期的に続けましょう。血圧の変動だけでも、体のさまざまな異変を教えてくれますし、体重も病気になったら急速に落ちます。また、朝起きた時に自分の顔色や舌を見たり、トイレでも便通の様子を気にしましょう。そうすると、重要な兆候を見逃しにくくなります」(ノンフィクションライター中澤まゆみさん・以下同)

 体調の変化に気づいたら、かかりつけ医に相談を。

【2】気軽に話せるかかりつけ医を持つ

 年を取れば取るほど、かかりつけ医の存在は大きくなるという。

「持病で定期的に通院していた人が、突然来なくなるなど、ちょっとした変化を気にしてくれるのが、かかりつけ医の利点。認知症になった時に、最初に気がついてくれるのはかかりつけ医かもしれません」

 また、要介護認定や障害年金などを申請する時、医師の意見書や診断書が必要になるが、かかりつけ医なら、体の状況をしっかり理解したうえで、親身になって書いてくれることが多い。

「近所で、気軽に話せて最新の医療をよく勉強している医師を1人は見つけておきましょう」

【3】地域の中で自分の役割を見つける

 住んでいる地域にどんなサービスがあるか、どこの医療機関がより親切かといった情報だけでなく、何かあった時に相談に乗ってくれたり、助けてくれたりする人が近くにいると心強い。

 元気なうちに、区報や市報で告知されている地域のイベントに参加したり、地域のボランティアに応募して、人間関係を築いておこう。

「興味がある活動には自分から働きかけ、お互い様の関係を作ることが、地域での自分の暮らしにもつながっていきます。子育て経験者や子供が好きな人は、子育て支援グループに参加するのもおすすめ。例えば、『子供食堂』では、高齢者が調理や子供との触れ合いに参加します。自分にとっても楽しい時間になれば、続けやすいでしょう」

 地域に自分の役割が見つかれば、そこが居場所になり、充実した老後につながる。

【4】救急医療情報キットを作っておく

 ひとり暮らしをしていると、急に具合が悪くなって救急車を呼べたとしても、意識を失うなどして自分の持病や服薬状況などを説明できないケースが多い。

「そんな時に役立つのが、自分の医療情報をまとめた救急医療情報キットです」

 最近は自治体で専用のキットを配布することが多くなった。保険証、お薬手帳、診察券のコピー、自分の持病、服薬状況、かかりつけの医療機関などの医療情報をまとめて付属のプラスチックの筒に収める。配布されたキットではなく、自分で作ったものでもよい。キットは、かけつけてきた救急隊員にわかるよう冷蔵庫に入れておき、「救急医療情報キットが入っています」と記した付箋や紙を目立つように貼っておこう。

 外出時にも、こうした医療情報を1枚のカードにまとめて財布などに入れておくと安心だ。

【5】自治体のサービスについて知る

 介護の負担を軽減するため、自分の暮らす自治体が独自で行っている高齢者向け支援サービスを調べておこう。自治体によって内容は多少違うが、介護が必要な人に紙おむつを支給したり、訪問理美容のサービスなどがある。ひとり暮らしの人には緊急通報システムの支給などもある。

 さらに社会福祉協議会では、介護保険ではできない家事を支援する福祉サービスを行っている。自治体のサービスとあわせて、どれだけ充実しているかぜひ見ておきたい。

 自分の自治体の高齢者向けサービスに何があるかを知っておくと、いざという時の費用負担を軽減でき、家計が助かる可能性がある。

【6】介護保険について調べておく

「要介護になった人がよく困っているのは、”介護が必要になった時、何をすればいいのか、どこに相談に行けばいいのか”ということ。まず訪ねるのは、地域包括支援センターですが、その存在を知らない人も多いんです。いざという時、何が必要で、どんな制度があるのか、最低限のことは調べておきましょう」

 介護保険制度のパンフレットは、役所の介護担当窓口や近くの地域包括支援センター、在宅介護支援センターでもらえる。その際に、自分が暮らす自治体にはどんな介護支援サービスがあるのかをチェックしておくといい。

STEP2 “もしもの時”を助ける手続き5

 女性の健康寿命は75才。認知症や体が動かなくなる前に、やっておくべき手続きを紹介する。下記の5つの中から、自分に必要なものは何か、予算などに応じて検討しよう。

【任意後見】:認知症になった時の財産管理のために

 認知症になった人が契約する「成年後見」とは別に、認知症になる前に、自分の家や預貯金などの財産管理を委任契約しておくのが「任意後見」だ。認知症になった後、家の売却もしてもらえる。

 みつ葉グループ代表・司法書士の島田雄左さんによると、定年前に委任契約する人が近年増えているという。

 契約後は、月1回から年1回までの定期面会や電話相談を行う。そして、その回数などに応じてランニングコストがかかるため、利用開始の時期は検討する必要がある。

●相場
約3000円~+管理する財産の数%(事務所による)
●主な相談先
司法書士、弁護士、地域包括支援センター、社会福祉協議会など。司法書士などに頼む場合は、取扱件数の多い人を選ぼう。

【家族信託】:ペットのためのお金などが確保できる

 自分に万が一のことがあった時、一緒に暮らしている大切なペットの行く末を案じる人は多い。何かあっても、ペットのエサ代や病院代、生涯面倒を見てくれる老犬・老猫ホームなどの施設代などは確保したいもの。そこで活用したいのが、自分の家族のための財産を、別の人に管理してもらえる家族信託だ。

「例えば2000万円の資産があるなら、そのうち300万円はペット用に信託会社に預け、残りの1700万円は親族に遺すという、資産の使い道を指定できます」(島田さん・以下同)

●相場
信託する財産に応じて0.1~1%程度
●主な相談先
実務経験の多い司法書士や行政書士に相談しよう。動物のための行政書士「動物法務士」がいる団体だとより心強い。

【遺言】:遺言執行者の負担によって無料か有料かを決める

 遺言書を書く時に悩みがちなのが、遺言執行者を誰にするか。未成年者と破産者以外であれば誰にでも頼めるが、預貯金の解約、名義変更、財産の洗い出しなどに労力がかかる。

 予算を抑えたいなら、自分で「自筆証書遺言」を書き、親戚や友人知人に遺言執行を頼もう。これなら無料で済む。頼みづらい場合は、有料にはなるが、行政書士や司法書士に遺言執行者を指定しよう。

「予想外の相続人が現れることもあります。その時に適切な法的処理を頼めるのも、行政書士などに依頼する利点です」

●相場
無料~財産の数%
●主な相談先
行政書士や司法書士に頼む場合、報酬金として財産の1%を取るところもあれば、財産の額に関係なく20万~30万円かかるところもあるので、必ず見積もりを取ろう。

【身元保証】:介護施設の入所時や入院時の保証人に必要

「介護施設に入る際などに保証人を立てるケースが増えています。親族が誰もいない、いても頼れない場合、身元保証サービスを使い、司法書士や行政書士が代わりに保証人になります」

 行政で代行するケースもあり、東京都足立区の場合は相場より安く、年間約2400円で利用できる。ただし、利用範囲が制限され、財産要件も厳しい。

「相場は、初期費用で50万~200万円程度かかるケースも。買い物代行や身の回りの世話といったオプションをつけるとさらに高額になります」

●相場
預託金50万~200万円程度+ランニングコスト2万円程度
主な相談先
弁護士や行政書士、医療・福祉関係のNPO法人など。葬儀や墓関連の会社が身元保証サービスを提供している場合もある。

【死後事務委任契約】:死後の葬儀や墓の手続き、遺品整理を頼みたい時に

 一般的に遺言書は四十九日が終わってから開封され、そこで故人の財産贈与の意思が明らかにされる。一方、死後すぐに手続きすべき葬儀は、死後事務委任契約を結んでいれば、故人の望み通りの葬儀が執り行われる。

「散骨、埋葬、あるいは火葬だけなど、葬儀については死後事務委任契約で定めて、財産については遺言で対応する方法が最近は多いですね」

 他にも、役所への届け出や、電気・ガス会社の解約など、死後に必要な諸手続きを任せることもできる。

●相場
葬儀代などの諸経費も含めて約250万円~
●主な相談先
司法書士、行政書士、弁護士、社会福祉協議会など。報酬は事務所によってまちまちなので、見積もりを取ること。

※女性セブン2018年12月13日号

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