2019.02.15    2

86才、一人暮らし。ああ、快適なり【第38回 生きる工夫】

食事をする矢崎氏

美味しい物には目がない。大分県久住高原の『オーベルジュ・コヤマ』にて

 私たちの身の回りには、かぎりない見果てぬ夢が漂っている。それを拾い集め、1本の糸に通してみる。無駄な時間つぶしに思えるようなところから、様々な可能性が沸き出してくる。

 とても退屈なんかしていられない。次から次にとてつもないことを思い描いていると、時間は瞬く間に経ってしまう。

 空想、夢想を軽んじてはならない。次なるステップは、他愛(たあい)のない非論理的な空間が運んで来てくれる。

 自分の自由な時間。これはあるようでなかなか手に入れることが出来ない貴重な時間なのだ。

 同時にいろいろなことがやれる人と、徹底的に集中する人とがいる。

「ながら族」というのが流行語になったのは、かなり以前のような気がするが、私はずっとながら族を続けているように思う。

 2冊の本を並べて読むとか、テレビを見ながらメシを食うとか、歌を口ずさみながら原稿を書くとか。

 いずれも大好きだし、一種の得意技ではないかと自負している。面白いからやってみたらいいと勧めたい。

 自慢にもならないが、私は子供の頃、のべつ注意散漫だと叱られた。教師や親の眼にはそう映ったのだろう。

 私は全く意に介さなかった。あちこちに注意を向けるのが当然だと思えたからだ。

 私はのべつ生きる工夫というか、生きる楽しみを求めていた。

 老いて益々その傾向が強くなった。その証拠にいつも落ち着かない。好奇心が旺盛である。美しい女性、または好みの女性に会うと、その人の裸身を想像する。

 つまり、私はとてもいやらしい男なのだ。だって楽しいんだもん。

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矢崎泰久(やざきやすひさ)

1933年、東京生まれ。フリージャーナリスト。新聞記者を経て『話の特集』を創刊。30年にわたり編集長を務める。テレビ、ラジオの世界でもプロデューサーとしても活躍。永六輔氏、中山千夏らと開講した「学校ごっこ」も話題に。現在も『週刊金曜日』などで雑誌に連載をもつ傍ら、「ジャーナリズムの歴史を考える」をテーマにした「泰久塾」を開き、若手編集者などに教えている。著書に『永六輔の伝言 僕が愛した「芸と反骨」 』『「話の特集」と仲間たち』『口きかん―わが心の菊池寛』『句々快々―「話の特集句会」交遊録』『人生は喜劇だ』『あの人がいた』最新刊に中山千夏さんとの共著『いりにこち』(琉球新報)など。

撮影:小山茜(こやまあかね)

写真家。国内外で幅広く活躍。海外では、『芸術創造賞』『造形芸術文化賞』(いずれもモナコ文化庁授与)など多数の賞を受賞。「常識にとらわれないやり方」をモットーに多岐にわたる撮影活動を行っている。

【このシリーズの記事を読む】

第1回 そもそものはじまり
第2回 老いはするが老人にはならぬ
第3回 自由って何だろう
第4回 おいしい生活
第5回 通院の帰り道
第6回 好色のすすめ
第7回 夢の続き
第8回 耽るということ
第9回 テレビの功罪
第10回 遊び
第11回 ギャンブル好き
第12回 便利は復讐する
第13回 老作家が描くエロスの凄み
第14回 スマホって何だろう
第15回 不倫スキャンダル
第16回 明治維新と向き合う
第17回 無駄遣い
第18回 ラブレター
第19回 老いらくの恋
第20回 料理人(シェフ)はアーチスト
第21回 エロティシズム礼賛

第22回 泰久塾縁起
第23回 養老院(ホーム)探訪記
第24回 老スモーカーの独白
第25回 トルとドス
第26回 さらば友よ
第27回 油断大敵
第28回 妄想のタイムラグ
第29回 甘えは怖い
第30回 貯金嫌い
第31回 七転び八起き
第32回 どうするかい同窓会
第33回 ハッケヨイ
第34回 ヘルプ・ミー
第35回 不可能にチャレンジ!
第36回 不思議大国
第37回 早し良し

●永六輔さんの「魔法の言葉」 ”本当の姿”追った孫が解説

●黒柳徹子実践の健康法「ご飯3膳半」、糖質摂りすぎ大丈夫?

●『九十歳。何がめでたい』1万通超の読者ハガキにみる人生訓

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▶コメント

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  1. ゆり ねこ より:

    いいですね。
    街には美女がたくさんいますし。
    飽きることはありませんね。

    お料理も、丁寧に作っていらっしゃる。
    洋食がお得意なのですね。おいしそうです・・。

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  2. くぅ より:

    素晴らしい毎日ですね!
    私は、子供達が結婚して自分の時間が持てるようになりましたが、1つの事に没頭してしまい、他が疎かになってしまいます。
    同時に、何でもこなされるのは、素晴らしいですね。
    料理は、とても頭の使う作業です。
    とても、聡明な方だと、感じました。
    自分を良く知っておられるので、とても尊敬致します。

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