2019.01.18 |暮らし   

85才、一人暮らし。ああ、快適なり【第36回 不思議大国】

日本、日本人の習性、慣習について観察してみて、うきぼりになることとは…

 改めて不思議な日本、または日本人に注目してみる必要があると私は思う。

 あらゆる儀礼的なものには、見かけの仰々(ぎょうぎょう)しさが付きまとっている。つまり、いかにも尤(もっと)もらしい。

 古代から伝わっているあらゆる事柄に、それは顕著に見られる。

 冷静に観察すれば容易にわかることでも、慣習や仕来(しきた)りによって幻惑されてしまう。むしろ身を委ねることを選択する。

 その方が楽だからかも知れない。多くの日本人は、不思議大好き人種でもあるのだ。

 疑問を持つ。とりあえず疑って見る。そこから見えてくるものがあるはずなのである。それをやらない。何故だろうか。自分の責任になることを避けるために他ならないのではないか。

 逃げて逃げまくる。人のせいにする。

 次第に日本及び日本人が嫌になる。政治の失政や悪政がわかっても、どこかで諦める癖がついてしまう。改革は面倒だとする怠惰に囚われたまま日常をやり過ごす。今の日本が抱えている大問題がそこにあるのに、見て見ぬ振りをする。

 神話は歴史ではない。それなのに、現代になっても『古事記』や『日本書紀』を信じている日本人は少なくない。

 明治維新が単なるクーデターであり、その後の75年は戦争に明け暮れ、ようやく芽生えた民主主義の戦後75年は、間もなく無為(むい)に終わろうとしている。

 まやかしの政治や仕来りが続く限り、日本に本当の平和は持続されない。国際政治は不安定そのものだから、天変地異と同様、どんな災難が起こるか知れない。

 日本及び日本人の怪しい不思議な実態を、厳しく見つめ直す最後の時がいま来ているのではないだろうか。

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矢崎泰久(やざきやすひさ)

1933年、東京生まれ。フリージャーナリスト。新聞記者を経て『話の特集』を創刊。30年にわたり編集長を務める。テレビ、ラジオの世界でもプロデューサーとしても活躍。永六輔氏、中山千夏らと開講した「学校ごっこ」も話題に。現在も『週刊金曜日』などで雑誌に連載をもつ傍ら、「ジャーナリズムの歴史を考える」をテーマにした「泰久塾」を開き、若手編集者などに教えている。著書に『永六輔の伝言 僕が愛した「芸と反骨」 』『「話の特集」と仲間たち』『口きかん―わが心の菊池寛』『句々快々―「話の特集句会」交遊録』『人生は喜劇だ』『あの人がいた』最新刊に中山千夏さんとの共著『いりにこち』(琉球新報)など。

撮影:小山茜(こやまあかね)

写真家。国内外で幅広く活躍。海外では、『芸術創造賞』『造形芸術文化賞』(いずれもモナコ文化庁授与)など多数の賞を受賞。「常識にとらわれないやり方」をモットーに多岐にわたる撮影活動を行っている。

【このシリーズの記事を読む】

第1回 そもそものはじまり
第2回 老いはするが老人にはならぬ
第3回 自由って何だろう
第4回 おいしい生活
第5回 通院の帰り道
第6回 好色のすすめ
第7回 夢の続き
第8回 耽るということ
第9回 テレビの功罪
第10回 遊び
第11回 ギャンブル好き
第12回 便利は復讐する
第13回 老作家が描くエロスの凄み
第14回 スマホって何だろう
第15回 不倫スキャンダル
第16回 明治維新と向き合う
第17回 無駄遣い
第18回 ラブレター
第19回 老いらくの恋
第20回 料理人(シェフ)はアーチスト
第21回 エロティシズム礼賛

第22回 泰久塾縁起
第23回 養老院(ホーム)探訪記
第24回 老スモーカーの独白
第25回 トルとドス
第26回 さらば友よ
第27回 油断大敵
第28回 妄想のタイムラグ
第29回 甘えは怖い
第30回 貯金嫌い
第31回 七転び八起き
第32回 どうするかい同窓会
第33回 ハッケヨイ
第34回 ヘルプ・ミー
第35回 不可能にチャレンジ!

●永六輔さんの「魔法の言葉」 ”本当の姿”追った孫が解説

●黒柳徹子実践の健康法「ご飯3膳半」、糖質摂りすぎ大丈夫?

●『九十歳。何がめでたい』1万通超の読者ハガキにみる人生訓

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