2019.02.28 |ヘルス   

見るだけで目が良くなる【ガボール・アイ】制作者の眼科医がやり方を解説

 加齢とともに、多くの人を悩ませる「老眼」。これまで、老眼を改善する方法は「ない」と考えられてきた。目の筋力の衰えによって起きる老眼は、進行を遅らせることはできても、改善するのは難しいというのがこれまでの常識である。

 また、老眼だけではなく、日本人は近視の人が多く、メガネやコンタクトレンズの使用者は78%と高い。調査会社のマクロミルが20~69歳の男女に行った調査では、日本人の視力の平均値は「0.5」。0.1未満と回答した方も3割にのぼったという(図参照)。

日本人の視力平均値を表したグラフ

裸眼での視力<右目・左目の平均/年代別>(株式会社マクロル調べ)

 ところが、女優の沢田亜矢子さん69歳は、ある方法で、たった1か月で視力を0.6から1.0に回復させ、老眼の症状を改善させてしまったという。沢田さんによれば、「1日数分実践する。それだけで台本を読むのが楽になり、車の運転も快適に、細かいメイクも老眼鏡なしでできるようになった」のだそうだ。

 その方法とは「ガボール・パッチ」と呼ばれるシートを使った、簡単な目のトレーニングである。手術なし、薬も使わず、副作用もない。アメリカのカリフォルニア大学をはじめ、世界の研究機関でその有効性が実証されている。

→1日5分眺めるだけで 老眼回復!全米で話題、驚異のトレーニングシートが日本上陸

 画期的なこの手法にいち早く着目し、日本に広めている眼科医の平松類さんに話を伺った。

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「脳」が見る力のカギを握っていた

 私たちは物を見るときに、水晶体というレンズの厚みを、筋肉の力で調整してピントを合わせています。ところが加齢とともに、筋肉が弱くなったり、固くなったりすると、ピント調整がうまくいかなくなり、近くのものが見えづらいという老眼の症状が現れてきます。

 ですから、老眼を予防するには、目の筋肉を鍛えることが唯一の方法とされてきました。確かに筋力を維持することは大切なのですが、近年、目で捉えた情報を処理する部分の「脳」を鍛えることも、視力のためには重要であることがわかってきたのです。

 私たちは目で見た情報を、そのまま認識しているわけではありません。視覚で得た情報は、一度、脳で処理をされ、加工されています。

「見えた」と認識している画像は、脳によって修正されたもの、といえばわかりやすいでしょうか。そのため、緑内障で視野が欠けている人でも、脳が勝手に見えていない部分を補ってしまうため、半分以上、視野を失っていても病気に気づかない人もいるほどです。

 また、かすれた文字や、ピントの合っていない写真でも、その情報を読み取るために、脳は補正を行います。その結果「ぼんやり」していた画像であっても、「くっきり」見えたのと同じように、何が描かれているのかを認識ですることができるのです。

ぼやけた縞模様「ガボール・パッチ」を見るだけ

 この「画像のぼやけを補正する力」を鍛えるために利用されるのが、「ガボール・パッチ」と呼ばれる特殊な縞模様です。

「ガボール変換」という数学的な処理をほどこしてつくられた縞模様は、もともとは心理学の世界で使われていたものなのですが、視覚的な脳の処理のトレーニングに有効であることがわかってきました。

 似たような「ガボール・パッチ」の模様のなかから、同じものを見つける。それだけで、脳が刺激され、視力が改善します。老眼の人も脳の処理能力が向上すれば、症状が緩和されていきます。

 実際、私の患者さんや周囲の人にも試してもらいましたが、視力の値が改善される人はもちろんのこと、老眼鏡を使う頻度が減ったという感想がとても多く聞かれます。

老眼を回復させる「ガボール・アイ」とは

 今まで「ガボール・パッチ」のシートとしては、アプリで公開されているものがありましたが、ブルーライトの影響を考えると、できれば紙のシートが望ましい。そこで、トレーニングに使用できるものを、私が独自につくり「ガボール・アイ」と名づけました。

 今回は、そのなかから、2つを紹介します。WEBサイトでの紹介なので、スマホやパソコンで見ることになると思いますが、チャレンジしてみて続けたいと思われたら、書籍のシートを使って欲しいと思います。

●やり方(シートA、Bとも、同じやり方です)

【1】右上の縞模様(ガボール・パッチ)を見ます。
【2】その縞模様と同じ縞模様を、Aのシートからすべて見つけます。
【3】次に、その隣(下でも左でも構いません)にある縞模様についても、同じ模様を探し出します。
【4】終わったら、さらに別の縞模様でも同じように行います。
【5】3分から10分を目安に、続けます。

※カラーで表示してあるのは、わかりやすく色と形をつけた解答です。自分の見え方に自信のない人は、こちらで答え合わせをしてみてください。

●シートA

●シートB

1日1回、数分で効果が期待できる

「ガボール・アイ」の効果は、1か月ほどで現れる人が多いようです。できれば毎日行って欲しいのですが、忙しい人は週に3日でも効果はあります。1回つき3~10分、疲れなければ、日に何度やってもかまいません。メガネやコンタクトはつけたままで良いのですが、裸眼で見ることが多い場合は、外してトレーニングするのがおすすめです。

スマホ老眼には「遠近ストレッチ」

「ガボール・アイ」とともに、いつでも、どこでもできる「遠近ストレッチ」もあわせて行うと、老眼の改善に効果的です。ピント合わせのための筋肉がほぐれて、動きがスムーズになります。スマホをよく見る人には、毎日行って欲しいストレッチです。

 まず、目から2メートル以上離れた場所を見つめます。次に、目から30~40センチ離れた位置に、片手の人差し指を立て、その指先を見ます。外出先などで、指を立てるのがはばかられる場合は、近くにあるもので代用してください。この動作を10回繰り返します。

 身体を鍛えるように、視力もトレーニングによって、維持や改善の可能性があります。加えて「ガボール・アイ」は、脳の処理能力をアップさせますから、認知症予防、記憶力や集中力の向上、物忘れの予防効果も期待できます。

→眺めるだけ触るだけでOK!1日10分で老眼に効く「魔法の脳トレ」

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「ガボール・アイ」に使用するシートは、平松先生の著書『1日3分見るだけでぐんぐん目が良くなる!ガボール・アイ』に28日分掲載されているので、ぜひ参考にして欲しい。脳の処理能力と、目の筋力アップ。わずか数分でできる二つのトレーニングを続ければ、「文字が小さくて読めない!」と、イライラする回数を減らせるかもしれない。

平松類(ひらまつ・るい)

医師/医学博士。愛知県田原市生まれ。昭和大学医学部卒業。現在、昭和大学兼任講師ほか、二本松眼科病院、彩の国東大宮メディカルセンター、三友堂病院で眼科医として勤務。述べ10万人以上の高齢者と接し、その症状や悩みに精通している。NHK「あさイチ」、TBSテレビ「ジョブチューン」、フジテレビ「バイキング」、テレビ朝日「林修の今でしょ!講座」、テレビ東京「主治医が見つかる診療所」、TBSラジオ「生島ヒロシのおはよう一直線」、「読売新聞」「日本経済新聞」「毎日新聞」「女性セブン」「週刊文春」「週刊現代」などメディ出演多数。著書に、著書に、『1日3分見るだけでぐんぐん目が良くなる!ガボール・アイ』『老人の取扱説明書』『認知症の取扱説明書 』(以上SB新書)、『緑内障の最新治療』(時事通信社)等がある。 

取材・文/鹿住真弓

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