2019.03.23 |サービス   

ケアマネジャー(介護支援専門員)の役割と選び方|ケアマネをどう選ぶかで介護は変わる

 久しぶりに顔を合わせた親が、予想以上に小さく、弱々しくなっていた―。

 総人口に占める65歳以上の割合が30%に迫るなか、「老親の介護」は国民の一大関心事となっている。もし介護の問題に直面した時、頼るべき指針とは何か。それを教えてくれるのが、「ケアマネジャー」という頼もしい存在だ。

高齢者夫婦にプランを説明する女性と車椅子、施設のイラスト

ケアマネジャーの選び方で介護は変わる(イラスト/アフロ)

関連記事:ケアマネジャーってどのような存在?【プロが教える在宅介護のヒント】

 介護評論家の佐藤恒伯氏が解説する。

介護良し悪しを左右するケアマネの存在

「介護を受ける本人も、その家族も、最初はどんな介護サービスや行政サービス、地域ボランティアがあるか知らないのが当たり前です。そこで登場するのがケアマネジャーです。介護のプロである彼らは、介護計画を設計し、同時にそれがしっかり機能しているかをチェックする。適切なケアマネ選びができないと、要介護者のためにも家族のためにもならない。介護の“良し悪し”を左右する鍵は、ケアマネが握っています」

 下の図では、要介護認定を受けてから、ケアマネを決定し、介護がスタートするまでの流れを示した。

ケアマネ決定から介護始まるまでの流れを現した図
 在宅介護の場合、要介護認定を受けたらまず、地域包括支援センターや自治体の保健福祉課窓口で、居宅介護支援事業所のリストを手に入れる。各事業所の特色やケアマネの特長を確認したうえで、事業所と契約する。そしてケアマネがケアプランを作成すれば、介護がスタートする。

 ケアマネは介護を受ける人はもちろん、家族と介護サービスの事業者との調整役だ。

 ケアマネがいなくても介護計画を立ててサービスを利用することは可能だが、専門家でない人間が無数のサービスの中から、適切なものを選択するのは不可能に近い。「まずケアマネを立てる」―これがストレスなき介護の必須条件だ。

ケアマネジャーの主な役割

・ケアプラン(介護計画書)の作成
・要介護者、家族の不安・問題点の抽出
・利用者への適切なサービス事業者の紹介
・訪問介護、通所介護利用の調整
・介護給付費の管理
・配食サービスや安否確認サービスといった介護保険外サービスの案内

ケアマネの前歴、保持資格が選定の肝。MSWや介護職員の口コミを参考に

 そもそもケアマネジャーは「介護支援専門員」とも呼ばれ、介護保険法に規定された専門職だ。主な仕事は利用者の介護サービス全体のマネジメント。よくヘルパーなどと混同されるが、厳密には、直接介助や治療を行なう存在ではない。

 ケアマネになるためには、看護師や介護福祉士、社会福祉士、歯科衛生士、栄養士などの国家資格者であるか、介護施設で相談業務に従事した経験が必要だ。保持資格や前歴によって、ケアマネの「得意分野」は異なる。

「看護師などの医療系の資格を持っていれば、病気や医療の知識が豊富で、親に持病があったり、過去に大病をしたことがあるといった場合には、医療的な視点のアドバイスをもらえる。介護福祉士などの資格保持者は、実務的な介護の方法などを熟知しているため日常生活で必要な支援が適切に介護計画に反映される」(ケアタウン総合研究所代表・高室成幸氏)

 介護される人の状態や家族の状況に合わせて、ケアマネ選びを行なうことが肝要だが、地域包括支援センターや各自治体の窓口でもらえる一覧表にはケアマネの個人名や保持資格までは記載されていない。そのため比較的規模の大きい病院にいる医療ソーシャルワーカーや、介護職員、介護サービスの利用者の口コミの評判が参考になる。

「在宅」か「施設」かで違うケアマネ

 さらに、ケアマネは「居宅ケアマネ」と「施設ケアマネ」に大別される。

 在宅が専門の「居宅ケアマネ」は支援事業所に所属し、要介護者や家族の状況に合わせて介護サービスをセットアップする。一方の「施設ケアマネ」は、特養や介護付き有料老人ホームなどの介護施設に所属し、自前の施設で完結できるサービスを組み合わせることに長けている。

 基本的に在宅介護では「施設ケアマネ」を選ぶことはできない。逆に、施設に入所した場合には「居宅ケアマネ」を選択できない。

「病気や事故などが原因で急に寝たきりになった」という場合を除いて、在宅介護を選択するケースが大半のため、最初は「居宅ケアマネ」と介護を進めていくことになる。

「ヘルパー」との違い:ケアマネは計画立案者

 それらを踏まえて事業所に問い合わせると、希望に合いそうなケアマネを紹介してもらえる。ケアマネと電話で話して問題がなさそうなら家に来てもらい、直接面談する。ケアマネの性格や雰囲気、話しぶり、対応の仕方といった相性も重要だ。

 それは介護される親はもちろん、介護する家族にとっても同様だ。そのまま担当を依頼することもできるし、相性が合わなければ事業所に別のケアマネを紹介してもらうことも可能だ。もちろん、別の事業所にするという選択もある。

関連記事:ケアマネの見つけ方「支援事務所」「前歴」がカギ 交代もあり

 いざ決まれば、ケアマネが「ケアプラン(介護計画書)」の作成を始める。これが、介護全体をマネジメントするケアマネの主業務と言っていい。よく混同される「ヘルパー」が介助などの実務を担うのに対し、ケアマネは計画立案者だ。

 要介護度といった基本情報に続いて、ケアプランに真っ先に記入される項目は、「利用者及び家族の生活に対する意向」。つまり、介護を通して、本人と家族はどうなりたいと考えているか、という目標到達点を設定するのだ。

 それを基に、ケアマネは「総合的な援助の方針」を立て、具体的な介護サービスの組み合わせを決めていく。

 相性のいいケアマネを選択できれば、親の状態に合ったベストなケアプランが組め、家族もストレスを感じずに済む。プロの観点から、要介護者本人や家族も気付いていなかった新たな問題が見つかることも多いという。

 一方で、ケアマネとの波長が合わないと、親の状態が悪化したり、家族にも大きなストレスが生じてしまう。

手厚い介護計画が必ずしも良いわけではない

 要介護者や家族の状況を考慮せず、画一的なプランを提案するケアマネは要注意だが、一方で、手厚くカバーしようとし過ぎるケアマネも厄介なことがある。

 ケガの後遺症で足に麻痺が残る母親(80代)を介護する高山弘也さん(62歳、仮名)が振り返る。

「母は、“料理や掃除などの家事はできるだけ自分でやりたい”という意思を持っていた。ですが、足の障害もあり、ケアマネは日常の介助を手厚く行なうケアプランを作りました。いざ介護サービスが始まってみると、ヘルパーがなんでもやってしまうんです。親身な介護はありがたかったのですが、母は家事や雑用で動く機会がなくなったので、かえって足腰が弱っていった。そのことを、別のケアマネに相談したんです。その人は、デイサービスの施設でリハビリなどを行なう作業療法士の資格をもっていました。彼に母の状態を伝えたら、“むしろ今すぐに無理にでも動かないといけない”と指摘されました。母のためを思って作られたケアプランでしたが、結果として母にとって適切ではなかったんです」

 介護受ける親にとって、家族にとって、ふさわしいケアマネを選ぶことが、介護がうまくいく重要なカギになる。

関連記事:ケアマネ次第で介護は変わる!うまく付き合う5つのポイント

※週刊ポスト2019年3月22日号

 

 

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