2019.05.25 |サービス   

介護施設訪問レポート|スタッフが「できることは見守る」グループホーム(認知症対応型共同生活介護)<前編>

 高齢者向けの住宅の中から、話題の施設をピックアップ。記者が訪問し、施設で働く人の思い、設備、サービスなどをレポートする。今回は、東京都目黒区にあるグループホーム「たのしい家 目黒東が丘」だ。

たのしい家 目黒東が丘

 グループホームをご存知だろうか。正式名称を「認知症対応型共同生活介護」といい、認知症の高齢者を対象とした専門的ケアを提供する施設で、少人数で共同生活をするのが特徴だ。グループホームの目的は、認知症の高齢者が住み慣れた地域で生活を続けられるようにすること。そのため、施設と同じ地域に住民票があることが必須だ。自治体によってはその地域の住民票を持ってからの期間に条件があるところもあるので確認が必要だ。

グループホームの外観

閑静な住宅街で静かな暮らしを送れる

 今回紹介するのは、東京都目黒区東が丘に今年の4月1日にオープンした「たのしい家 目黒東が丘」。高齢者向けの施設といえば、食事や部屋の掃除などをスタッフが代わりにしてくれるというイメージを持っている人が多いかもしれないが、ここでは共同生活を送りながら、できることは自分で行うのが基本だという。

サ高住や介護付有料老人ホームとの違い

 グループホームではその名の通り、高齢者が共同生活を送っている。2階建ての「たのしい家 目黒東が丘」では各階9人ずつのグループで生活している。集団生活とはいえ、それぞれにプライバシーが守られた個室があり、落ち着いた環境で暮らすことができる。

グループホームの居室

居室には大きな窓があり、日当たりもよい

グループホームの廊下と居室のドア

全て個室なので、それぞれのペースで生活できる

 こちらでは「できることは見守る」を基本姿勢に、自分らしく生活していくための自立支援を行っているという。サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)との違いは、認知症ケアのできる専門性を持った介護スタッフが24時間いることだ。

グループホームで体操をする高齢者たち

一緒に楽しみながら身体を動かす

 共同生活を送るにあたって気になるのはやはり共用部分。こちらでは個浴型のお風呂が用意されている。シャワーチェアがあるので、座位が保てれば問題なく入浴できる。

 また、洗濯物をスタッフが預かって、汚れ物とそうではないものに分けるなどして丁寧に洗ってくれるので、汚れたままの服を着続けてしまうような心配はなさそうだ。

グループホームの浴室

一般的な家庭のお風呂よりも大きい

グループホームの洗濯機と乾燥機

洗濯機と乾燥機が2台ずつ

 介護付き有料老人ホームとの違いも要チェック。介護付き有料老人ホームの場合は、要介護度が重い利用者も受け入れているところが多いが、グループホームでは基本的には、医療行為を伴う介護が必要な人は入居が難しい場合がある。とはいえ、往診医や後方支援病院、協力医療機関などと連携する形で医療体制は整っている。

グループホームの緊急警報システム

部屋にある緊急警報ボタンを押せばスタッフに伝わる

グループホームの個人の洗面道具入れ

洗面道具はそれぞれ決まったボックスに

「私は最初、1年くらい有料老人ホーム、その次はデイサービスで5年ほど働きました。その経験をしたことで、ご自宅で過ごすことの大切さも分かりました。皆さん“施設”に入居されているわけですが、できるだけご自宅に近い環境で過ごしてほしいと思っています。今までご自宅で過ごしていた時の1日の生活リズムを、そのまま継続できたら1番いいと思っています。

 グループホームは、皆さんで生活の全部をやっていただくことを目指しています。有料老人ホームだとご飯も全部用意されていて、お掃除もしてもらえる環境ですが、ここでは私たちスタッフが、足りない部分や難しい部分を少しお手伝いするというイメージで関わっています」(ホーム長の櫻井彩子さん 以下「」はさん)

グループホームの職員

笑顔が印象的な櫻井さん(右)と計画作成担当者の大関静枝さん

グループホームの入居者を介助する職員

目配りをしながら、必要な手助けをしているのが印象的だった

「たのしい家 目黒東が丘」の定員は18名。小規模なのでスタッフと入居者はもちろん、入居者同士も仲良くなりやすいというメリットがあるという。

「入居者同士で仲良くなる方もいらっしゃいます。各階9人ずつの少人数なので、顔なじみにはなりやすいですね」(櫻井さん)

認知症の家族をプロの手に任せることのメリット

 認知症の家族の介護で苦労している人は多い。介護経験がない場合がなおさらだろう。

 在宅での介護が難しくなり、入居先をグループホームにと考えた場合、そのメリットはどこにあるのだろうか。

「認知症の方をご自宅で介護するのは精神的にかなり大変だと思います。認知症の方は同じことを繰り返し言ったりする症状がありますが、お子さんにとってはお父さん、お母さんなので、元の状態に戻ってほしい、治ってほしいという気持ちから、ついつい『さっきも言ったでしょ』などときつい返答をしがちだと思います。認知症の方は、記憶を新しく積み重ねていくことはできなくても、感情を積み重ねていくことはできます。“うれしい”、“楽しい”というプラス感情を積み重ねていくと、その方の人格ができていきます。グループホームの生活で“いい感情”を積み重ねていくことで、ご家族や周りの人との関係にもいい影響を与えると思います」(大関さん)

「ご家族との生活がうまくいかなくなってしまった場合、物理的にも精神的にも離れて住むことで程よい距離感を取れ、いい関係性を保てるようになります。今後は、ご家族を巻き込んだイベントもやっていきたいと思っています。一緒に目の前の畑でぶどう狩りもできたらと考えています」(櫻井さん)

グループホームのテラス

テラスの向こう側はぶどう畑

 グループホームごとに雰囲気が違うと話す櫻井さん。一緒に暮らす人、スタッフの雰囲気を感じ取るためにも見学し、それぞれに合ったところを見つけることが重要だという

 認知症の高齢者が住み慣れた地域で共同生活を送れるグループホーム。共同生活なので他の入居者に迷惑をかけてしまう可能性が高い場合は入居が難しいが、今まで選択肢に入れていなかった人も近くの施設をチェックしてみてはいかがだろうか。

撮影/津野貴生

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【データ】
施設名:たのしい家 目黒東が丘
公式WEBサイトhttps://www.tanoshii-ie.jp/single109/
所在地:東京都目黒区東が丘1-29-4
最寄駅:東急田園都市線「駒沢大学」駅から徒歩9分
類型:グループホーム(認知症対応型共同生活介護)
事業主体:株式会社ケア21
敷地面積:607.10平方メートル
延床面積:557.51平方メートル
室数:18室(定員18名)
入居要件:要支援2以上で目黒区に住民票のある方
構造:鉄骨造り2階建て
開設年月日:2019年4月1日
料金:月額利用料+介護保険料
入居一時金なし
月額利用料:17万4000円(内訳:部屋代9万5000円、管理費:4万円、食費3万9000円・30日計算の場合)
敷金:9万5000円

※施設のご選択の際には、できるだけ事前に施設を見学し、担当者から直接お話を聞くなどなさったうえ、あくまでご自身の判断でお選びください。

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