2019.06.01 |サービス   

介護施設訪問レポート|認知症の人が共同で調理や掃除。家庭的な暮らしを送れるグループホーム(認知症対応型共同生活介護)<後編>

 高齢者向けの住宅の中から、話題の施設をピックアップ。記者が訪問し、施設で働く人の思い、設備、サービスなどをレポートする。今回は、東京都目黒区にあるグループホーム「たのしい家 目黒東が丘」だ。前編に引き続き、その特色を紹介する。

→前編を読む

たのしい家 目黒東が丘

 専門的ケアを受けながら、認知症の高齢者が共同生活をするグループホーム。正式名称を「認知症対応型共同生活介護」といい、住み慣れた地域で生活を続けられるのが特徴だ。東急田園都市線駒沢大学駅から徒歩9分の閑静な住宅街にあるグループホーム「たのしい家 目黒東が丘」。隣には保育園があり、園児たちとの交流もあるという。

グループホームの玄関

植栽がきれいに整えられている玄関

 記憶障害や判断力、自発性の低下など、認知症の症状はさまざまだ。同じ人でも時間帯や接する人の対応の仕方によって、反応が違ってくることもある。また、過去の記憶や生活習慣はそのまま持ち続けている場合が多く、慣れ親しんだ仕事や家事は以前と同じようにできることもあるのだという。

毎日買い物に行き、みんなで料理を作って食べる

「たのしい家 目黒東が丘」の基本姿勢は「できることは見守る」こと。高齢者施設では、手取り足取りお世話をしてもらうというイメージを持っている人もいるかもしれないが、ここでは食事作りを共同で行い、掃除なども分担。一人ひとりが役割を持つことを大切にしている。

 廊下の掃除は誰、昼食作りは誰と仕事の割り当てのように決まっているのではなく、その時その時の状況に合わせて、スタッフが声をかけ、できる人が役割を担うかたちだ。

箸を並べるグループホームの入居者

入居者がお箸を並べて昼食の用意

「ご自身で食事を作ったということが自信になりますし、◯◯さんが作ってくださったんだよ、というお話をすると、恥ずかしがりながらもうれしそうにされています。役割を持つことは自立支援のためにも大切ですね。今までずっと家で料理をされていた方は、私たちよりも上手なので助けてもらっています」(管理者の櫻井彩子さん)

「冷蔵庫にあるものも使い、相談しながら皆さんで一緒に料理をします。好きな食材で好きなものを作って食べます。午前中に体操が終わって、コーヒーやお茶を飲んでゆっくりしてから近所のスーパーに買い物に行って、その日の昼食や夕食の食材を選びます。朝食は夜勤明けのスタッフが作るので、事前にパンがいいか、ご飯がいいかを聞いておきます。大家族が使うような大きな家庭用の冷蔵庫を使っています」(計画作成担当者の大関静枝さん)

グループホームの冷蔵庫

家庭と同じように冷蔵庫の中身を見ながら献立を考える

 徒歩5分ほどのところにあるスーパーに散歩を兼ねて買い物に行き、食材を購入するのが日課。その日の体調や気分を最優先に、順番に全員が行けるように記録もつけながら調整しているという。

スタッフが1対1で対応してくれるので安心だ

買い物に行くグループホームの入居者と職員

スタッフと話しながら食べたいものを選んでいく

「買い物は普通の家庭と変わりません。例えば、スーパーのお惣菜売り場で揚げたてのコロッケを見て、人数分買ってきてみんなで食べることもあります。実際に目で見て、それを食べたいと思うのは自然なことだと思っています。栄養士が献立を考えているわけではありませんが、一般の家庭と同じように栄養バランスは考えています。例えば、トンカツをメインで食べたいとなったら、職員が副菜で栄養のバランスを整えたりします」(大関さん)

 認知症の症状の特徴として、物を忘れてしまったり、頭で思い描いたことを言葉に出すのが難しい人もいる。そのため、新聞の折込チラシを見てもらいながら、その日に食べたいものを考えてもらうといった工夫もしているのだという。

役割を持つことは認知症によい影響が

 長年家庭で料理をしてきた入居者の2人は包丁さばきもお手のもの。「トマトは半分に切る?」「レタスはこのくらいでいいかしら?」などと話しながら料理をしている様子を見ていると、グループホームにいることを忘れてしまいそうになる。調理当番が決まっているわけではなく、スタッフがリードしながらできる人ができることをしていく。

料理を作るグループホームの入居者

慣れた手つきで料理を作っていく

グループホームの料理をしている様子

スタッフと協力しながら料理を完成させていく

「長い時間立てない方は、食堂の席を使って、まな板と包丁で食材を切っていただいたり、皮むきをしていただいたりします。長時間立っていられなくても手元を動かすことができるなど、それぞれの方々に合わせて役割分担をしてもらっています」(大関さん)

「今までの生活でしてきたことをそのまま続けることで、認知症の症状が落ち着いてくることもあります。何もしないで過ごすより、できることをしていただいた方が自信にもつながります。安全を優先するために家では家族に危ないからと言われて、包丁や火を使うことを止められていることもありますが、ここではスタッフが様子を見ながらできることはやっていただいています」(櫻井さん)

サラダを盛り付けるグループホームの入居者

手際よくサラダを盛り付けていく

サラダの盛り付けをするグループホームの入居者

入居者同士でコミュニケーションを取りながら

 それぞれの身体の状態に合わせて、スタッフができ上がった料理を刻み食にしたり、とろみをつけたりしてくれるので、みんなと同じメニューを楽しむことができる。

 このような生活を支えているスタッフは、300講座を超える研修メニューから適時教育を受けていて、介護現場の経験も積んでいる認知症対応のプロフェッショナル。認知症の非薬物療法には、回想法や運動療法、レクリエーション療法など多くのものがあり、それぞれ効果が認められている。買い物と食事を作る様子を見ながら、「たのしい家 目黒東が丘」の日常生活にはそれらのエッセンスが自然に取り入れられていると感じた。

撮影/津野貴生

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【データ】
施設名:たのしい家 目黒東が丘
公式WEBサイトhttps://www.tanoshii-ie.jp/single109/
所在地:東京都目黒区東が丘1-29-4
最寄駅:東急田園都市線「駒沢大学」駅から徒歩9分
類型:グループホーム(認知症対応型共同生活介護)
事業主体:株式会社ケア21
敷地面積:607.10平方メートル
延床面積:557.51平方メートル
室数:18室(定員18名)
入居要件:要支援2以上で目黒区に住民票のある方
構造:鉄骨造り2階建て
開設年月日:2019年4月1日
料金:月額利用料+介護保険料
入居一時金なし
月額利用料:17万4000円(内訳:部屋代9万5000円、管理費:4万円、食費3万9000円・30日計算の場合)
敷金:9万5000円

※施設のご選択の際には、できるだけ事前に施設を見学し、担当者から直接お話を聞くなどなさったうえ、あくまでご自身の判断でお選びください。

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