2019.05.29 |サービス   

全国初!盲導犬と暮らせる特別養護老人ホーム開設「老犬ホーム」も併設

 今年4月、愛知県新城市に開設された特別養護老人ホーム『翠華の里』。こちらは高齢になった視覚障害者が、パートナーとして暮らしてきた盲導犬と共に余生を過ごせる全国初の特別養護老人ホームだ。

特別養護老人ホームの外観

 この施設を作ったのは、盲導犬を育成し、必要な人に貸し出している社会福祉法人中部盲導犬協会。同協会では、盲導犬ユーザーや盲導犬の高齢化が課題になっており、その解決のために、特別養護老人ホームを開設したという。

 盲導犬に限らず、犬と一緒に入居できる高齢者向けの施設はまだまだ少ないため、高齢者向けの施設に入居する際に、盲導犬と暮らせなくなってしまう事例があるという。

「これまで盲導犬と共に過ごせる高齢者向けの施設はなかったため、介護施設に入居する盲導犬ユーザーは、パートナーとして過ごしてきた盲導犬を手放さなくてはいけませんでした。『翠華の里』を作ったのは、そうした人々の“盲導犬と離れたくない”という声に応えるためでもあります」(施設長の早田一幸さん、以下「」同)。

盲導犬と高齢者

盲導犬と一緒に暮らすことができる施設はこれまでなかった

盲導犬以外にも長年暮らした愛犬との入居も可能

 3階建てのこの施設では、1階の20室が犬と一緒に暮らせる部屋になっており、長年共に暮らした愛犬との入居も受け入れているという。室内にはリードをかけるフックが用意され、ベランダには犬用トイレもある。

「2階と3階の80室は一般の高齢者の方向けで、1階に盲導犬や元々一緒に暮らしていた愛犬と一緒に過ごせる部屋が20室あります。床は犬が歩く時に滑りにくい材質にし、部屋の中にリードフックを設置しました。盲導犬はユーザーさんの自宅の玄関先やベランダで排泄できるように訓練をするのですが、それと同じように1階の各居室ベランダに排泄をするためのスペースを作っています」

犬と一緒に住める特別養護老人ホームの犬用トイレ

犬と一緒に暮らすための設備が整っている

引退した盲導犬の終の棲家「老犬ホーム」

『翠華の里』の敷地内には、“老犬ホーム”も同時に建設された。ここは、役目を果たし、老後を過ごす盲導犬が安らげる場所だ。犬用の足湯もあり、ドッグランで駆け回ることもできる。

引退した盲導犬が住む老犬ホーム

引退した盲導犬のための老犬ホーム

「盲導犬の協会は中部盲導犬協会を含めて11ほどありますが、母体がそれぞれ違います。当協会の場合は盲導犬を貸与する形をとらせていただいています。そのため、ユーザーさんの心身状態変化によって、外に出かけられなくなったり、盲導犬をご自分でお世話できなくなった場合に、盲導犬を返していただく形になります。餌をあげたり、排泄物の処理をすることが難しくなれば、盲導犬を手放すことになるのです」

 高齢になり引退した盲導犬は、一般の家庭に引き取られて余生を過ごすことが多いが、条件やタイミングが合わず、引取先が見つからない場合は協会で面倒をみることになるケースもあるのだという。

盲導犬と触れ合う高齢者

引退した盲導犬も一緒に暮らすことができる。

盲導犬ユーザーの高齢化に対応

「盲導犬ユーザーの高齢化が進んでいるので、このような施設の必要性は今後、高まってくると考えています」と早川さんは語る。

犬と一緒に住むためにリードフックが設置

室内に用意されたリードフック

「東海三県に限らず、東京、大阪、神奈川、静岡、九州のユーザーさんなどからもお問い合わせを頂きます。様々な心身状況の入居者さんに合わせた支援を適切に行うことができるように、施設職員の研修にも力を入れていきます。盲導犬やペット犬と共に過ごせるところはなかなかないと思いますが、それだけではなく、皆さんの希望をできるだけシンプルに叶えていきたいです」

愛犬が走り回れるスペースと足湯

利用者が安心して介護を受けられる環境を提供

 犬のことだけではなく、もちろん、介護を受ける入居者のことを考えて施設は作られている。マットレスの下に設置したセンサーで寝返りや呼吸、心拍などを測定し、睡眠状態を把握する『眠りSCAN』を導入。センサーで得られた入居者の状態を、パソコンや携帯端末でリアルタイムに確認してくれる。あらかじめ設定をしておくと、入居者の状態変化があった場合に、その情報が各端末に通知されるという。このような機能を活用し、入居者にとって安心な見守りとタイムリーな介護を提供していくという。

 また、フランスベッドの寝返り支援ベッドを導入し、身体を動かすことが困難な入居者の寝返りを電動運動で支援。ベッドの床板が左右にゆっくり動いて体圧を分散し、寝返りを安全にサポートしてくれるという。優しい動きなので、安眠を妨げられることはないそうだ。

愛犬と一緒に住める特別養護老人ホームの共用部

愛犬と共に過ごせるスペースも充実

 パートナーとして過ごしてきた盲導犬と自宅を離れても一緒に住むことができる『翠華の里』。愛犬と一緒に住める高齢者向けの施設を探している人にとっても、うれしい環境が揃っている。

【データ】
施設名:翠華の里
公式WEBサイト:https://suikanosato.or.jp/
所在地:愛知県新城市豊岡字田ノ島52-9
最寄駅:JR東海・飯田線「湯谷温泉駅」より徒歩12分
類型:特別養護老人ホーム
事業主体:社会福祉法人中部盲導犬協会
敷地面積:10546.16平方メートル
延床面積:4,446.96平方メートル
室数:100室(20室が犬と同居可能)
構造:鉄筋コンクリート造 3階建て
開設年月日:2019年4月1日

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