2019.06.08 |暮らし    1

介護施設訪問レポート|自立支援介護に特徴のある介護付有料老人ホーム【まとめ】

 高齢になっても心身ともに健康で自立した生活ができるように支援する介護予防への注目が年々高まっている。 

オープン間近の話題の施設や評判の高いホームなど、カテゴリーを問わず高齢者向けの住宅全般を幅広くピックアップし、実際に訪問して詳細にレポートしている「注目施設ウォッチング」シリーズ。今回は、入居者ができるだけ長く自立した生活を送れるように工夫をしている介護付有料老人ホームをピックアップして紹介していく。

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胃ろうが外れた人も!「あきらめない」自立支援介護を実践する介護付有料老人ホーム「ウェルケアガーデン馬事公苑」

 介護付有料老人ホーム「ウェルケアガーデン馬事公苑」では、できないことを介助するのではなく、再びできることを目指す介護に取り組んでいる。「要支援・要介護の人に再び健康な心と体を手に入れてもらい、いつまでも明るく、楽しく暮らしてもらうこと」。それがウェルケアガーデン馬事公苑の自立支援介護が目指す目標だ。そのために“身体的”、“精神的”、“社会的”なサポートの3つからなる「Value aging(バリューエイジング)」というコンセプトを掲げている。

介護付有料老人ホームの外観

東京農大と馬事公苑が目の前という立地

 水分、食事、運動、排泄の4つを重視して自立支援介護に取り組んでいるという。入居者は1日1500mlの水分摂取を目標としており、食事や運動時などに飲んだ水分量をスタッフが正確に記録している。体内の水分量が不足すると、意識や覚醒の水準が落ちて、ぼんやりとしてきてしまうのだという。

介護付き有料老人ホームの共用スペース

洗練されたデザインが印象的な館内

「アセスメントといいますが、入居前の状態をご家族などから細かく伺い、それにあったサービスを提供しています。例えば、寝たままでいないように、ホームに入居後、すぐに座位を取っていただいたり、食事もベッドではなく椅子に座って召し上がっていただいたりします。入居当日からそういったことをさせてもらっていますね。基本ケアの4つを忠実にさせていただくことで要介護度5から2に改善した方もいらっしゃいます。水分と排泄、運動、食事の4つを連動させ、実践しているのが『あきらめない介護』です」(ウェルケアガーデン馬事公苑・総支配人の今村卓弥さん。以下、「」同)

 今村さんはウェルケアガーデン馬事公苑の開設以来の改善実績表を見せてくれた。そこからは実践の結果が如実に読み取れる。開設以来の延べ人数でいうと、車椅子からシルバーカー・歩行器への改善が24人。寝たきり状態から車椅子になった人もいる。また、食事内容が軟飯から米飯(普通の固さのご飯)に改善が31人、中には胃ろうから常食にまで回復した人までいる。

介護付有料老人ホームの食堂

食事の場で口腔機能を維持するサポートをしてくれる

「私たちはスタッフの都合ではなく、ご入居者目線で介護を行っています。寝たきりのままにするのでなく、スタッフ2人がかりになってもトイレまでお連れしています。お食事面でも、やっぱり胃ろうよりも口から食べていただきたいという気持ちで介助を考えます」

 ここではオムツを使わずにトイレに行って排便することを目指している。排泄には4つのポイントで挙げた水分や食事、運動も関連している。十分な水分を補給し、栄養バランスの良い食事をよく噛んで食べる。そして運動を習慣にし、体調を整えていくと体に自然なリズムが生まれてオムツのいらない生活が可能になっていくという。自分自身でトイレに行くことは自立につながり、外出ができるようになるなど行動範囲も広がっていくそうだ。

介護付有料老人ホームの居室のトイレ

トイレはもちろんバリアフリー仕様

→胃ろうが外れた人も!「あきらめない」自立支援介護を実践する老人ホーム<前編>
→要介護度改善が目標の老人ホーム!実践する自立支援介護とは?<後編>

理学療法士が常勤!機能訓練が充実の介護付有料老人「ネクサスコート本郷」

 大学病院や先進医療施設が数多く集まっているJR御茶ノ水駅周辺。恵まれた医療環境に立地する「ネクサスコート本郷」は御茶ノ水駅から徒歩6分。安心できる立地に加えて、看護師による24時間勤務体制なのでいざという時の安心感も。

御茶ノ水駅近くのサッカー通り

御茶ノ水駅からサッカー通りを歩いて6分で到着

「ネクサスコート本郷」で入居者の健やかな日々を支えているのが常勤の理学療法士。理学療法士がいくつかの施設を定期的に巡回してリハビリを担当している高齢者向けの施設はあるが、こちらのように常勤体制にしているところはまだまだ少ない。ネクサスコート本郷を運営する株式会社ネクサスケアは全国で17の有料老人ホームを運営しており、いずれの施設でも看護師・24時間常勤、理学療法士・常勤の体制を整えている。

介護付有料老人ホームの外観

文京エリアとして人気の本郷に立地

 ネクサスコートでは理学療法士が専門性を活かして各施設で様々な取り組みを行っている。その1つが「シーティング」と呼ばれる、座位の姿勢を最適化するアプローチだ。身体能力が低下し、自分で姿勢を変えられず、崩れた座位で過ごしていると、食事の量が減ったり、床ずれが生じてしまうことがあるという。車椅子を使っている場合、座っている時間も長くなるので、より注意が必要だ。

 同系列の施設、神奈川県川崎市の「ネクサスコート久地」では、車椅子を使っている90歳代の女性の座位をチェックし、大きさのあっていなかった車椅子を変え、さらにクッションを使うようにした。その結果、姿勢の崩れが軽減し、臀部に均一に体重がかかるようになり、お尻の痛みが改善し、食事や水分を以前よりも取れるようになったという。

車椅子に乗っている体が傾いた高齢者

シーティング実施前は体幹が大きく右に傾いている

姿勢が改善した車椅子の高齢者

シート幅が身体にフィットしたため姿勢が改善

「理学療法士が常勤しているからこそ気付けることも多く、福祉用具の手配・選定も専門性を持ってできますね。転んだ時の対応や何か状態が変わった時に何をすればいいのかなど、専門性を持ってアドバイスができるので、ご家族様からも理学療法士に対する信頼を感じます」(ネクサスコート本郷施設長の関一樹さん)

 理学療法士の折戸優樹さんは専門性を活かし、ネクサスコート本郷で個別リハビリと集団リハビリを担当している。集団リハビリでは、オリジナルの体操を考えたり、脳トレを取り入れるなど意欲を引き出す工夫に余念がない。個別と集団、それぞれのリハビリの役割について聞いてみた。

介護付有料老人ホームの理学療法士

理学療法士の折戸優樹さんは介護老人保健施設(老健)での勤務経験もある

「個別リハビリとグループリハビリには役割の違いがあります。個別では密に関われるので、お一人おひとりの状態も把握しやすく、直接お話を聞いて確認ができます。グループリハビリにもメリットがあります。お一人ではなかなかリハビリへのモチベーションが湧かない方でも、他の方から刺激を受けると取り組みに変化が出てきます。また、お部屋にこもりがちな方の場合、グループリハビリで周囲の方と同じ時間を過ごすことで孤独感を解消する効果がありますね」(折戸さん)

→先進医療施設が近隣!看護師24時間常勤の介護付有料老人ホーム<前編>
→理学療法士が常勤!機能訓練が充実の介護付有料老人ホーム<後編>

「歩く」をテーマに!一人で外出もできる介護付有料老人ホーム「プレザングラン江東亀戸」

「自分の足で歩いて出かけたい」。こういった願いに真正面から取り組んでいるのが介護付有料老人ホーム「プレザングラン江東亀戸」だ。ここでは“歩くからはじまるセルフメディケーション”をテーマとして掲げている。「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」がその意味だ。

介護付有料老人ホームの外観

駐車場や庭がたっぷりとれる広い敷地

 歩くことをコンセプトの基礎に置いた理由について、運営会社の株式会社ケア21の佐藤伸也さんに聞いた。

「行動の範囲が年齢と共に狭まってきてしまいますが、おいしいものを食べることも、オシャレをすることも、実際にレストランに足を運んだり、デパートで服を選んだりしたいはずなんです。移動できる距離を延ばして、実体験として喜びを味わうことが大切だと思っています。そこで歩くことをコンセプトにしました」(佐藤伸也さん 以下「」は佐藤さん)

介護付有料老人ホームの職員

佐藤伸也さんは介護業界での経験も長く現場のことにも精通している

「歩くからはじまるセルフメディケーション」のために、リハビリ(機能訓練)、医療、食事、QOL(生活の質)からアプローチをしてくれる。リハビリでは、理学療法士が運動能力の評価をし、機能訓練のメニューを作成。また、食事では歩くことにプラスになる献立が栄養士によって考案されている。1550キロカロリー・カルシウム620ミリグラムの「ベーシック食」があり、そこに100キロカロリー、カルシウム80ミリグラムを加えた食事を提供しているという。

「理学療法士のリハビリ、往診の医師による医療の視点、それに加えて食事・栄養の側面からも歩くことをサポートしています。歩けるようになるとエネルギーも必要になってきます。カロリーをアップするためにオリーブオイルを加えたり、お豆腐に小海老をかけるなどしてカルシウムを強化しています」

介護付有料老人ホームの厨房

厨房は自社で手がけているので柔軟な対応が可能

 ここでは入居者をそれぞれの状態でステージ1、ステージ2、ステージ3に分けているという。ステージ1は自立歩行・杖歩行、ステージ2は車椅子・歩行器、ステージ3は寝たままの状態が長い方・座位保持の状態。目標・目的をそれぞれ定め、機能訓練、生活リハビリ、食事などの施策に落とし込んでいく。

「寝たままの状態が長い方をいきなり歩けるようにするためにどうすればいいのかと考えるのではなく、段階を踏んで、まずは車椅子で移動できるようにするためには、どういう筋力をつければいいのかを考えます。そして、車椅子の方が杖を使って歩けるようになるためにはどのようなことが有効なのか、逆算するような形でプログラムします。プログラムを作るのは、巡回で月に2回来るリハビリのプロフェッショナルである理学療法士です」

ゴムのバンドを使ってリハビリをする高齢者たち

伸び縮みするゴムのバンドを使って無理なく体を動かす

 例えば、ステージ2の車椅子・歩行器の人の目標は歩けるようになることだ。その目的は外出できるようになることと、いつまでも元気で過ごすことだ。そのために機能訓練で個別のプログラムに取り組み、カルシウムをプラスした食事を摂る。

ボールを使って運動する高齢者たち

リハビリではボールも活用する

「プレザングラン江東亀戸」の居室にはベッドからトイレに行く際につかまりやすいよう、手すりを設置するなど細かい配慮もなされている。“歩く”というコンセプトが掛け声や建物の設計だけにとどまらず、しっかりと職員が実践して効果を出している様子が印象的だった。

介護付有料老人ホームの居室

居室には使い慣れた家具を持ち込める

→リハビリや食事で歩けるように!「歩く」をテーマにした介護付有料老人ホーム<前編>
→「歩く」をテーマに!一人で外出もできる介護付有料老人ホーム<後編>

 いかがだっただろうか。施設によって自立へのアプローチが異なるので、心身の状態に合ったところを選ぶことが大切だ。自分や家族がイメージする自立した生活像を明確にして相談してみるのが良さそうだ。

撮影/津野貴生

※施設のご選択の際には、できるだけ事前に施設を見学し、担当者から直接お話を聞くなどなさったうえ、あくまでご自身の判断でお選びください。
※過去の記事を元に再構成しています。サービス内容等が変わっていることもありますので、詳細については各施設にお問合せください。

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  1. sa より:

    ネクサスコートなんて若いPTがいるだけじゃん
    しかもその人、知ってるけど病院経験もまともにないし
    事情を知らない人間が取材をしてもなんだかねぇ

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