2019.06.05 |ヘルス   

膝がポキポキ、ゴリゴリ鳴るのは関節トラブル、病気のサインかも

 膝のトラブルは高齢女性だけの悩みではない。膝に違和感を覚えたことのある40~70代男女400人を対象とした調査(ゼライス株式会社<宮城県多賀城市>調べ)によると、膝に痛みがなくても動かしたときに音やこわばりなどを感じる人は40代男性が最も多く、9割以上にのぼったという。

 特に働き盛りをも悩ましているのは、不快な「膝鳴り現象」だとうい。この「膝鳴り現象」の原因とは? 

 放置すると重篤な障害に直結してしまうのか? 膝痛治療の第一人者である関町病院(東京都練馬区)の丸山公院長に、膝の音の正体と対策をうかがった。

膝に手を当てる女性

曲げ伸ばしのときに膝が鳴ったら…

「ボキボキ」「ゴリゴリ」膝の音は変形性膝関節症の前ぶれ!?

 普段の生活の中で、膝を曲げたり伸ばしたり歩いたりすると、「ポキポキ」「ゴリゴリ」といった妙な音が出ることはないだろうか。痛みもなく歩くのに差し支えなければ、特に気にしないという人もいるのでは?

 実はこの音は関節の病気のサインのことだと、膝痛治療の第一人者である関町病院(東京都練馬区)の丸山公院長は言う。

「これは、関節の『摩擦音』なのです。膝軟骨の水分量が減ってくると、関節の摩擦抵抗が大きくなり、摩耗が始まります。膝を動かすと局所的な圧迫力が増し、音が鳴るようになるのです。初期段階では『ポキポキ』『バキバキ』といった破裂音や『カクカク』『ギシギシ』といった、きしむような音が出るようになります」(丸山院長、以下「」内は同)

 曲げ伸ばしのときの音は、関節の老化を知らせてくれるものだったのだ。膝関節に存在する軟骨は水分を保持していることで滑らかに動き、クッションの役割も果たしている。この水分が減少する主な原因は加齢で、早ければ30代から減り始める。

「ところが、膝の摩擦音がしばらくして消えてしまうことがあります。音がしないことで、問題がなくなったと思いがちですが、そうではないんです。膝軟骨の摩耗が進んで表面が滑らかになると音がしなくなるからです。また、軟骨を包んでいる滑膜(かつまく)が炎症を起こすと関節液が増える現象が起こり、この場合も音は減少します」

 膝の音がしなくなったら、安心なのではなく「中期段階」への進行を疑った方がいいということのようだ。放置すると軟骨はさらにすり減っていく。

「膝関節の軟骨下骨という場所まですり減ると、骨どうしが直接ぶつかって、今度は『ゴリゴリ』『ザラザラ』という強い膝音に変わり、痛みも感じるようになります。この進行期までくると、変形性膝関節症になっている可能性が高いでしょう」

変形性膝関節症の進行を示すイラスト

軟骨がすり減り、やがて骨どうしがぶつかって変形性膝関節症に進行する

 変形性膝関節症は、主に膝の軟骨が摩耗することで起こる病気。丸みを帯びて滑らかに動くような形をしていた関節の骨が変形し、周囲の組織を圧迫したり傷つけたりするようになる。

「米国では、膝を動かしたときに感じる音やきしみの頻度と、変形性膝関節症の発症リスクを調べる大規模調査が行われました。変形性膝関節症の症状がない男女3495人(男性42.2%、平均年齢61.1歳、レントゲン検査で膝軟骨が軽度に摩耗していると確認された人26%)を対象に、3年間にわたって1年ごとに調査したものです。その結果、膝の音やきしみが全くない人に比べて、『たまにある』では変形性膝関節症の発症リスクが1.5倍、『ときどきある』では1.8倍、『よくある』では2.2倍、『いつもある』では3.0倍に高まることが報告されています。こうしことからも私は、膝の音は変形性膝関節症の発症予測に有効と考えているのです」

 膝の病気を見つけるために、丸山院長は次のチェックを行うといいと言う。1つでも当てはまれば膝のケアを始める必要があるとのこと。

□膝からいつもと違う音がする
□膝にこわばりを感じる
□動き始めるときに膝から音がする
□曲げ伸ばしすると膝の音がする
□階段を昇り降りするときに膝の音がする
□膝が腫れている、または熱感がある
□激しいスポーツをしている(していた)
□過去に膝の怪我をしたことがある
□座ったり立ったりすることが多い生活をしている
□歩き方が最近変わってきた

「膝の音は、靭帯や半月板の損傷、関節リウマチ、軟骨骨折、骨壊死、骨腫瘍、脱臼などでも起こることがあります。中でも最も多いのは変形性膝関節症です。音がしたら膝関節の病気の前ぶれで、早期発見するための重要な警鐘と考えましょう」

膝のレントゲンを手に説明する丸山公院長

「ひざの音は変形性膝関節症のサインのことがあります」と丸山院長

膝の痛みは認知症や生活習慣病リスクも高める

 膝痛の患者数は日本全国で3000万人、50歳以上では女性が男性よりも1.5~2倍多いことがわかっている。しかし、ゼライスの調査が示すように40代の男性でも油断はできない。丸山院長の病院では慢性的な膝痛を抱える人の7割以上が、40代から膝の音やこわばりなどの違和感があったという。

「しかし膝から音がするからといって、過剰に怖がる必要はありません。心配しなくていい音とそうでない音があるのです。膝が鳴ったけれど単発的である、痛みや腫脹(腫れ)を伴わない、膝の動きに制限がない場合は特に問題ありません。心配なのは何度も繰り返し音がする、痛みや腫脹や熱感を伴う、膝の動きが悪い、音がするたび徐々に大きくなっていく場合です。こんなときは、すぐに整形外科を受診してください」

 丸山院長は次のようなことを心がけることで、膝関節をケアできると言う。

・膝の負担軽減のため、肥満に気をつける。
・曲げるのがきつい人は正座は避ける。
・膝を冷やさない室温管理。
・膝を温めるためにお風呂に入る。
・軟骨を構成する成分(コラーゲントリペプチドなど)をサプリメントで摂取。
・膝関節の可動域を維持するためには、関節を守る周辺筋肉を鍛える。以下のようなストレッチ運動を毎日行うといい。

「下肢の筋肉のストレッチ」と「アキレス腱のストレッチ」の説明イラスト

「下肢の筋肉のストレッチ」(左)、「アキレス腱のストレッチ」(右)

●下肢の筋肉のストレッチ…壁につかまり一方の膝を前に出して曲げ、もう一方は後ろに引き、足の裏をついたまま膝を伸ばし、下肢の後ろの筋肉をゆっくり伸ばす。その姿勢のまま20数える。

●アキレス腱のストレッチ…かかとを床につけたまま膝を曲げ、腰を落とす。脚の後ろを緊張させた状態で20数える。

「膝が痛くてスムーズに歩けないと、家に閉じこもりがちになり、食べてばかりで太ってしまい、ますます体を動かさなくなる…という悪循環に陥ります。外出しないので、他人と関わることも少なくなってコミュニケーションも減ります。これは、生活習慣病や認知症を招いたり悪化させたりするリスクを高めることになります。膝の音が気になりだした人は、早めにケアすることが大切です」

取材・文/大竹麗

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