2019.06.09 |   

お酒好きだった人にうれしい介護食!黒糖焼酎「れんとゼリー」で介護中も笑顔に

 記者の義父は、大変お酒好きだったが、脳梗塞で体が不自由になってからは、医師からも家族からも飲酒を止められ、本人も諦めていた。体調が安定し、特別養護老人ホームにお世話になったのだが、入所してすぐのこと、義父がうれしそうに言った。

「毎月1回、居酒屋の日があるんだって。ビールもあるらしい」

 その日を指折り数えるように待っていた義父。しかし、そのイベントで出たビールは、ノンアルコールにとろみの付いたものだったそうだ。「がっかりしたよ」と話す義父の顔を思い出す。

 義父に限らず、療養中でもお酒を楽しみたいと思っている人は多いはず。そして、そういった希望を叶えたいという介護職の人や家族の願いもあるだろう。

 しかし、嚥下の機能が弱ってくると、少しの水分でも誤嚥しやすくなり、注意が必要なため、たとえ少量だったとして、お酒を口にするのはためらわれてしまうのが現実だ。

 義父がお世話になった特養で、とろみ付きのノンアルコールビールが振る舞われるのは当然のことだったのだと思う。

 介護中のお酒はやはり諦めるべきものなのか…。そう思う人は大半だろう。

黒糖焼酎の風味豊かなゼリー

 しかし、お酒の香りを楽しみながら、嚥下にもやさしい商品…実はあったのだ!

奄美大島の酒造メーカーが製造・販売する「れんとぜりー」

奄美大島の酒造メーカーが製造・販売する「れんとぜりー」

「この商品を見つけたときに、これは介護食に適しているのではないかとピンときました」と語るのは、治療食・介護食の専門商社「三嶋商事」の代表取締役三嶋賴之さんだ。

 奄美大島の酒造メーカー「奄美大島開運酒造」が製造・販売する「れんとぜりー」は、「れんと」という黒糖焼酎をゼリーにしたものだ。奄美大島で三嶋さんが偶然見つけた。

「れんと」という酒名は、音楽用語で「ゆるやかに・ゆっくりと」という意味を持つ「Lent」に由来するという。黒糖焼酎「れんと」は貯蔵タンクの中で、約3か月クラッシックの音楽を聴かせながら熟成される。音楽から変換された微細な変化を含む振動によって熟成が促されできた焼酎は、水分子集団が切り離されて小さくなる効果により、新造酒特有のアルコールくささやぴりっとする刺激が少なくなり、香りの良い、まろやかな味になる。

 この焼酎の薫り高い風味を存分に生かし、ゼリーにしたのが「れんとゼリー」だ。口の中で、水分と固形部分が分離せず、ふわっとした食感で、自然に溶けていく。

「れんとゼリー」

水分と固形部分が分離しない、なめらかな食感のゼリー

 嚥下がスムーズでない人にも、のみ込みやすく、とろみが口腔内に広がっていく。アルコール度数は2.9度だ。

「れんとゼリー」を見つけた三嶋さんは早速、介護食を卸している病院や介護施設の職員にそのゼリーを試してもらった。

「のみ込みやすい」「行事食にしたい」…介護職員たちの反応

 反応は上々だった。届いた声の一部をご紹介しよう。

「口腔内で保持していてもダレない。アルコールの香りも楽しめる。シャーベット状にすれば嚥下反射を促せるかも」(病院 管理栄養士Mさん)

「付着性が少なくのみ込みやすい。味も美味しくアルコールの香りが良い。嚥下の問題に関係なく普段から食べられそう」(病院 管理栄養士Yさん)

「行事食やレクリエーションのときにアルコールを希望される患者さんがいらっしゃるのですが、普段は飲まれていないのでいきなり市販のものを召し上がると、アルコール度数が高くてきついようです。『れんとゼリー』は、アルコール度数が2.9と低いにもかかわらず、風味豊かで、黒糖焼酎の良さが出ています。口上がりが良い上に物性も安定していますので、機会があれば患者さんに是非召し上がっていただきたいです」(病院 管理栄養士Kさん)

 こういった声を受けて、三嶋さんは早速、「れんとゼリー」の製造メーカーに介護食として扱いたいと交渉し、それまで、奄美大島でしか手に入れることができなかった「れんとゼリー」の通販を開始した。

介護食コンクールで受賞

 介護施設での行事食や、お見舞い品として多くの注文が入るようになり、第3回介護食(スマイル食)コンクール「かまなくてもよい食品」部門審査員特別賞を受賞。介護食としての評価もされるようになった。

 製造元の黒糖開運酒造もこの反響には驚いたという。

「もともと、介護食として開発した商品ではなかったので、まさかこういう形で喜んでいただけるとはと、受賞が決まったときは社員のみなさんも大変盛り上がったと聞きました」(三嶋さん)

 記者も試食させてもらった。封を開けた瞬間から焼酎のまろやかないい香りがする。口に入れると、まったりとほどけるような食感で、お酒の風味とやさしい甘みが広がる。「うわ、美味しい~」と思わず口に出た。義父に食べさせてあげたかったなと、思う。

「お酒好きだったけれど、諦めていた方に、少しでも食べる喜びを届けたいという思いです。毎晩の晩酌代わりに召し上がっていただけるのではないでしょうか」(三嶋さん)

 介護中に笑顔が見られたら、明日の元気につながるにちがいない。

【データ】

れんとゼリー

『れんとゼリー』
価格:260円
内容量:100g
原材料:焼酎、砂糖、梅エキス、みりん、ソルビトール、ゲル化剤(増粘多糖類)、酸味料
商品区分:食品(お菓子)
製造・販売元:株式会社奄美大島開運酒造
お問い合わせ・購入:三嶋商事
TEL:0120-244-168
オンラインショップ:ビースタイルhttps://www.b-style-msc.com/

取材・文/介護ポストセブン編集部

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