2019.06.29 |サービス   

介護施設訪問レポート|短期入居から看取りまで対応する住宅型有料老人ホーム<前編>

 高齢者向けの住宅の中から、話題の施設をピックアップ。記者が訪問し、施設で働く人の思い、設備、サービスなどをレポートする。今回は、神奈川県横浜市にある住宅型有料老人ホーム(※)「輝の杜」だ。

※住宅型有料老人ホームとは?
・生活支援等のサービスが付いた高齢者向けの居住施設。
・介護が必要となった場合、入居者自身の選択により、地域の訪問介護等の介護サービスを利用しながら、ホームでの生活を継続することが可能。
(厚生労働省「有料老人ホームの概要」より抜粋)

輝の杜

 ヨーロッパの城壁で囲まれたような街並みが特徴的な神奈川県横浜市の「マークスプリングス」。総戸数734戸の大規模マンションと一戸建てからなるこの街は、2003年に完成し、敷地内には薬局やコンビニエンスストア、天然温泉、託児所、川の流れるウォーターガーデンなどが揃っている。

 やさしいクリーム色で統一された街並みはテレビドラマの舞台にもなったことも。

神奈川県横浜市のマークスプリングスの景色

マンションで囲まれているので街の雰囲気にどっぷりと浸れる

「生涯住み続けられる街」がコンセプトのマークスプリングス内には、今回紹介する住宅型有料老人ホーム「輝の杜」の他に、デイサービスや内科・小児科、歯科があり、住民の健康を支えている。

住宅型有料老人ホームに併設されているデイサービス

同じ建物に併設されているので安心

昭和25年から脈々と続く福祉の精神

「輝の杜」を運営する社会福祉法人「合掌苑」は昭和35年に東京都町田市で老人ホームの運営をスタート。設立のきっかけは昭和25年に東京大空襲で焼け出された人々を寺で世話したことだという。現在は介護付有料老人ホームや養護老人ホーム、特別養護老人ホームなどの施設サービスと、訪問介護事業所、デイサービスなどの在宅サービスを運営し、地域の高齢者福祉のニーズに応え続けている。

住宅型有料老人ホームの看板

輝の杜は2003年6月に開設

「地域の社会福祉を担ってきた歴史があります。伝統として残すべきものはしっかり残しつつ、革新できること、変えていくべきものは変えていっています。理念経営を柱に、様々な取り組みを行っています」(社会福祉法人合掌苑のお客様相談室マネージャーの神尾昌志さん)

1か月以上、半年未満の短期入居契約サービスを開始

 神奈川県で最初の住宅型有料老人ホームとして「輝の杜」を開設するなど、地域の高齢者福祉のニーズをいち早く掴んで貢献してきた「合掌苑」だが、7月から新しい短期入居サービスを始めるという。1か月以上・半年未満という期間のサービスを新たに打ち出した狙いを聞いてみた。

「病院からは今、早期退院を求められますが、退院してもすぐには自宅に戻れないケースが多いです。そういったニーズに応えるために、短期入居契約という新しいプランを設けました。こちらで健康状態を整えて生活改善を図り、次のステージにつなげることを目的として使っていただきたいと思っています。私たちは社会福祉法人として、地域のニーズを汲んでいく使命があります。病院から出ないといけないのに特養や老健はいっぱいで入れないので、輝の杜で過ごせないかというご要望を数多く頂きました。老人ホームも時代に合わせてその役割が少しずつ変わってくると考えています」(神尾さん)

 半年以上入居する場合は、通常の入居に切り替えになるという。この短期入居契約サービスは、住宅型有料老人ホームが国の地域包括ケアシステムの考え方を汲み取って出した一つの答えとして注目されそうだ。

一人ひとりの介護ニーズに寄り添った対応

 地域のニーズに応えることを重要視している姿勢は、一人ひとりに対しても変わらない。初めて介護に直面する高齢者、そしてその家族の不安に寄り添う対応を心がけているという。

「見学にいらしたお客様とお話をする際に重視しているのは、何を求めて高齢者のための施設を探していらっしゃるかです。初めて介護に直面する方はたくさんの不安を抱えています。ご本人、そしてご家族がどういったことに不安を持っているのかを聞き取ることを大切にしています」(社会福祉法人合掌苑の理事・統括マネージャーの青松真由美さん 以下「」は同)

住宅型有料老人ホームの施設長

他業種の仕事経験もありバランス感覚にあふれている青松真由美さん

 認知症や医療依存度が高い高齢者のケアにも定評のある「輝の杜」。同じ建物の2階にある「輝の杜クリニック」と「みやさか歯科」も入居者の安心材料の一つ。「輝の杜クリニック」は毎月2回の定期訪問診療や24時間365日の臨時往診、提携病院への紹介などをしてくれるという。また、「みやさか歯科」はできる限り口からおいしい食事を味わうための口腔ケアを介護スタッフと共に実践してくれるという。日常の健康維持と緊急時の両方に対応してくれる医療機関が同じ建物にあるのは心強いだろう。

住宅型有料老人ホームに併設されている歯科とクリニック

歯科とクリニックが同じ建物に

「医療依存度の高い方が、お近くのホームドクターや元々かかっていた病院に通いながら、こちらにご入居することもできます。隣のデイサービスを利用したり、外部のサービスを利用して1泊旅行に出かけたり、お花見に出かけたりすることもできます。施設というよりは、もう1つのお家ができたと思って自由に過ごして頂けたらという思いです」

住宅型有料老人ホームの居室

もう1つの我が家

 在宅医療を受けていても入居は可能で、介護度が高くなったり、認知症が進行しても退去を求めることはないという。その自然な流れとして力を入れているのが看取り。入居者の9割以上がこちらでの看取りを希望し、毎年実際に15人前後が最期の時を迎えているという。

「どのような状態になっても最期まで関わらせていただいています。お看取りまでどこにも移らなくていい暮らしを実践しています。ご病気になっても、ご希望があれば最期まで病院にも行かずにこちらでお世話をさせていただいてます」

住宅型有料老人ホームの家族が泊まれる和室

看取りの前後でも活用できる家族が泊まるための部屋

住宅型有料老人ホームの家族が使う風呂

お風呂も個別に用意されているので気兼ねなく宿泊できる

 最期の時を穏やかに過ごせるように介護職が実践しているのが“言葉の薬”。適切な言葉がけと医療を看取りの両輪としているという。

「介護職は注射やお薬の処方はできないですが、言葉を処方することはできます。穏やかな時間を過ごせるように言葉の薬を処方しています。意識が朦朧としている方や認知症が進んだ方にも、ご本人がキラキラしていた時のお話をすると反応してくださることがあります。生まれ育った場所やお仕事の話、お子様がいらっしゃればお子様の話などをします。それぞれの方が頑張っていたこと、充実していた頃のお話をすると喜んで頂けることが多いようです。言葉の薬を処方して穏やかに過ごせるホームを理想の姿として目指しています」

住宅型有料老人ホームの館内装飾

日々の生活に潤いや楽しさを与えてくれる館内の装飾

自分の居室を分かりやすくするための目印

 社会福祉法人として地域の高齢者のニーズに応えてきた「輝の杜」。長年に渡り、一人ひとりの不安や求めに真摯に応えてきた確かな積み重ねがそこにある。

撮影/津野貴生

→このシリーズのその他の記事を読む

【データ】
施設名:輝の杜
公式WEBサイト:https://www.gsen.or.jp/kagayaki/
所在地:神奈川県横浜市瀬谷区五貫目町10-38
最寄駅:田園都市線「南町田」駅より徒歩17分・バス10分
類型:住宅型有料老人ホーム
事業主体:社会福祉法人合掌苑
敷地面積:1155.29平方メートル
延床面積:2374.59平方メートル
室数:40室
入居要件:要介護
構造:鉄骨コンクリート建、地上4階
開設年月日:2003年6月1日
料金:月額利用料32万9600円(家賃相当額20万円、食費調理費5万9400円、管理費7万200円)
入居金なし 
トイレ付の居室は家賃が22万円で、月額利用料が34万9600円
管理費の内訳は水道・光熱費など
費用に関して要望等があれば、別途相談可能

※施設のご選択の際には、できるだけ事前に施設を見学し、担当者から直接お話を聞くなどなさったうえ、あくまでご自身の判断でお選びください。

●自立時に入居し看取りまで対応!住宅型有料老人ホーム<前編>

●スタッフの誠実な対応が評判の住宅型有料老人ホーム<後編><後編>

●安心して充実したシニアライフを過ごせる!自立型介護付有料老人ホーム

コメントが付けられるようになりました▼

この記事が役に立ったらシェアしよう

  •  

▶コメント

※編集部で不適切と判断されたコメントは削除いたします。
※寄せられたコメントは、当サイト内の記事中で掲載する可能性がございます。予めご了承ください。