2016.09.01 |ヘルス

認知症と似てる老人性うつ 見つけ方と対処法

 うつ病は、子どもから高齢者まで幅広い年代にみられる病気だが、実は老年期の発症は他の年代よりも確率が高い。厚生労働省の2014年の患者調査によれば、65歳以上の高齢者でうつ病で入院した患者は全国で1万人。64歳以下の合計が8000人と比べて多い。高齢者のうつ病は「老人性うつ」と呼ばれている。精神科医として長年、さまざまな精神疾患を治療してきた「ストレスケア日比谷クリニック」(東京・千代田区)の酒井和夫院長に、「老人性うつ」の見つけ方と対処法を聞いた。

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病気じゃないのに体の不調にこだわるの老人性うつの症状

 老人性うつで怖いのは、やはり自殺です。内閣府の『平成26年版高齢社会白書(全体版)』では、2013年の60歳以上の自殺者数は1万1034人。年代別に見ると70代以上が年々増加しています。

 そもそも、老人性うつとはどのような病気なのか説明しましょう。

 老年期のうつ病と他の年代のうつ病には、本質的な違いはありません。私のクリニックには、小中学生から60~70代の方まで様々な患者さんがいらっしゃいますが、基本的にうつ病の症状は、喜びの喪失、意欲の低下、思考力の低下、この三つの条件に当てはまります。加えて、老人性うつの患者さんには、原因不明の身体的な症状を訴えるケースが多いという特徴があります。

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老人性うつでは原因不明の痛みや不調を訴え続けたり、不眠などが起こる

 検査で病気がないと判明しているのに、体の不調を訴え続けることが多いのです。

 たとえばこんな高齢者の例があります。歯の噛み合わせが悪いと感じ、歯医者で治療してもらったにも関わらず噛み合わせが悪いと主張。さらに別の歯医者で診てもらったのに「良くなった」といわないのです。これは老人性うつである可能性が高いといえます。

 頭痛や胃痛、腰痛といった症状の場合も同様で、痛みの原因となるような病気がないのです。

 また、老人性うつは、認知症と見分けがつきにくい病気でもあります。

 私は1年ほど前からクリニックでの診察のほかに在宅診療も行っているのですが、私の診療の中では認知症よりも老人性うつの方が多いと認識しています。認知症との一番の違いはひどい物忘れが見られないことです。認知症と疑う前に、老人性のうつである可能性も視野に入れてください。

 以下の状態が2つ以上ある場合は、老人性うつの前兆かもしれません。

・食欲がなくなった
・好きなテレビを観なくなった
・出かけることが少なくなった
・笑顔が少なくなった
・落ち着きがなくなった
・便秘がちになった

 欲求がなくなるのは注意信号です。また、態度や活動状態の変化もうつの兆候ですので注意が必要です。

 また、以下が1つでも当てはまる場合は、すぐに精神科を受診するようにしましょう。

・不眠を訴えるようになった
・不安や焦燥感を口にする
・特に悪いところはないのに身体のどこかが悪いと悩む

原因となるのは死別、独居、引っ越しなどの環境

 うつは、何の原因もなくなるわけではありません。引き金となるのは主に環境です。次にあげるようなことはありませんか?

次のページで老人性うつの引き金になる環境をチェック!

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