2016.08.26   

母にも自分にもメリットを! 遠距離介護を選んだ理由

 認知症の母の介護を、東京―岩手と遠距離で続け、その様子を介護ブログや書籍などで公開している工藤広伸さん。息子の視点で”気づいた””学んだ”数々の介護心得を紹介するシリーズの第3回では、工藤家の事情を交えながら、なぜ遠距離介護を選んだのかを教えてもらった。「しれっと」をモットーとする工藤さんの介護サバイバル術とは?

 

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 2012年11月に始まった、祖母(89歳・要介護3)と母(69歳・要支援1)のダブル遠距離介護。東京と岩手県盛岡市を片道5時間、年間約20往復して、4年目になります。こういった状況ですが、同居ではなく遠距離介護をあえてやっています。

 なぜ、同居しないのか? 独居で認知症の母は、どうやって生活しているのか? 家族の協力体制は? このような状況で、なぜ「しれっと」介護ができるのか?

 今回は、わたしの遠距離介護生活について、ご紹介します。

 ちなみに「しれっと」とは、何事もなかったかのように振舞うことです。つらい、大変だと感じることなく、淡々と介護をこなしていきたいという意味があり、わたしの介護モットーになっています。

祖母は子宮頸がんで余命半年、母は認知症に!

 祖母は、子宮頸がんで、余命半年という宣告を受けたところから、介護はスタートしました。

 母は、祖母の病院手続きができず、東京で働いていたわたしに「おばあちゃんが倒れたから、電話して」という同じ内容の留守電メッセージを10件連続で残しました。この件がきっかけで認知症が確定し、要介護1へランクアップしました。

 当時、誰が介護するかを冷静に考えてみたのですが、父は26年前に家を出ており、妹も嫁いでしまっているため、東京に住む自分しかいませんでした。現在も、必要に応じて妹にも手伝ってもらっていますが、わたしがメインで介護をしています。

 祖母は療養型病院に入院し、母はひとりで生活できるケアプランを組んで遠距離介護を続けました。1年後に祖母は亡くなりましたが、介護を始めた頃は「2人の面倒を看るなら、盛岡に帰ったほうがラクではないですか?」とよく言われたものです。

 それでもわたしは、遠距離介護するという選択をしました。

なぜ、同居で介護をしない? 3つの理由

 どうして、遠距離介護を選んだのか。それには、3つの理由があります。

 ひとつは、わたしが会社を辞めたことを、伝えたくないからです。母は軽度の認知症とはいえ、自分のために介護離職したということは理解できます。もし、会社を辞めたことを知ったら、それほど自分の認知症は良くない、息子の人生を台無しにしてしまったと、責任を感じると思います。結局、介護休暇が多い大企業のサラリーマンという設定で、遠距離介護を続けています。

 2つ目に、わたし自身が東京を拠点にしたいと思っているからです。コラムやブログを書く仕事なので、同居介護することもできますが、妻をひとり東京に残すことになります。女性が介護するという時代もありましたが、2015年の内閣府調査によると、主介護者の男性比率は31.3%。年々、男性比率は高まっており、もはや妻にお願いするという時代ではありません。友人も東京のほうが多く、介護で引っ越しをしたいとは思いませんでした。

「介護は、自分の生活を犠牲にするもの」と考える方も多いのですが、わたしは自分の生活をしっかり守ったうえで、介護をしたいと考えています。

 それを実現するために、介護保険を利用して、毎日入れ替わりでヘルパーさん、訪問看護師さん、理学療法士さんが、家の様子を見る態勢を作りました。母の様子を見守れるカメラを設置して、東京からチェックすることもしています。

 結果、わたしは「しれっと」介護ができているのです。

 3つ目に、施設入所の際、独居のほうが優先的に入所できる可能性があるからです。母は、最期まで家で過ごしたいと思っているので、施設は最終手段ですが、そういったときのためにも、同居ではなく遠距離介護を続けるほうがメリットになるのです。

「介護者自身を守ること」を第一に考える

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