2016.12.13 |サービス   

ICTを活用し健康管理を! 住民の意識を変えた小豆島の取り組みとは

 2060年には高齢者の割合が4割になるという試算がある(総務省統計)。もし、寝たきりや認知症の高齢者が増えたら、福祉関連予算で国は破たんする可能性も。そのため「健康寿命」を延ばすことが叫ばれている。

 そんな中、香川県の小豆島では、ICT(情報・通信技術)を利用した取り組みで、大きな成果をあげているという。

「オリーブヘルスケアシステム」と呼ばれるこの取り組みには、高齢化社会となった日本の課題解決のヒントがあるかもしれない。具体的なシステム内容や展望を取材した。

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瀬戸内海に浮かぶ小豆島は、小豆島町、土庄町の2町よりなる(写真/アフロ)

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島しょ部の高齢者問題は日本の未来の姿

「小豆島町では、総人口に占める65歳以上人口の割合を示す高齢化率が、香川県下でも最も高いのです。高齢者の割合が上がれば、必然的に医療費や介護給付費の額も増大し、町の財政が圧迫されることは間違いありません。高齢者の健康対策は喫緊の課題でした」

 そう話すのは、小豆島町の高齢者福祉課係長の山下善範さん。

 若者が少なくなり高齢者が増えていくという状況は、山間部や島しょ部では顕著だ。小豆島町の人口は約1万6000人。このうち高齢者の占める割合は37%で、日本の未来の姿を表しているともいえる。

超高齢化問題の対策は、高齢者の健康寿命を延ばすこと

 同町はこの超高齢化問題対策として「高齢者の健康寿命を延ばす」ことにより、医療・介護への負担を軽減させることを目指したという。

 2012年、島の通信環境整備のため光回線を導入することを機に、この光回線を使った健康相談システムができないかと、インフラ整備を手がけたNTT西日本に相談したところ、当時同社が開発を進めていた「Bizひかりクラウド遠隔健康相談」が提案されたという。

「『Bizひかりクラウド遠隔健康相談』とは、自治体や医療・保健機関の団体などを対象に提供する、クラウドと高速通信技術を利用したサービスです。弊社はICT(情報通信に関する技術)を活用して、国や自治体と個人、または個人同士の連絡を密にし、暮らしやすい社会を作りたいと考え、開発を進めておりました」

 と、NTT西日本香川支店ビジネス営業部、鈴木幸司さんは話す。

 島の名産であるオリーブにちなみ「オリーブヘルスケアシステム」と名付けられ、2012年11月28日にスタートしたこのシステムは、具体的にどのようなものなのだろう。

65歳以上の利用者全員に活動量計を貸与、健康データを計測する

「65歳以上を対象として、利用者は全員、町から貸し出した活動量計を持っています。これが個人データを記録する『鍵』になっています。例えばAさんという利用者が、自分専用の活動量計を、公民館などに設置されたパソコンに付属しているレシーバーにかざすと、システムはAさんの活動量計のデータを登録します。同時に公民館で計測したAさんの血圧、体重のデータなどもすべて自動的にシステムに登録されるのです。キーボードやマウスも不要なので、高齢者の方でも簡単に利用できます」(前出・山下さん)

 活動量計には歩数、歩数距離、消費カロリー、脂肪燃焼量等が記録できる。体組成計も多機能型で、体重、体脂肪率や基礎代謝等が測定可能だ。これら登録されたデータはグラフ化され、クラウドに保存される。町の保健師は、グラフ化された健康情報をもとに、住民に対し個別に健康面のアドバイスを行っている。光回線では大容量のデータを高速でやり取りできるため、テレビ電話による相談も可能だ。

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住民は活動量計や公民館に置いてある血圧計などのデータを転送。保健師はそれを参考に保健指導を行う

 このシステムを使えば病院や役場に行かずとも、住民は、最寄りの公民館で、設置されたテレビ電話を使って日々の健康相談が可能になる。

 以前は、高齢者宅に保健師が戸別訪問して健康相談を行っていたが、時間や人員の不足でままならぬことが多かったという。この問題が解決でき、また、町としても住民の健康状態が常時把握することで、健康管理対策の方針を決めやすくなるなどのメリットが生まれた。

テレビ電話なら保健師の顔を見ながら相談できる

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