2016.11.02 |ヘルス   

がんより怖い!? 太っていても心配な”隠れ低栄養”、大丈夫?

 病気にかかりやすく、寝たきりにもなってしまう低栄養。低栄養が続くと自力で歩けなくなるほか、死亡リスクが高まる。がんより実は怖い状態なのだという。

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 体に必要な栄養が足りていない“低栄養”は、実はがんと同じくらい死亡率が高い深刻な状態─―こう指摘するのは、医学博士で医師の佐々木淳さんだ。

「アメリカで行われた研究によると、入院中に低栄養だった高齢者は、退院後3年の生存率は2割未満。栄養状態が良好な人に比べて約4倍も死亡率が高まることがわかりました。これは、膵臓がんと同程度の生存率という驚愕の数値なんです」

栄養不足の高齢者が年々、増加傾向

 低栄養とは、健康に生きられるために必要な量の栄養素が摂れていない状態を指す。体にさまざまな症状が表れ、長期間低栄養状態が続くと、体力や筋力が低下して歩行困難や寝たきりになどを引き起こす。死亡リスクが高まるというデータもある。現在、65才以上の低栄養傾向の割合は、全体で17.8%、80才以上の約4人から5人に1人が該当する(厚生労働省『平成26年 国民健康・栄養調査』より)。

低栄養についてのグラフ

低栄養傾向(BMI≦20kg/㎡)の高齢者の割合(65才以上、男女計、年齢階級別) ※出典:厚生労働省「平成26年 国民健康・栄養調査」より転載

「とくに心配なのが、高齢者。ひとりで買い物に行けない、料理ができないなど生活能力の低下から、食事の量が減ってしまい、充分な栄養が摂れない状況に陥りがち。

 放っておくと体力や免疫力が低下し、病気にかかりやすくなり、また、筋肉や骨量の減少から骨折、寝たきりになるリスクも高まります。認知機能の低下や、気力の衰えなども低栄養からくる症状の1つです。

 低栄養になりやすいのは、とくに老人男性のひとり暮らしや老老世帯ですが、家族と同居していても、食事量や体重が減ることを『年をとればそれが普通だから…』と、見逃されてしまうケースもあります。知らないうちに低栄養に陥り、本来よりも早いタイミングで健康を害し、病気を引き起こしてしまうのです」(佐々木さん、以下「」同)

 自覚症状がない人も要注意。以下のチェックに複数当てはまる人は、低栄養予備軍の可能性も。

【低栄養予備軍Check】
□最近3か月間で体重が3kg以上落ちた
□最近3か月間で急激に食事の量が減った
□乳製品・肉・魚などのたんぱく質をあまり摂っていない
□果物または野菜を毎日2品以上摂っていない
□1日に4種類以上の処方薬をのんでいる

“隠れ低栄養”でサルコペニア肥満に?

 高齢者だけでなく、ダイエット中の若い女性や中高年も“隠れ低栄養”に注意が必要だ。太っているのに筋肉量が減少している状態は、サルコペニア肥満と呼ばれる。

「太っているから心配ないというのは間違った認識。脂肪が多く太り気味で、筋肉が極端に少ない人は、下半身と上半身のバランスが悪くなり、低栄養の人と同じように転倒リスクが高まります。また、偏った食生活や過度なダイエットで低栄養状態になり、さまざまな病気につながることもあります」

 一度寝たきりになってしまうと、どんどん症状が進み、死亡リスクも高まるという。

「低栄養を防ぐには、早い段階で低栄養に気がつき、早目に対処することが大事。必要な栄養素をしっかり摂れているか、食事内容を見直しましょう。肉や魚、豆といった、たんぱく質や、魚やきのこなどに豊富なビタミンDを積極的に摂るといいですよ」

少量で栄養たっぷり 栄養調整食品が手軽

 夫婦ふたりだけの高齢者や独居の場合、食事の用意が面倒になり、つい朝昼パンやおにぎりだけで過ごしてしまうというケースが多い。ここ数年、たんぱく質の摂取量は減少し、1950年代と同程度の量になっていると考えられる(『平成26年 国民健康・栄養調査』より)。

 そこで手軽にたんぱく質やビタミンなどを摂れる“栄養調整食品”を活用する手も。最近はドラッグストアの店頭で明治『メイバランス』をはじめ、多くの商品が販売されている。食が細くなってしまった高齢者には、ドリンクタイプなら少量で手軽に必要な栄養素を補える。

 低栄養で受診した高齢者に治療の一環として食事指導をしている愛知県の足助病院では、栄養調整食品による栄養改善効果についての研究を行っている。

 足助地域の自立した高齢者が、普段の食事に栄養調整食品をプラスする生活を12週間続けたところ、健康状態が改善した人も。

 例えば、和洋中とバラエティーに富んだ食事を楽しんでいるという鈴木美知子さん(87才)は、体重は維持したまま、血清アルブミン値が4.1から4.4へ上昇し筋肉量も増加。

血清アルブミン値/鈴木さん
 数年前まで農作業をしていたという安藤定明さん(90才)は、3.5とやや低めだった血清アルブミン値が3.8まで上昇し、体重も筋肉量も増えた。2人とも、血液中の主要なたんぱく質「血清アルブミン値」がアップし、栄養状態が改善していた。

血清アルブミン値/安藤さん
 足助病院の診療部長で医師の小林真哉さんはこう話す。

「今回は、地域の自立した高齢者のかたがたに栄養調整食品を12週にわたって飲んでもらったところ、血中の主要なたんぱく質の数値の指標となる“血清アルブミン値”が上昇した人も。これは低栄養状態が改善したことを表します。また、栄養評価指標の値は、低栄養になる前段階の改善度が高かった。つまり栄養調整食品は早めに摂ることが有効だと考えられます。

 低栄養で大きな問題が出てくるのは、多くの場合75才前後からですが、40才を過ぎたら栄養についての正しい知識を身につけておくことが大事ですね」

※女性セブン2016年4月28日号

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