2016.11.13 |ヘルス   

訪問歯科利用のメリットとは 命を繋ぐ「口腔ケア」<第4回>

介護施設が歯科衛生士との連携を強化する動き

『命をつなぐ「口腔のケア」』シリーズでは、口腔のケアが虫歯や歯周病の予防や治療にとどまらず、生きるために欠かせないケアであるということを伝えてきた。

 自分の口から食事をし、鼻から呼吸をする、そして自らの声で話し、豊かな表情をつくる…。若く健康であれば当たり前であったことが、口腔の機能が衰えることで困難になってくる。そうした最悪の事態を回避し、高齢者のQOL(生活の質)を維持するために、決しておろそかにすることできないのが口腔のケアだ。

 近年、介護施設でも常勤や非常勤で歯科衛生士をおき、口腔のケアに力を入れる傾向が顕著である。

 例えば愛知県の調査(平成25年度障害者・要介護者等口腔保健実態調査)によれば、歯科医師や歯科衛生士が職員として配置されている要介護施設は3割以上、歯科医師または歯科衛生士による、歯の磨き方や歯科保健に関する指導を受けている要介護施設は7割を超えているという。

 また、国立長寿医療研究センターが2015年3月に公表した調査結果によれば、要介護施設の4割で、歯科衛生士と管理栄養士が連携して入所者の食事や栄養の問題にかかわっていることがわかった(「介護保険施設における口腔と栄養のサービス連携に関する調査研究事業報告」より)。

「食べる」ことにおいては、栄養士だけではなく、口腔のケアを行う歯科衛生士が大きな役割を果たしていることに、介護のプロ集団が気づき始めた結果と言えるだろう。

 こうした介護施設の取り組みは、素人のケアだけでは口腔のケアに限界があることを示唆している。これまで3回にわたって在宅介護で行う口腔のケアを紹介してきたが、やはりプロによる口腔のケアを加える必要がありそうだ。

 今回は、訪問による口腔のケアの利用について、ケアマネジャーの資格を持ち、歯科衛生士として訪問歯科活動を専門に行う二島弘枝さんに話をうかがった。

adamr090900049.jpg - white dentist pocket with toothbrush and angled mirror

写真/アフロ

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高齢者では約7割が誤嚥性肺炎という恐怖

 在宅介護の場合、口腔のケアをご家族だけで行っていると、虫歯や歯周病を見逃すだけでなく、「誤嚥性肺炎」の危険を回避するためのケアができないという問題点があります。よく耳にする「誤嚥性肺炎」という言葉ですが、実際にはどういうことなのか、簡単に説明しておきましょう。

 私たちの口と鼻からつながる管は、のどの奥で気管と食道に枝分かれします。通常、呼吸で入った空気は気管、食べ物や飲み物は食道へと流れます。このふたつの管の分かれ道には喉頭蓋(コウトウガイ)というふたがあり、ゴックンと飲み込んだときには、気道にものが入らないようにふたをする仕組みになっています。

 ところが喉頭蓋がタイミング良く閉まらず、気道側に食べ物や唾液が流れてしまうと、それらと一緒に細菌が肺に入り炎症を起こすことがあります。この炎症こそが誤嚥性肺炎と呼ばれるものです。からだのだるさとともに、発熱や空咳が続き、非常に苦しい思いをしますし、悪化させれば命を落とすことにもなりかねません。日本人の死因の第3位が肺炎です(平成27年人口動態統計月報年計[概数]の概況/厚生労働省)。高齢者の場合、肺炎のうち7割以上が誤嚥に関係しているとも言われるほどです。

 飲み込みの機能が衰えていると、たとえ口から食事を摂っていない胃ろうの方でも、唾液が気管に入って誤嚥性肺炎を起こすこともあります。食事をしていない方であっても、口腔内の清潔はもちろんのこと、口腔周囲のトレーニングは必要不可欠だということがおわかりいただけると思います。

飲み込む力のチェックをしてみよう!

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