2016.12.21 |ヘルス   

餅が喉につまったときどうする?知っておきたい正しい知識と対処法

「食べたり、飲み込んだりする機能が低下している高齢者の場合、誤嚥と共に、窒息も起こりやすく、とくに毎年、お正月から春にかけてはお餅を食べることによる窒息事故が起きています。

 お餅以外にも、喉に張り付きやすい食品や水分量が非常に少ない食べ物は注意が必要です。また、どのような食べ物も、一口の量がその人の『噛み』や『飲み込む力』に合っていない場合も窒息を起こします。

 窒息が起こると、息が荒くなります。食べ物を詰まらせてしまった場合は、即座に救急車を呼びましょう。119番に電話をし、窒息の危険を伝えると、救急隊員が駆けつける前にするべきことを教えてくれます。水を飲ませるのは誤った対処法です。絶対にやめましょう。そのままの姿勢で背中を叩くのも余り意味がありません

 誤嚥の場合と同様、介助者が後ろにまわり背中の中央より少し上あたりを強く叩くと、誤嚥した物が吐き出させることができる場合もあるが、すべて吐き出せず、かけらが残っている可能性があるので、様子を見るなど、注意が必要という。

◆誤嚥や窒息を起こしやすい食べ物、飲み物と対処法

誤嚥についての表組

誤嚥しやすい/属性/物性・例/誤嚥や窒息を防ぐ方法

喉を通過する速度が速いもの

水やお茶、口の中で水分と固形物が分離しやすい食べ物。高野豆腐、がんもどき、果汁の多い果物など。 中でも「味噌汁」は高齢者が好むものの、汁と具材の大きさや固さ、物性が違いすぎると誤嚥を招きやすい。

飲食する物にとろみ調整食品を使ってとろみを付け、水分がゆっくり、まとまって飲み込めるようにする。

口の中でばらけて、まとまりにくいもの

口の中や喉に残りやすい食べ物。せんべい、クッキー、きざみ食。

誤嚥。窒息しやすい

喉に張り付く・残りやすいもの

喉に張り付きやすい食品。
餅、ごはん、パン、肉、魚、海藻、葉野菜。 水分量が非常に少ない食べ物。固ゆで卵、ふかし芋、ポテトサラダ。

・食事のペースを落とす。
・飲み込む力に合わせた一口量にする。
・飲み込んだ後、意識的にもう一度ごくんと飲み込む(喉を飲み込むイメージ<追加嚥下>か、とろみのある水分、ゼリー飲料などと交互に食べ物をおる<交互嚥下>も)
・とろみ調整食品やつなぎ食材(例:とろろ、卵、マヨネーズ)を利用して、まとまりがあり、飲み込みやすい柔らかさ、水分量に調整する。

自分の食べる機能に見合った食事をしていない

「食べる」「飲み込む」機能が低下することを嚥下障害というが、高齢者の場合、加齢による口や喉の筋肉が低下することのほか、歯の欠損や義歯の不具合、病気や薬の影響など原因はさまざまだ。

 また、いくつかの原因が重なっていることも多く、誰にでも起こりうる可能性があるという。

「機能が低下しても、その人のレベルに合った食事や飲み物なら安全に食べることができます。しかし、多くの人は長い間、食事することに特別意識を持ってこなかったため、本人はもとよりご家族も『食べられない』ことがなかなか理解できず、現在の口の機能と合わない食事をとっている場合が多いのです」

 菊谷さんが、クリニックの患者を対象に、調査を行ったところ、次のような結果だった。

●自宅で療養中の人

機能に合っていない食事をしていた人 68%
このうち、機能より高レベルの食事をとっている人 56%
機能より低レベルの食事をとっている人 44%

●施設に入所している人

機能に合っていない食事をしていた人 35%
このうち、機能より高レベルの食事をとっている人 51%
機能より低レベルの食事をとっている人 49%

「高レベルの食事をしている人は、その状態が続けば誤嚥や誤嚥性肺炎、窒息のリスクが大きく、低レベルの食事をしている人は、その状態が続けば食べ、飲み込む機能の低下を招く可能性があります。

 とくに、高レベルの食事をしていて、誤嚥性肺炎や窒息のリスクが高い人は、ときに命にかかわる危険もあるので、食事や飲み物を見直す必要があります」

とろみ調整食品の活用は手軽な誤嚥、窒息の対処法になる

 市販のとろみ調整食品を活用することは、安全に食べたり、飲んだりする手助けになると菊谷さんはいう。

「市販のとろみ調整食品はそれぞれ温度や対象物によってとろみの付き具合が違うので、使い勝手に慣れるまではすこし面倒に感じるかもしれませんが、手軽な対処法になります。

 利便性の高いとろみ調整食品や、嚥下しやすく調整された介護食品が多数販売されているのですが、そのことを知らず、好きなものを食べることを諦める人も多いようです。

 しかし、安全に食べ続けることが、食べる機能を悪化させないためにも大切なのです。

 参考となるよう、当院が運営窓口をしているウェブサイト『食べるを支える』に、とろみ調整食品利用のポイントや市販とろみ調整食品の『力価(りきか、とろみの強さ)』を示す表を公開しています。

 また、そもそも食べる力に応じ、どのような具合の食べ物が安全なのか、食べ物の形態などもご紹介しています」

※「嚥下調整食・介護食の食形態検索サイト 食べるを支える」を見る

 家族が集まり、みんなで食事する機会が増える年末年始。特に、高齢者が「お餅」を食べる時は、誤嚥や窒息について正しい知識をもち、予防を心がけたい。

撮影/下重修 取材・文/下平貴子

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