2016.12.24 |暮らし   

リハビリに力を入れる小規模介護付有料老人ホーム<前編>

せらび有栖川

 有栖川宮記念公園が目の前に広がる南麻布の街並みの中に「せらび有栖川」はある。日比谷線の広尾駅からわずか徒歩4分の立地だ。元々はマンションとして使われていた建物を利用しているので、取材で訪れた際も最初はそことは思わず通り過ぎてしまったほどだ。

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広尾の住宅街に馴染む外観の「せらび有栖川」

 有栖川宮記念公園は麻布台地の地形を生かした日本庭園で、都立中央図書館もある。周辺には各国の大使館も多く、国際色豊かな雰囲気だ。広尾駅周辺は日用品を扱うお店や飲食店も多く、買い物を楽しむこともできる。入居者も歩いて実際に公園や商店に足を運んでいるそうだ。聖心女子大学も近く、街全体が洗練されている。

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四季を感じることのできる有栖川宮記念公園

”顔が見える”のが小規模施設の利点

 せらび有栖川は全19室。介護付有料老人ホームとしては小規模だ。案内してくれたホーム長の小川健さんによると、ひとりひとりに目が届きやすく、きめ細かい対応が可能だという。例えば、食事は好みや体調に合わせて提供することが可能だ。誕生日や記念日の祝い膳、季節に合わせた行事食など食事の楽しさも重視している。

 実際に入居者や家族からの声として、食事への満足度は高いようだ。冷凍食品を極力使わないというこだわりも、この規模だからこそ。毎日の食事への満足は、楽しみの面からはもちろん、健康面でも大いにプラスになる。

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音楽を聴きながら食事を楽しめる食堂

 また、入居者3名につき、介護・看護スタッフは2名以上と手厚い配置をしている。全体の人数が少ないので、スタッフが入居者全員の顔と状況を把握し、コミュニケーションを取っているのだ。

 小規模なため大規模施設にあるような豪華な共用施設はない。しかし、その分入居者も少ないので、落ち着いて静かに過ごしたい方にはこれ以上の環境はなかなかないだろう。利便性の高い土地でもあり、様々な場所にアクセスしやすいので、趣味や楽しみのニーズは街が満たしてくれるはずだ。

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施設名は運営理念を表している

「せらび」とはフランス語で「すばらしい人生を送ろう」という意味。施設としての基本理念は「せらびの実現に努力する!」とのこと。運営理念は3つある。

1:その人らしい、ひとりひとりの自由と個性を大切にする。
2:尊厳と敬意を込めた、質の高いサービスを提供する。
3:家族及び地域社会とのふれ合いを通じ、心のケアを実践する。

 そして、これらを実現するための活動のモットーも3つある。

1:いつも笑顔を絶やさずに!
2:いつも明るく声かけをしよう!
3:いつも楽しく元気に生きよう!

 施設内には、この理念が掲示してあり、さらに基本理念の説明が書いてあった。そこには、「せらび」の実現とは、入居者が真心のこもったサービスを受け、いつも家族がそばにいるような安寧を享受できることとあった。さらに、「せらび」は入居者の「第2の家であり、そこへ我々従業員はお邪魔させていただいている」という謙虚な気持ちを持つとあった。施設に入居者のほうが遠慮してしまうのでは、本末転倒だ。しかし、元来遠慮がちな方の場合、気になることがあっても言えなかったりもするものだが、ここではその心配はなさそうだ。

月2回の介護技術研修を実施

 これらはかけ声だけでなく、実際の運営にも反映されている。株式会社ケアレンツのサービスを利用し、介護職のスタッフに対し月に2回、介助技術研修を行っているのだ。ケアレンツはそれぞれの施設を訪れて指導をしてくれるので、スタッフにとっては時間が有効に使え、実際の現場で指導を受けられるのが大きな利点だ。この日は理学療法士の小田嶋裕之さんから指導を受けていた。

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理学療法士の小田嶋さんはスタッフだけではなく入居者のことも把握している

 小田嶋さんによると、研修を受ける頻度や取り組み方で同じ介護の資格を持っていても技術に差が出てくるという。小田嶋さんも入居者の状況を把握した上で指導を行っているので、すぐに実践できる内容を教えることができ、また入居者の状態の変化にも柔軟に対応できる。

 トイレ介助に関する講習会をした際は、一人では立ち上がれない入居者の立ち上がらせ方、方向転換、座らせ方など、リハビリ要素を取り入れた説明を小田嶋さんがし、介護士同士で実践していた。女性の介護士ならではの力や身長の問題などの悩みに答えるなど、現場ですぐに役立つ内容で、座学だけでは身に付かない、まさに実践だった。

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介護スタッフに声をかけながら指導する小田嶋さん

 実際に指導をしている現場にもお邪魔した。この日は入居者を車椅子からベッドに移動させる際、いかに両者に負担がないようにするかがテーマだった。外部での研修ではできないような、入居者とスタッフの体格差や部屋の構造に合わせた内容で、非常に具体的な内容だった。これは入居者にとって間違いなく快適さが増す技術だし、スタッフ自身もより仕事がしやすくなるはずだ。

「ハードではなくソフト、つまり“人”を求める方にとっては、小規模であるせらび有栖川はマッチすると思います」(ホーム長の小川さん)

 * * *

 以上、前編では、コンパクトな施設ながらもクオリティーの高いサービスを提供しているそのコンセプトについてお届けした。

 次回後編では施設内の実際の様子や、高齢者向けの施設を選ぶ際のポイントについて紹介していく。入居するのに良いタイミングなどについても話を聞いた。

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【データ】
施設名:せらび有栖川
公式WEBサイト:https://www.j-carelink.co.jp/home/arisugawa/index.html
所在地:東京都港区南麻布5-12-12
最寄駅:日比谷線「広尾」駅1番出口 徒歩4分
類型:介護付有料老人ホーム
運営主体:株式会社日本ケアリンク
敷地面積:340.86平方メートル
延床面積:1097.60平方メートル
室数:19室
入居要件:65歳以上の方で、入居時自立、要支援、要介護
構造:鉄骨鉄筋コンクリート造、地下1階付5階建
開設年月日:2011年2月1日
料金:
・生涯契約(※65歳以上の方)
要支援・要介護の方/入居一時金3500万円、償却期間72か月(自立の方は、年契約もしくは月払い方式)
・年間契約プラン(※65歳以上の方)
自立の方で要支援要介護・年齢に関わらず/入居一時金720万円、償却期間12か月
・月払契約(※65歳以上の方)
居室の広さ・年齢に関わらず/家賃相当額60万円(月額)

※上記以外に毎月かかる費用は下記の【1】+【2】+【3】
【1】月額利用料267,430円(税込み、生涯契約・年間契約プラン・月払契約共通)
【2】介護保険自己負担分
【3】その他の費用(その他有料サービス)

撮影/津野貴生

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