2017.04.19 |暮らし   

障害をもった人が好きな服を着られる社会を目指す

講師の岩波君代先生の話は、長年の経験と研究、そして確かな技術に裏打ちされている

講師の岩波君代先生の話は、長年の経験と研究、そして確かな技術に裏打ちされている

 今年60周年を迎えた文化服装学院生涯学習のオープンカレッジで、10年近く続く講座『からだの不自由な人に大切な“装いの工夫”』。服の作り手から介護に携わる人までさまざまな受講生が集まり、それぞれの状況、経験、思いを持ち寄る。講師の岩波君代先生に講座で学べる内容と障害を持つ人と「衣服」にまつわる現状を聞いた。

まず受講生に差し迫った状況を聞く

 全3回の短期集中。最低10人から多くても30人と、一人一人の顔の見える講座だ。その第1回目は、障害のある人のからだについての知識、障害があることによる服の問題点についてを学ぶ。障害を持つ人は、健常者に合わせた「既製服」を着るのに難儀することもある。関節が自由に曲げられない人などにとっては、ジャストサイズの服をスムーズに着用するのは難しい。ゆえに、ダボダボサイズの服を着ることもよくあるのだという。

「講義の前にまず、受講生に自己紹介をしてもらうのが恒例。それぞれの目的や差し迫った状況などを伺います。基礎知識にとどまらず、少人数なのでその時々に集まった方々のリアルなニーズに焦点をあて、具体的な解決へのきっかけになるような講座内容にしたいと思っています。

 講座の第1回目はからだの不自由な人を知るということから。一般的な服の作り手が学校などで学ぶのは、いわば健常者が着る服の正しい作り方。ですからたとえば手が不自由で着脱できない、体の一部が動かせない、体が変形してしまっているなどの問題を解決する服を作るとなると未知の世界。本当は学んできたいろいろな技術を活かせるのに、できないと思ってしまうのです。

 今はおしゃれな既製服全盛の時代。服が人を元気にします。でも世の中には健康な人、子供、高齢者などさまざまな人がいる。その中にもいろいろな体型の人がいて、病気や老化による障害のため、あるいはサイズが合わずに既成服が着られない人もいる。服作りにたずさわる人はそのことを広い視野で認識することが大切なのです。そうでなければ、既製服の型からはみ出した人は“服難民”になってしまいます」

便座に座れるか、下着の着脱ができるか

 講座の第2回目は、長年、障害者の服や靴の研究にたずさわる岩波先生の相談例のサンプル服を手に取り、実際に袖を通してみる実技講座だ。

「障害をカバーするための工夫が施された服を試着した上で、服だけを見るのではなく、暮らしの中での服を考えてもらいます。そのため車いすや歩行リハビリ用装具なども実物をお見せします。実際に装具をつけて校内(文化服装学院)の階段を昇り降りしてみることもあります。

 そして、からだの不自由な人の服を考えているときに必ず行き着くのが排泄の問題です。便座に座って排泄する人が、下着の着脱ができるか。排泄の方法にもいろいろあるので、人工肛門用装具やカテーテルなどもお見せして、着る人の暮らしをよりリアルにイメージできるようにしています。からだの不自由な人の服の何が問題で何が足りないかは、彼らの暮らしの中からしか学べないのです」

 講座の最終日にはからだの不自由な人がゲストとして登場

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