2017.04.19 |暮らし    1

もしも突然、階段から落ちたら…とっさの時の正しい対処法

 突然やってくる「もしも」の時に備え、とっさにとるべき正しい行動を身に付けたいものだ。

「階段から落ちた時、どうすべきか?」。初動の判断が生死を分ける可能性もあるため、正しい対処が大切だ。専門家に教えてもらった。

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もし高齢者が階段から落ちたら…(写真/アフロ)

転倒・転落事故死は1日あたり約22人

 厚生労働省の調査によると、2015年に転倒・転落事故で亡くなった人の総数は7992人。これは、同年の交通事故死者数5646人を上回り、毎日約22人が転倒・転落事故で命を落としていることになる。

 なかでも、「階段及びステップからの転落及びその上での転倒」による死者数は694人と、その1割弱を占める。

 さらに、転倒・転落事故で死亡した人の約8割は65才以上のため、高齢社会においては、自宅や病院だけでなく、駅や商業施設など、公共の場所での転倒・転落事故が今後も増えていく可能性が高い。

階段から落ちた!すぐ起き上がる、起こそうとするのはNG 

 では、もしそのような場面に遭遇したら、どうすべきか。まず、自分が階段から落ちた時を想像してほしい。意識があるなら、恥ずかしさからすぐに起き上がり、立ち去ろうとするのではないだろうか。また、階段から転落した人を発見した際も、「大丈夫ですか?」と声を掛け、起こそうとしがちだ。

 しかし、なかはら脳神経クリニックの脳神経外科医・中原邦晶さんによると、どちらも不正解だという。

「まずは“動かないこと、動かさないこと”が第一です。転倒・転落事故において死亡率がいちばん高いのは、頭部外傷。頭部は打ち所が悪いと、むやみに動いたことで容体をさらに悪化させる場合が多いのです。特に、首は絶対に動かさないこと。首を固定することで、頸椎の二次損傷を防げる可能性が高まります」(中原さん、以下「」内同)

 階段から落ちた人を発見し、介抱しなければならない場合、「人を呼ぶ」ことが大切だ。

「本人はもちろん、立ち会っている人自身も混乱し、パニックになりがちなので、周囲に助けを求め、すぐに救急車を呼んでください」

救急車を待つ間にできることは?

 救急車を待つ間は、以下の手順で対応するのがおすすめ。

 口元に耳を近づけ、気道が開いているかを確認。“ギューッ”と締めつけるような音や、“ガハッ、ゴボゴボ”という音がした場合は、喉や口内に出血が生じたり、異物が詰まっている可能性があるため、気道確保のため頸椎を保護しつつ、体位を横に向けるなどする。

 さらに、呼吸の速さ、脈を確認してから声をかけ、意識の有無を調べる。

 救急隊を待つ間は、布や衣類をかけ、体の熱が奪われないよう保温してあげるとよい。救急隊が到着したら、確認した容体を速やかに伝えよう。

階段から落ちた日とを介抱する手順

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1.動かさない

「大丈夫ですか?」と、すぐに起こそうとしがちだが、絶対にうごかさないこと。

2.人を呼ぶ

 周囲に助けを求め、すぐに救急車を呼ぶ。

3.気道(※)の確認

 気道が開いているか、口元に耳を近づけて確認する。喉や口内で出血している可能性を考えつつ、気道の確保を。

4.呼吸の確認

 呼吸が速くないか、息を吸う音がするか、胸が上下しているかを確認する。

5.脈の確認

 手首を触って脈が動いているか確認する。

6.意識の確認

 声をかけて、意識があるかどうか確認する。

7.体温の管理

 布や衣類をかけるなどして、体を保温する。

頭を打った場合、注意すべきことは?

 また、打った部位で受診すべき病院は変わる。

 頭部や頸椎なら、脳神経外科へ。

 頸椎や胸部、腹部、骨盤、四肢の場合は、整形外科や外科へ。

 なかでも、頭部を打った場合は、その後の注意が必要だ。

「頭を強打すると、脳にさまざまな変化が起こります。特に頭の中で出血があった場合は、命にかかわります。頭蓋骨内で出血が起こると、さっきまで元気だった人が、急に意識をなくすことも。頭蓋内出血は、頭蓋骨の骨折と必ずしも関係しないため、頭の骨に異常がないからといって、油断は禁物です」

 頭を強打した後は、頭痛や吐き気、しびれ、痙攣などがないか観察することが重要だ。

「少なくとも1~2日間は安静にし、単独での外出は控えてください。特に子供は頭を強く打っても、自分で症状をうまく伝えられません。たとえ元気にしていても1~2日は目を離さないこと。また、大人でも3週間~6か月くらいしてから、頭に血液がたまる場合もあるので注意が必要です」

 階段から落ちたくらいで、と侮あなどるのは危険。怖いのは、すぐに症状が出ないこと。落ちた後は必ず受診を。

頭を打った場合

 →脳神経外科へ。

●頭部の主な症状

 頭蓋骨骨折、頭蓋内出血(急性硬膜下血腫、脳挫傷)、意識や記憶がなくなったり(意識障害)、けいれんや麻痺が起こることも。

●頸椎の主な症状(※整形外科も併せて診察を)

 頸椎捻挫、頸椎脱臼骨折、頸椎損傷、手足医のしびれ、麻痺、呼吸困難、低血圧など。

体を打った場合

→整形外科、外科へ。

●胸部の主な症状

 呼吸困難、胸背部痛、肋骨の骨折・損傷など。

●腹部の主な症状

 腹痛など。

●骨盤の主な症状

 臀部痛、腰痛、血尿など。特に血圧が下がると死に至ることもあり危険。

●四肢の主な症状

 骨折、脱臼、捻挫、痛み、しびれ、変形など。

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※頭を打った後は、以下の症状が出ないか注意して確認を!

・頭痛が強くなり、吐き気や嘔吐が何度も起こる。
・ぼんやりしてくる。眠ってしまう。なかなか起きない。
・物が二重に見えたり、よく見えなかったりする。
・手足が動かしにくい、しびれる。右と左で動きや力の強さが違う。
・痙攣、ひきつけが起こる。

 上記の症状が出たら、すぐに脳神経外科で医師の診察を。頭を強打後、1~2日は安静にし、半年くらいは注意をして様子を見るようにしましょう。

※女性セブン2017年4月27日号

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  1. 小児科医師(ゆとり教育) より:

    転倒・転落事故死は1日あたり約22万人→一年で8000万人死んでしまいますが…。

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