2017.06.02   

禁煙失敗理由、放置自転車減少を行動経済学で考える

 人間は、時に非合理な行動をとる。このシステムを解明し、望ましい方向を選択させようというのが行動経済学だ。その具体的な戦略のことを、“情報ナッジ” という。前回「今もらえる10万円と1年後の11万円。どちらを選ぶ?」に続き、人の心にどう働きかければよいのか、見ていこう。

禁煙したくてもできない人には…

 立命館土曜講座第3198回「『ココロ』の経済学─行動経済学から読み解く人間のふしぎ」の講師、依田高典先生(京都大学経済学部教授)は、人間は将来の利益より今の利益を考えがちで、また、不確実なものより確実なものを重視しがちだと説く。

 そして行動経済学では将来の利益より現在の利益を考える癖を “現在性バイアス”、不確実なものより確実なものを重視する癖を “確実性バイアス” と呼ぶ。これらの “バイアス” については、前の記事でくわしく述べた。

 今回、依田先生が出したテーマは「喫煙」である。

 禁煙したくてもできない喫煙者と非喫煙者を調査すると、喫煙者は非喫煙者より “現在性バイアス” が大きいという結果が出たという。また、禁煙を失敗する人についても同様の結果が出たという。

 しかしそれだけではない、禁煙したくてもできない喫煙者は、非喫煙者より “確実性バイアス” も大きい人が多かったのだ。

「今の一服のほうが大切だ」

 依田先生は、これには喫煙者の考え方が影響しているという。禁煙したくてもできない喫煙者はどのように考えるだろうか。

今の一服のほうが大切だ

・健康に悪いとはわかっているが、今のこの一服がどうしても止められない。
・今の小さな一服か、将来の大きな健康かを比べたら、今の一服のほうが大切だ。
・実際、喫煙の健康リスクは人によってまちまちではっきりしていないから今のこの一服くらい……

 などがあげられるだろう。

 依田先生によれば、自分が “現在性バイアス” “確実性バイアス” といった “ココロの癖” を持っていると、気づくだけでも変われるという。禁煙したくてもなかなか達成できない人は、自分がそういった “ココロの癖” を持っているかどうか今一度考えてみてはどうだろうか。

 講義は、こうした人間の “ココロ” にうまく呼びかけ、望ましい方向を選択させていく戦略へと移っていった。

 勉強しなければならないけどマンガを読みたい “ココロ”の癖

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