2017.06.25   

座禅?音読?認知症予防の正しい訓練法

認知症

 Q 認知症予防の訓練法に関し、正しいのは次のどれでしょう?

a 計算や音読などの学習療法は、あまり効果がない
b 音読やパズル、運動や討論など、いろいろ組み合わせると効果が上がる
c 世間の雑事や他人にわずらわされないよう、家で座禅を組むのが効果的だ

 「脳トレ」という言葉は、もうすっかり人口に膾炙(かいしゃ=広く知られている)した感があります。数独や熟語パズル、図形の間違い探し、大人向けの塗り絵も数多く出ていますね。脳トレが認知症予防に有効であるという報告もありますが、「脳トレ」だけではなく、運動や、手先や頭を使った作業も行うことが大切です。

 認知症を悪化させないためのトレーニングに何が有効か、さまざまな研究が進められています。運動療法を基本に、作業療法(折り紙、クラフトワーク、手芸、個人音楽療法など)、学習療法(音読やドリル)などを組み合わせたトレーニングに効果があることが報告されています。答えはbです。

 認知症にならないために若いうちから心がけていただきたいことは、熱中して取り組める趣味を持つことです。運動、スポーツをはじめ、絵を描く、歌う、読書、料理、裁縫、編み物、園芸、工芸、写真撮影、どんなことでもいいのです。私は人生を充実させる趣味こそが、そのまま認知症予防につながると考えています。

 特に良い予防法になるのは「音読」です。声を出すことで、脳がより活性化するからです。もちろん黙読もいいのです。本がお好きな方は、たとえば1日10分だけ音読してみてはいかがでしょうか。好きな詩を音読し、暗記するのもいいですね。

 声を出すという点では、歌もとてもいいと思います。仲間とカラオケを楽しむのも立派な予防法になるでしょう。

 計算ドリルの場合、むずかしい計算をする必要はありません。184×429などむずかしい計算をする必要はありません。それよりも、単純な数字を「すばやく計算する」のが効果的です。たとえば、4−1×3+5=14など、2桁止まりの計算をパパッと速く、やってみてください。

(ひとくちメモ)◎認知症はだれでもなるの? 認知症になる人の割合は年齢とともに増えていきます。人口100人あたりの認知症の人の割合は90代では6割にのぼります。80代前半は2割、80代後半は4割です。こうしてみると認知症は特別な病気というより、「老いの一つの形」とも言えるでしょう。

■監修■伊古田俊夫
いこた・としお 1949年生まれ。1975年北海道大学医学部卒。勤医協中央病院名誉院長。脳科学の立場から認知症を研究する。日本脳神経外科学会専門医、認知症サポート医として認知症予防、認知症の地域支援体制づくりに取り組んでいる。著書に『40歳からの「認知症予防」入門』(講談社)など。

[伊古田先生からのメッセージ]→「認知症予防とは、認知症を『先送り』することです」
 認知症を「予防する」ということは、「一生、認知症にならない」ということではありません。認知症の原因は、今もわかっていないからです。確かなことは脳の老化だということ。ですから認知症を100%予防することはできませんが、発症する年を「遅らせる」ことはできます。いわば認知症の先送り。これが予防策をみなさんに広く知ってもらいたいと願う理由です。

文/佐藤恵菜 イラスト/みやしたゆみ

初出:まなナビ

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