2017.07.14 |暮らし   

死ぬときは周囲に迷惑をかけていいと学ぶ「死」の講座

「Death Education 〜死と向き合って生きる」の講座風景

 死ぬときは誰にも迷惑をかけたくない。長寿大国・日本においては、高齢者の間で、そうした意識を抱く人も少なくない。誰に対しても確実に訪れるはずの「死」との向き合い方について、いま新たに注目が集まっている。

自分で身の回りのことができない80代兄のつらさ

 早稲田大学エクステンションセンター内で、17年以上続いているのが早稲田大学名誉教授である大槻宏樹先生の講座「Death Education 〜死と向き合って生きる」。同講座は、人前で語ることをタブーとされがちな「死」の定義を改めて見つめ直すことをテーマに行われている。実際にどんな人が受講しているのか。担当講師である大槻先生はこう語る。

「受講生は、肉親の不幸などを契機に『死』について考える人が多いのではないでしょうか。家族の死をどう受け止め、どう昇華していくか。そして、死は自分にもいずれは起こることだからこそ、徐々に死への心構えをしていきたいという方も多い気がします」

 5年前に一度この講座を受講し、また今年再度受講しているという70代男性は、講座を通じての心境の変化についてこう語る。

「私よりも上の世代は、戦後の混乱期から生き抜いてきた人が多いので『周りの人に迷惑をかけてはいけない』『自立していなければならない』という意識が非常に強い人が多いんです。そういう人たちが手も足も動かせないような不自由な体になって、周りの人にいろいろとお世話をしてもらわないと生きていけなくなる……。そんな状態になるのは、本人にとってとてもつらいものだと思います。

 実際に私の兄もいま80代で、寝たきりの状態になり、自分で身の回りのことをできないことが、とてもつらそうだったんです。でもこの講座を通じて、『病気になった際には人に依存してもよい』『病気のときには人に頼るのは当たり前のことだ』という価値観を学び、兄にも伝えるようにしました。以前は、周囲の世話になることを恥じていた兄も、最近は『サポートしてもらうのは悪いことではない』『恥ずかしいことではない』と思うようになってきたようです」

 また、同じくリピーターの女性はこう語る。

「私は以前、一度この講座を受講していたのですが、昨年主人を亡くしたのを契機に、再度受講することにしました。自殺や暴行などが多い昨今、もっと下の世代の人たちにも関心を持ってもらいたいテーマだと思っています」

毎回の講義のあとのお茶会と毎年の同窓会

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