2017.09.20 |暮らし   

「学ぶことに終わりはない」大学で学ぶ80代女性の言葉

國學院大學オープンカレッジ修了式

 多くの大学のオープンカレッジ(公開講座)では、一定数の講座を受講し修了した人に修了証書を授与している。卒業式のような修了証書授与式を開いているところも多くあり、國學院大學もそのひとつ。2017年春、修了証書を授与された受講生が語る “学びと私” とは。

退職後何をしたらいいかわからなかったが……

「これまで仕事で忙しかったのが、退職して、急に暇になったらどうなっちゃうんだろう……と、定年前から不安に思っていました。何かしなきゃ、と思っても、何をしたらいいかわからない。そんな時、大学でこうした講座を開いていることを知ったんです。で、学生時代を過ごしたここ(國學院大學)でもやっていることを知って、何十年ぶりかに舞い戻ってみようかな、と。学生時代に専攻したのは歴史だったんですが、あえてそれまであまり勉強してこなかった文学系の講座を選びました」

 こう語るのは、数年前から國學院オープンカレッジに通い始めたという60代の女性だ。彼女は今年、32単位を取得して、オープンカレッジ修了証書を授与された。

 同学のオープンカレッジの単位は、原則として担当講師が毎回出席をとり、3分の2以上の出席(5回の講座の場合3回、10回の講座の場合7回)でそれぞれ1単位、2単位の単位が付与される。その累積単位が32単位になった受講生には、毎年3月に行われる國學院大學オープンカレッジ修了式で「修了証書」が贈られるのだ。この日も、金屏風の前に立つ公開講座委員長・文学部教授の小川直之先生から、受講生1人ずつに修了証書が授与された。

 その模様は本当に卒業式そのもの。修了生も女性は着物やワンピースでドレスアップ、男性はスーツにネクタイの人も多い。違うのは、修了生の中に大学の卒業生の祖父母くらいの年齢の人までいるということと、修了証を受け取って終わりというのではなく、その後もずっと通い続けることだ。

70才になったからといって家にひきこもりたくはない

 多くの受講生が語るのは、社会経験があるだけに、学びの動機とスタイルが現役の学生時代とはまったく異なることだ。

「私は70才になったときに、何かを始めたいと思ってここに通い始めました。受講したのは神道関連のものばかりでしたね。これまで仕事ばかりの人生だったので、日本人として神道のことをもっと学びたいと思ったんです。年を取ったからといって、家に引きこもりたくはなかった。知らない人と新たな関係を築ける場に行きたかったというのもありますね。新しい学びと新しい人間関係。人生をリセットした気になりますよ」(70代男性)

「もともと演劇の戯曲の勉強をしていたのがきっかけで、神道や神学について深く知りたいなと思って通い始めました。私の場合は、より深い知識を得たことで、ちょっとした物の見方が変わった気がします。たとえば勉強する前は、神社といえば『パワースポット』くらいにしか思っていなかったんですが、ひとつの神社が存続していくのがどれほど大変なことか、そういうことも考えられるようになりました。地元の人たちとの結びつきが大切だとか、歴史を積み重ねていくための努力だとかですね。おかげで今では神社に行っても、宮司さんたちはこんな努力をされているんだな、といったことまで考えるようになりました」(60代女性)

 そこには、現役時代は時間などの制約があって学べなかったことをようやく勉強できるようになった楽しさ、学ぶことで何かが変わることを実感できた喜びがある。

家族を介護しながら、仕事を続けながら

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