2017.08.12 |ヘルス   

ビタミンD不足で骨粗しょう症や認知症、うつ病のリスクも

 疲れが残るといった軽めの不定愁訴から、うつ病などのメンタル疾患にも、ビタミンDが大きく関係していると、山口病院精神科部長の奥平智之さんは言う。

 紫外線を浴びることが少なくなる冬に、うつ症状や不定愁訴を訴える人がいるが、ビタミンDの積極的な摂取をすすめると、改善に向かう人が多いというのだ。

「300人の統合失調症や躁うつ病患者の、ビタミンD〈25(OH)D〉の血中濃度を調べたところ、基準値である30nd/ml以上ある人は、全体の14%だったという調査報告があります。実際、患者さんに紫外線を浴びたり、魚などの食事やサプリメントを摂取してもらうと、症状が改善する人もいます」(奥平さん)

がんなどの予防も期待できる

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ビタミンDを増やすには日光浴が最適(写真/アフロ)

 ビタミンDを増やすのに、最も効率がよいのは、紫外線を浴びること。だが、日本機能性医学研究所所長の斎藤糧三さんによると、20代に比べて、60才を過ぎた人の皮膚でのビタミンD生成力は著しく落ち、人によっては10%以下しかないこともあるという。

「日本人が1年で皮膚がんになるのは、10万人のうち11~12人、亡くなるのは1人といわれています。がん全体でいうと、10万人のうち男性350人、女性230人が罹患しています。皮膚がんになるリスクも心配ですが、ビタミンDを生成して、罹患率の高いがんの発症リスクを下げる方が、重要です」(斎藤さん・以下同)

 ビタミンDは、細胞膜に遮られることなく、中心にある核に直接働きかけ、正常な細胞分化を誘導する。

「体内の細胞は、常に生まれ変わっていますが、ビタミンDが充足していれば、体中の細胞分化が正常に行われるため、健康がキープできます。逆に、不足すれば、細胞が異常分化する可能性が高まり、がんなどの病気にかかりやすくなるのです」

 結腸直腸がん、前立腺がん、乳がんなどを予防する可能性があるという報告もあり今後の研究に期待が高まっている。

認知症にも関連している

 ビタミンDが不足した高齢者は、アルツハイマー病などの認知症になりやすい、という研究結果が、アメリカやイギリス、オーストラリアの研究者により、次々に発表されている。ビタミンDは、脳内で神経細胞の保護や増殖、分化調整の働きを担っているため、認知機能の改善にも働くと考えられているのだ。

 糖尿病との関連を示す研究結果も多い。国立がん研究センターの予防研究グループによる『多目的コホート研究』では、ビタミンDとカルシウムの摂取量が高いと、糖尿病のリスクが低くなったという。

 高血圧になる原因の1つに、腎臓で作られるホルモン「レニン」の分泌上昇があるが、ビタミンDにはこれを抑える作用があるため、血圧安定効果も期待できる。

 このように、生活習慣病といわれるさまざまな症状の予防・改善に、ビタミンDは活躍しているのだ。

※女性セブン2017年8月17日号

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