2017.12.03   

「認知症の危険因子にならない飲酒の適量」は?

Q 次のうち、認知症のリスクになる「危険因子」ではないものはどれでしょう?

A メタボ
B 高血圧
C 喫煙
D 飲酒
E 歯周病

 認知症になるリスクを高める「危険因子」は、次の通りです。

・脳血管障害(脳梗塞、くも膜下出血、脳出血)
・脂質異常症(低HDLコレステロール血症、高HDLコレステロール血症、高トリグリセライド血症)
・糖尿病
・高血圧
・メタボリックシンドローム
・歯周病
・喫煙
・多量飲酒
・うつ病
・頭部外傷

 ということで正解はなし? いえ、あります。東京医科歯科大学脳統合機能研究センター認知症研究部門特任教授の朝田隆先生は、危険因子ではないものはDだといいます。酒は飲む量によって、危険因子にもなれば百薬の長にもなります。毎晩、多飲すれば危険因子になりますが、適度な量であれば危険ではありません。

 元横綱日馬富士も守っていたらと後悔しているであろう「飲酒の適量」ですが、では認知症の危険因子にならない適度な量とはどれくらいなのでしょうか?

 その人の体質にもよりますが、男性の場合、目安はビールならロング缶1本、日本酒なら1合、ワインならグラス2杯、焼酎やウイスキーなら半合ぐらいでしょう。女性はこの半分くらいが目安です。

 これ以上の飲酒が長期間続くと、血圧を上昇させる原因になり、それが脳血管障害のリスクを高め、結果的に認知症のリスクを高めることにつながります。

 上の「危険因子」をご覧になって、メタボリックシンドロームの原因と重なるものが多いことにお気づきだと思います。生活習慣病であるメタボを避けることが、そのまま認知症を避けることにつながります。

 高血圧、肥満、高血糖、脂質異常症などメタボ症状を改善する目的は、血管の老化防止です。脳血管障害を遠ざけることで、認知症のリスクを遠ざけるのです。

 意外なところでは「歯周病」でしょうか。これは歯周病菌が生み出す毒素が歯茎から全身に回り、そのために起きる炎症の影響でインスリンの効き目が下がり、血糖値が下がりにくくなってしまうためです。

口腔ケア

 高齢者の歯の数と認知症の関係を調べた研究では、歯がほとんどなく入れ歯も使っていない人の認知症発症リスクは、歯が20本以上残っている人の1.9倍でした。歯を健康に保つことは、いつまでも美味しく食べられるだけでなく、認知症の予防にもなります。毎日の歯のケアも忘れずに。

※認知機能の低下が見られるものの病的ではない、グレーゾーンの状態であるMCI。認知症は防げないといわれてきましたが、MCIの段階で正しく対処すれば、認知症へ進行するのを防げる可能性があります。

■監修■朝田隆(東京医科歯科大学脳統合機能研究センター認知症研究部門特任教授/メモリークリニックお茶の水理事長)
あさだ・たかし 1955年生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業。同大学神経科精神科、山梨医科大精神神経科、国立精神神経センター武蔵野病院精神科、筑波大学精神医学教授などを経て現職。認知症の早期診断法や予防、リハビリに携わり、MCIの啓蒙活動を積極的に行っている。

文/佐藤恵菜 イラスト/みやしたゆみ

初出:まなナビ

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