2017.10.11 |暮らし   

100歳時代に必要な「お金」の備えとは

 2007年に日本に生まれた子どもの50%は107歳まで生きる──〈100歳時代〉を生き抜くための人生戦略本、『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』(東洋経済新報社)が話題を集めている。すでに20万部を突破。新しい時代の学びについての提言は、「まなナビ」ユーザーにも大いに参考になりそうだ。

控えめにいっても、引退後にいくら必要なのか?

 著者の一人で、ロンドン・ビジネススクール教授のリンダ・グラットン氏は、安倍政権の「100年時代構想会議」の有識者議員も務める、人材論・組織論の世界的権威だ。去る9月11日、その第1回会議のためにロンドンから来日し、会議で提言を行う姿が注目され、多くのメディアで取り上げられた。

 そんなグラットン氏、私生活では本書執筆中に新しいパートナーに出会い、婚約。「寿命100年時代は、仕事にもプライベートにも、これまで以上に可能性がある」と語っている(リンダ・グラットン×糸井重里「寿命100年時代をどう生きる?」対談)。

 とはいえ、100歳まで生きることに、リスクを感じる人も少なくないだろう。心配ごとの筆頭に挙げられるのは、やはり「お金」ではないだろうか。

 著者は100年時代を生きるために必要な資金について、本書で詳しく論じている。まず、引退後、どのくらいの資金が必要になるのだろうか? 

 具体的な目安として提示されているのは、「最終所得の50%相当の生活資金を毎年確保すること」。

 ただし、これはあくまでも「控えめ」な数値であると強調する。さらに、住む家を所有していることを前提にしている。

100年時代をリスクから恩恵に変えるカギ

 住む場所を確保した上で、最終所得の50%相当を毎年確保するのは難しいのか、それほどでもないのか。むろん、個人の置かれた状況によって違うだろう。また、これより少ない資金で幸せに生活できる人もいれば、これでは快適な生活は送れないと考える人もいるだろう。たとえば現役時代に比べて生活水準を下げたくない人は、さらなる資金が必要となる。いずれにしろ100年時代を生きるためには、貯蓄を増やすか、あるいは、引退せずに、働き続けなければならないのだ。

 適切な資産を形成するために大事な概念が、本書では2つ提示されている。「自己効力感」と「自己主体感」である。

「自己効力感」=自分ならできる、という認識
「自己主体感」=みずから取り組む、という認識

 100年時代を生きるためには、自己効力感を高めて資金計画を早くから立て、それを自己主体的に実行に移していく。このサイクルの実現こそが、100年時代をリスクから、恩恵に変える、カギとなるのだ。

お金には換算できない「無形資産」の重要性

 これまで「お金」についての必要性を述べてきたが、実は本書でもう一つ強調されているのは、お金以外の「無形資産」の重要性である。マイホームや現金、銀行預金といった「有形資産」と同じくらい、お金には換算できない「無形資産」が大きな役割を果たすことになると著者は言う。

 無形資産は大きく3つに分かれる。

1)生産性資産:仕事で成功し、所得を増やすための要素。仕事に役立つスキルや知識、仕事につながる人間関係や評判など
2)活力資産:肉体的・精神的な健康と幸福のこと。心身の健康、家族や友人との良好な関係などが含まれる
3)変身資産:新しいステージへ移行するための意思と能力。自分をよく知り、多様な人的ネットークを持ち、新しい環境に対しては開かれたマインドでいること

 これら3つをどう高めていくのかは、ぜひ本書をお読みいただきたい。なお「無形資産」と「有形資産」は完全に切り離せるものではない。有形資産があれば無形資産も増えるだろうし、反対に、無形資産を豊かにすれば、おのずと、有形資産の形成を後押しすることになる。

「お金」の心配をするより先に、来るべき100年時代に向けて具体的にすべきことが、本書を読むとクリアになるだろう。

文/砂田明子

初出:まなナビ

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