2017.09.29 |暮らし    5

84才、一人暮らし。ああ、快適なり<第5回 通院の帰り道>

 日本のジャーナリズムや文化に大きな影響を与え続けた雑誌『話の特集』。1965年の創刊から、その後30年にわたり編集長を務めた矢崎泰久氏は、雑誌のみならず、映画、テレビ、ラジオのプロデューサーとしても手腕を発揮、世に問題を提起し続ける伝説の人でもある。

 齢、84。歳を重ねてなお、そのスピリッツは健在。執筆、講演活動を精力的に続けている。ここ数年は、自ら望み、一人で暮らしている。そのライフスタイル、人生観などを矢崎氏に寄稿していただき、シリーズ連載でお伝えする。

 今回のテーマは、「通院の帰り道」。

 悠々自適独居生活の極意ここにあり。 

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病院からの帰り道では、思わぬ発見があるという

* * *

人間ドックで糖尿病の宣告を受けた

 うんと昔の事だけど、50代の働き盛りの頃、不摂生の限りをつくしていた仲間たちが、団体で「人間ドック」に入った。

 ひとつには、当時、ジャズピアニストの八木正生さんと、イラストレーターの山下勇三さんが急死されたことに不安を感じたのかも知れない。

 一泊二日の精密検査を受け、一週間後に結果が出た。何と9人中私だけが別室に呼ばれ、糖尿病の宣告を受けた。ショックだったが、心当たりがあった。

 73歳で他界した母は、糖尿病が原因の心不全で亡くなっていた。遺伝に違いない。

 で、直ちにその病院に毎月通う事になった。

 通算すると、20数年通ったことになるのだが、どんどん血糖値が悪くなり、インシュリン注射の単位もどんどん上がって、このままでは人口透析寸前ということになった。

 ここで初めて、医者に疑いを持った。

 血液検査が終わると、血圧を計るとき以外は、コンピューターの画面しか見ない。のべつ薬が変わるだけでなく、量も増える。私は決心して、他の糖尿医を探しはじめた。そして、やっと辿り着いたのが、現在通院している荻窪の『城西病院』だった。つい3年程前のことだ。

病院を変えたら、回復の兆し。通院が楽しくなった

 ここの院長さんは日本の糖尿学会の権威でもある笠原督氏だ。まず一週間入院し、徹底的に検査してもらった挙句、改良点が沢山見つかり、翌月から通院することになった。

 すると、少しずつ血糖値は下がり始め、インシュリンの単位も減少。悪玉コレステロール、血圧も下がり、心臓も正常に回復したのだった。時間をかけた問診、症状についての会話、食生活の改良なども行われ、不治の病が回復段階に入ったのである。

 こうなると、嫌でならなかった通院が楽しくなり、仕事場も病院の近所に移した。

 城西病院は環状八号線沿いの四面道にあって、JR荻窪駅から徒歩10分ほど。診察が終わると帰りのルートをいろいろと探索するようになった。それが面白かった。万歩計の数字も知らない間にカウントされる。

 JRによって南北に分かれている荻窪の商店街はそれぞれ奥深い上に、様々な名店が揃っていた。10数軒もあるラーメン屋、日本蕎麦屋が凌ぎを削っている。昔からある喫煙できる珈琲店も多い。とにかく目移りするほどの料理店や居酒屋が沢山あるのだ。

 もちろん必要品は何でも手に入る街でもある。どこでもある『アトレ』という名の駅ビルにしても、他とは違う趣があった。ブラブラしているとアッという間に時間が経つ。金融機関や役所の出張所も、全部、駅近にあるので便利この上ないのだ。

荻窪で見つけた”目からウロコ”のパン

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▶コメント

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  1. きこ より:

    私は、アラスカの方で暮らし家族はアラスカで暮らして居ますが、
    私と夫はアリゾナの方で、暮らして居ます。
    寒いし物価が高いので老後は暖かい所が気に入ってます。

    5+

  2. チョリソー より:

    僕は78歳 メキシコの片田舎で一人暮らし。
    家族 妻娘たち孫たち全部 日本にいる。
    娘たちは一人は日本 にある 僕の隣の家 に、もう一人は近所に 皆家族持ちである。 矢崎氏の 文章を読み なんだか 心がなごやんだ。 僕と同じように 家族と同居せずに 一人暮らしの方が 楽しい人もいるのだと。

    10+

  3. ゆり ねこ より:

    病院通いが楽しみになるほどのパンって、どんなのかしら。
    お店の名前「えだおね」が「えがおね」に見えてしまって。
    お体を大事になさってくださいね。

    0

  4. sorara より:

    昨日、第17回の無駄遣いの記事が気になり読みました。84歳一人暮らし にも惹かれました。なんと言っても矢崎さんこただわりライフスタイルが最高。
    私もご飯派、白米派。でも食パン、、耳が好き派で、あんまりいないです。 
    たわいもない話ですみません。

    4+

  5. クミコ より:

    私も若い時から、浪費好き、洋服や雑貨を買って、部屋を飾るのが好き、結婚した相手も、そんなおしゃれで贅沢好きな私に夢中になり、自由にさせてくれました。
    長い時が過ぎ、私はどんどん高級な物を好むようになり、洗練された老女になりました。しかし、夫の経済力は尽きました。
    だから、このサイトを読んで、思わずウフフ!でした。
    楽しい老後の生活ですね。

    1+