2017.12.04   

トレーナーが教える大学の腰痛講座の中身がスゴイ

 腰痛は日本人の国民病。高齢者ばかりがなるわけではない、20代でも3割が腰痛経験を持つとの調査もあるくらいだ。そこで取材したのが国士舘大学の腰痛講座。講師の脇坂大陽先生は「腰痛は腰が悪いんじゃないんですよ」と一言。えー!ならどこが悪いのか!?

オリンピックメダリストたちのパネルを見ながら

 今年100周年を迎えた国士舘大学。その記念事業の一環として世田谷キャンパスに、健康・コミュニケーション・教育をテーマにした複合施設メイプルセンチュリーホールが建設された。

 まだ新しい匂いのする廊下を歩いて行くと、国士舘大学出身のオリンピックメダリストたちのパネルが、壁一面に展示されている。ここから未来のアスリートが誕生していくのかと思うと、2020年の東京五輪が待ち遠しい。

 メイプルセンチュリーホール2階にある、ガラス張りの開放的なフィットネスセンターが、取材する「フィットネス 腰痛改善・予防のためのエクササイズ」講座の舞台だ。中にはずらりと最新のトレーニングマシーンが並び、元気いっぱいのトレーニングウェア姿の受講生が待っていた。

「できないことができるようになるのがフィットネス」

 脇坂先生はアスリートのトレーナーとして長い経験を持ち、国士舘大学のトレーナー講座で学生トレーナーを育成するなど、トレーナーの普及活動にも力を入れて来た先生だ。

フィットネスは、できないことができるようになるためにあるんです昨日動かなかった足が動くようになる、昨日上がらなかった手が上がるようになる。それがフィットネスです」(脇坂先生)との力強い一言で、いよいよ腰痛講座が始まった。

背骨のひずみが腰痛を引き起こす

 脇坂先生によれば、腰痛を引き起こしているのは、じつは腰以外の部位で、その代表的なものが「背骨」だという。

 ということで取材当日は、「腰」ではなく「背骨」を中心にトレーニングが行われた。

 まず最初に、椅子に座ってできる簡単な準備運動を兼ねたマッサージを行う。前に立つ脇坂先生は、骨の動きのメカニズムといったちょっとした雑学をも交えながら、受講生の心と体、特に背骨をほぐしていく。途中、受講生同士ペアになり、体の歪みやバランスチェックを行う。今日の自分の体に客観的に向き合い、状態を冷静に把握する時間だ。

腰痛は、繋がっている背骨のどこかが動いておらず、それを庇うことによって腰に痛みが起こるものが多いんですそのために体を揺らしたり傾けたりして、可動域を自分で把握することが、トレーニング前のポイントとなります」と脇坂先生。

回数ではなく意識して動かすことで効果が出る

 準備運動が終わると、マットの敷いてあるコーナーへ移動し、全身のストレッチに入る。

 足を組んで腰を伸ばしたり、片方ずつ足を伸ばして腿を伸ばしたり、どれも難しいものは1つもない。

ストレッチは毎日行わないと効果がありません。難しいものだと自宅で再現できないので、だれでも覚えられて自宅でもできる、シンプルな方法を教えています」(脇坂先生。以下「 」内同)

 ストレッチをしながらの声掛けがまた、実に具体的でやる気を起こさせるものばかり。

「今ここの筋をグーっと伸ばすと、猫背防止に効いていますよ!」
「こうすると腰を反ってしまうから、庇わないように気を付けてみて!」

 ただ闇雲に回数をこなすのではなく、効かせなければならない部分を意識しながら動かすことがとても大事なのだという。

個々人に合ったトレーニングマシンで

 ひと通りストレッチを行った後は、約1時間程度、トレーニングマシンを利用して自分のペースや負荷にあったトレーニングを行う。

 トレーニングマシンも、受講生各人が好きなものを好きなように使うのではなく、その人に合わせた効果的なマシンとその使い方を、初回から3回ほどかけてじっくり学んでから使用する。脇坂先生は、マシンを使う受講者の様子をチェックし、フォローが必要なタイミングで指導を入れる。

「トレーニング中は無駄に口を挟まず、見守ることも大事です」

 なお、トレーニングマシンを使用した後は、有酸素運動を行うのがポイントだという。

「真っ直ぐ歩けなかったが、ここに来て1か月で」

 この環境でこの指導。受講生にリピーターが多いのもうなずける。ある受講者に話を聞いた。

「私は体幹バランスが悪くて、まっすぐ歩くことができなかったんです。近所の整骨院に1年半通っても効果が出なかったので、ここに来てみました。そうしたら1か月でまっすぐ歩けるようになったんですよ。

 先生は、自分の体のどこの部分が弱くて、それを強化するためには、どのようなストレッチやトレーニングが必要かを、しっかり理解して行いなさい、と言います。それを具体的に教えてくださるので、納得してトレーニングができるんです。

 これがいいから、って誰かに言われたからやるんじゃなくて、自分で、これがここのところに効くんだとわかって行うことは、本当に効果的なんだなってものすごく実感しました」

 これこそまさに「できないことができるようになる」フィットネスだ。

“健康寿命の曲がり角”で曲がらないために

 こう書いてくると、なにやら厳格な先生に思えるかもしれないが、やや関西弁の混じったユーモア溢れる喋りに、受講中はなごやかな笑い声が絶えない。こうしたリラックスムードも、効果を後押ししているのかも。

 受講者の平均年齢は70歳。もうすぐ日本人の健康寿命の曲がり角のお年頃だ。

 講座案内には、「普段運動しない方や体力に自信のない方にも安心してご受講いただける内容です。 90分間ご自分の体力に合わせてしっかり運動していただけます」とある。実際には、普段運動しない人ほど、体力に自信のない人ほど、向いているかもしれない。

富士山を眺めるスカイラウンジで身も心もすっきり

 取材日は11月とは思えぬ好天。心地よい疲労感の残る体で、スカイラウンジがあるという34号館10階を訪れてみた。山本寛斎監修の学食レストランだという。窓の外には雪化粧を施した富士山。明日への活力が漲りそうだ。

脇坂大陽
わきさか・たいひ パーソナルトレーナー
中京大学体育学部健康科学科卒。アスリートのフィジカルトレーナーを長年経験したことから、ケガを防ぐためのトレーナーの大切さを痛感し、トレーナーを育成すべく全国でトレーナー育成セミナー講師として活動している。トレーナー育成団体運営。

◆取材講座:「フィットネス 腰痛改善・予防のためのエクササイズ」(国士舘大学公開講座世田谷キャンパス)

取材・文・写真/Yukako

初出:まなナビ

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