2018.02.11   

認知症予防のためにぜひ摂り続けたい油とは?

Q 脳の健康を保つために、意識的に多く摂りたい油があります。次のうちどれでしょう?

A オメガ3系
B オメガ6系
C オメガ9系 

 オメガ……。油の名前としては、聞き慣れない名前でしょうか? いずれも「不飽和脂肪酸」と呼ばれる油で、そこからさらに分子構造の違いで、オメガ3系、6系、9系と分類されています(ちなみにオメガはギリシャアルファベットの最後の文字「ω」です)

 はじめに私たちが食事から摂取する、さまざまな油脂の種類を簡単に説明します。カロリーはどれも同じですが、質は大きく異なり、どの油脂をどれだけ摂るかがMCI(軽度認知障害)および認知症リスクに関わってきます。油脂は脳をはじめ全身の健康にとって欠かせない栄養であり、細胞の材料になるからです。

 まず、油脂は大きく2種に分けられます。ひとつは融点が高く、室温では個体の「飽和脂肪酸」。牛肉など肉類に多く含まれています。動物系の肉ばかり食べていると脳の神経細胞の柔軟性が落ち、神経伝達が低下するおそれがあります。動脈硬化のリスクも増します。

 もうひとつは融点が低く、室温では液体の「不飽和脂肪酸」。魚や植物油に多く含まれています。こちらは善玉コレステロールが増え、中性脂肪が減らせる油です。

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 不飽和脂肪酸のオメガ3系、6系、9系の特性は次のようになります。

●オメガ3系:アレルギーや炎症、血栓を抑制する作用がある。DHA、EPA(魚に多く含まれる)や、αリノレン酸(ナタネ油、エゴマ油、亜麻仁油、ナッツ類に多く含まれる)に含まれる。
●オメガ6系:アレルギーや炎症を起こしやすく、血栓をできやすくして、血液を固める作用がある。卵、レバー、マーガリン、ゴマ油に含まれる。
●オメガ9系:悪玉コレステロールを減らす作用がある。オリーブオイル、ベニバナ油、ナタネ油、ナッツ類に含まれる。

 中でもオメガ3系は血流をよくし、脳や網膜細胞などの材料になるという点で、脳や神経組織を健康に保つための効果が期待されています。

答えはAです。

 一方、オメガ6系も細胞の材料になる大切な油です。またオメガ6系には、記憶など脳の働きに重要な役割を果たすアラキドン酸も含まれます。

 オメガ3系も6系も、体内ではつくり出せないので食事から摂る必要があります。注意すべきは摂る量のバランスです。

 理想的なバランスは、「オメガ3系」1:「オメガ6系」4です。現代人の欧米化した食事ではこれが1:10〜40と、極端にオメガ6系が多くなる傾向があります。ですから、ふだんから意識してオメガ3系の油を摂り続ける必要があるのです。今からふだんの食生活を見直して、MCI、そして認知症の予防につなげていきましょう。

認知機能の低下が見られるものの病的ではない、グレーゾーンの状態であるMCI。認知症は防げないといわれてきましたが、MCIの段階で正しく対処すれば、認知症へ進行するのを防げる可能性があります。

■監修■朝田隆(東京医科歯科大学脳統合機能研究センター認知症研究部門特任教授/メモリークリニックお茶の水理事長)
あさだ・たかし 1955年生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業。同大学神経科精神科、山梨医科大精神神経科、国立精神神経センター武蔵野病院精神科、筑波大学精神医学教授などを経て現職。認知症の早期診断法や予防、リハビリに携わり、MCIの啓蒙活動を積極的に行っている。

文/佐藤恵菜 イラスト/みやしたゆみ

初出:まなナビ

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