2018.01.12 |暮らし   

今度は91歳男性無免許事故。高齢者家族はどうすればいいのか

 2018年1月9日に群馬県前橋市で85歳男性が対向車線にはみ出して自転車2台に衝突し、登校途中の女子高校生2人が重体となった事故に続き、11日には大阪府藤井寺市で1歳女児が車にはねられて大けがをする事故があり、12日に91歳男性が逮捕された。男性は免許が失効しており、無免許運転だった。介護サイトには、高齢者の運転を止めさせられない家族の悩みが寄せられている。

老いを認めたくない高齢者たち

 現在、75歳以上の高齢者は、免許更新手続き前に認知機能検査の受検と高齢者講習の受講を義務づけられている。

 しかし各紙報道によれば、前橋市の事例では85歳男性は認知機能検査を受けて免許を更新しており、藤井寺市の事例では91歳男性は免許をすでに失効し無免許運転だったという。

 前橋市の男性の場合は家族もしばしば運転を止めるように言っていたというから、家族の心配も空しく最悪の事態となってしまった。

 ここに見えるのは、老いを受け入れることのできない老人の姿だ。老いは突然訪れるものではなく、本人も家族も気づかぬうちに徐々に近づいてくる。長年車を運転してきた人にとって、免許返納は自分の老いを認めることでもある。

 あと1年、あとひと月と先延ばしにし、なかなか決心をつけられない高齢者も多い。家族から、もう運転をしないように言われれば言われるほど意固地になる人もいる。明らかに認知機能が衰えているのに、自分は大丈夫だと言い張り、車を手放さない高齢者にてこずる家族も多い。

車は傷だらけなのにどうしても乗ると言い張る義父

 介護コミュニティサイト「介護100番」に寄せられた悩みとアドバイスを書籍化した『母がおカネをかくします。』には、高齢者の運転問題に悩む家族の姿がある。

 相談者は、認知機能が低下し始めた高齢の義父の運転を止めさせたいと、「介護100番」の「なんでも相談室」に相談した。

 相談者の76才になる義父は、年を取るにつれて運転があらくなり、あちこちぶつけて車は既に傷だらけの状態。明らかに衰えているのに、どうしても運転を止めません。

 同居している弟夫婦や夫も説得を続けているのですが、頑固な性格ゆえに全く子供たちの意見を聞こうとせず、「もし運転を誤って事故を起こしたり、巻き添えの被害者が出たらどうするのか」と 尋ねても、「後のことは知らん!」の一点張り。

強硬にでも車を廃車にしてしまいたいくらいなのですが、そうして問題はないのでしょうか。

信頼できる第三者から話してもらうことも有効

 この相談に対し、介護支援専門員をしているという人からは次のようなアドバイスが寄せられた。

 私は東海地方で介護支援専門員をしています。経験上、こういうケースの場合、 ご家族だけで解決するのは正直、不可能だと思います。
 
 むりやり車や免許を取り上げてしまうと、暴力などにつながりかねません。お年寄りを説得するのは、人生経験がある分、思春期の子供よりも難しいです。
 
 できれば、信頼のおける第三者(カウンセラー、心療内科医、ケアマネージャーなど)の協力を得て、焦らずに解決策を見つけることをお勧めします。案外、第三者が説得すると、すんなり受け入れることも少なくありません。

 また、免許を取り上げたとしても、免許不携帯で運転する可能性があります。こういう問題について「身内で処理すべき問題」と言う人もいますが、ご家族も解決できずつらいのです。

無理に取り上げて暴力や認知症悪化した例も

 同様の意見は、ほかの人からも寄せられた。

 安全な運転ができる状態ではないのに、家族の反対を無視して運転する人は、自分の置かれた状況を理性的に判断できないのです。

 免許をむりに取り上げると、何をするかわからない、そういうこともありえます。暴力に繋がったり、認知症が急激に進むことも考えられます。これは、私がかかわったご家族で経験しました。主治医などから話してもらうとかの方法を とられたほうがよいと思います。

パンクを装ったり、キーを隠したり……

 とりあえず相談者は、タイヤのエアーを抜き、パンクを装って様子を見ることにしたという。これに対し、同様の経験を持つ人から次のようなユニークな方法が提案された。

 うちの舅も同じでした。もう亡くなりましたが、誰に説得してもらってもダメでした。左半身不随でも動く右手で車を動かし続け、免許を返納しませんでした。介護度3のときには、車をぶつけて庭の木をなぎ倒したこともあります。
 
 説得してもしょうがないと家族はわかっていましたので、黙ってキーを隠しま した。案の定、大騒動になり、本人は警察に、キーを盗まれたと届け出ました。
 
 でも家族も、事前に警察の人に事情を話しておきましたので、警察にはしばらく相手になってもらい、なんちゃって届を書いてもらい、本人を納得させました。 もちろん私たちも、しばらくは一緒になって、キーを探してあげました。
 
 車はずっと車庫に入れておきました。いつでも使えるように、と。そのうち免許の更新のことも忘れ、寝たきりになりました。

* * *

 加害者とその家族もつらい。一連の事件は、家族だけではなく社会全体でこの問題に取り組んでいく必要があることを示している。

 *以上は、介護110番の「なんでも相談室」の相談スレッドを書籍化した『母がおカネを隠します。』に掲載された実際の相談事例によるものです。

文/まなナビ編集室 写真/fotolia/beeboys

初出:まなナビ

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