2018.07.19 |暮らし   

警備業務もロボットの時代に? 人手不足時代を支えるロボット技術

 ロボットというと、何を思い浮かべるだろう。10万馬力の黒パンツロボット? それとも21世紀の猫型ロボット? 或いはホンダのAIBOやソフトバンクのペッパーなど、現実世界に存在するロボットも思い浮かべるかもしれない。クリエイターたちが描いた「ロボットと人間が共存する世界」は、想像とは少し形を変えながらも、すぐそこまで来ている。明治大学でロボット開発の最前線を聞いた。

エレベーターのボタンを発見して押して移動する

 明治大学理工学部の黒田洋司教授と、明大発ベンチャー企業シークセンス株式会社が、セキュリティーロボットを開発、実用化に向けた動きを活発化させている。その最新研究を紹介する講座「自律移動型ロボットとネットワークロボットの現在と未来」が開催された。講師は黒田洋司教授とTIS株式会社AIサービス事業部AIサービス企画開発部主査の佐伯純氏。

 黒田教授は自動走行ロボットなどの開発を行っており、講座では過去に行ったロボット開発の軌跡が紹介された。自動で障害物を避け、走行し続けるロボットは、現在では、走りながら周囲を認知し、それが固定のものなのか、人なのかを判断することができるところまで進歩しているという。行き先を指定すると、自ら最短距離を選択して、エレベーターに乗り、人を避け、目的地まで自走することができる。

 

「走行路を前もってプログラミングしておくのではなく、ロボット自身が周囲の状況を判断して、例えばエレベータのボタンを発見して押し、移動することができるようになるのが現在の目標です」と黒田教授は言う。

 ロボットというと、マンガやSF小説、映画で育った我々は、自分でものを考えて行動する、ドラえもんやアトムのような機械を想像する。しかし講座の最後の質疑応答で佐伯氏はこう言っていた。

「ヒューマノイド(人間そっくりのもの)を作ろうとしているわけではありませんから、人間の五感に似せてロボットを作る必要はないのです。人間のサポートをする、人間ではないものを作ろうとしています。人間が不得意なもの──赤外線を感知する能力や、超音波が聞こえる能力、そういう機能がロボットには簡単につけられます。たとえば、インフルエンザにかかって発熱している人を遠くからでも感知できるロボットができたら、社会に非常に役に立つでしょう」

今後、需要が高まるであろう警備ロボット

 黒田教授を中心に、シークセンス株式会社では、警備・巡回監視を行うロボットを開発中だ。ロボット自体のセンシング能力(センサーなどで感知する能力)と、クラウド連携により、異常物や置き去りの検知、異常行動を認識したり、個人を識別できるようになる。

 日本は今後、テロの危機、インバウンドの増加、そして東京オリンピックと、より多くの警備が必要な状況になる。それにもかかわらず労働人口の減少により、警備をする人が圧倒的に足りないという。警備は信頼性が大切。誰でも務まる仕事ではない。

 となると、少子化で日本人の人口がどんどん減っているなか、なり手が足りなくなるのは目に見えている。こうした問題を解決するのが、ロボットの活用なのだという。

ロボットは人間の仕事を奪うのか

 よく「ロボットは人の仕事を奪うのか」という議論がある。

 黒田教授は、「私は今50代ですが、子どもの頃にあった職業の60%は消滅しているそうです。逆に言えば、60%は新しい職業が生まれているのです。当時コンピュータに関わる仕事は何一つありませんでした。仕事が移り変わるのは今に限らないことです」という。

 ロボットは人間と敵対関係にあるものではなく、寄り添うもの。ロボットと人間が街を行き交う世界は、すぐそこにあるのだという未来を垣間見た講座だった。

取材講座/「自律移動型ロボットとネットワークロボットの現在と未来」(明治大学リバティアカデミー生田キャンパス)

文・写真(講座風景)/和久井香菜子

初出:まなナビ

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