2019.08.23 |暮らし   

介護リフォーム(住宅改修)前に検討しておきたい4つのポイント

 在宅介護では、家の中のバリアフリー化や扉の取り替えなど、住宅の改修を検討する場合も多いだろう。介護作家でブロガーの工藤広伸さんは、リフォームをする前に、まず確認、検討した方がいいことがあると語る。

 盛岡で一人暮らしをする母を、東京から遠距離で介護している工藤さんは、どのように住宅改修と向き合っているのだろうか?

家の壁に手すりを付けた写真

在宅で介護をする家庭では、手すりの取り付けなどの住宅改修を検討することも(写真/アフロ)

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 母がひとりで暮らす盛岡の実家は、昭和42年(1967年)築の木造2階建て住宅です。

 築50年以上経つ家は、断熱材がほとんど入っていないため、冬は寒く、夏は暑いです。また新耐震基準を満たしていない建物なので、耐震性に不安があります。トイレに手すりはなく、床に段差があって、家のバリアフリー化がされていません。

 母が暮らしやすいよう、家を改修してもいいのですが、それには多額のお金が必要になります。また、母が大きな病気で入院してしまったり、認知症が進行して介護施設に入居したりする可能性もあるので、家の改修よりもそちらにお金を取っておきたい思いもあります。

 在宅介護をするうえで、古い家とどう向き合うべきかを、4つの視点で考えてみたいと思います。

【1】家族が最期まで暮らしたい場所はどこか?

 1つ目は、介護を受ける家族が最期まで暮らしたい場所はどこかを、確認することです。

 わたしは母に、どこでどんな生活を送りたいかを、毎年ヒアリングしています。母の答えはいつも一緒で、こう言います。

「できるだけ長く、住み慣れたわが家で暮らしたい。だけど、子どもたちの介護の負担が大きくなったら、介護施設に入ってもいい」

 母の希望どおり、介護施設に入居するための資金は確保しながら、残りのお金を母が自宅で生活する分や在宅介護を受ける分に回しています。

 子どもや孫には迷惑をかけられないので、自宅ではなく介護施設に入りたいと考える家族もいるでしょう。その場合は、家の改修にお金をかける必要はなくなります。

 家族が最期まで暮らしたい場所がどこなのかを、まず、確認することから始めてください。

【2】家のどの部屋を使って、家族を介護するか?

 2つ目は、家の中のどの部屋を使って、家族を介護するかを考えてから、家の改修を検討してみるといいと思います。

 家族が家で最期まで暮らすと言っても、すべての部屋を利用するわけではありません。むしろ、体が弱って、家の中での活動範囲が狭くなっていくため、利用する部屋は絞られていきます。

 うちの場合は、母を介護する部屋は、居間と決めています。そのため、2階や客間の改修は考えず、居間だけは改修を行っています。

 居間の天井裏に断熱材を敷きましたし、すきま風の入る古い2重サッシは、最新のペアガラスのサッシに改修し、断熱性を高めました。居間は、現在の母の生活拠点でもあるので、その部屋だけ改修に踏み切りました。

 家全体の改築やリフォームはお金がかかりますが、介護で利用する部屋を決めて改修することで、ムダな出費は抑えられます。

【3】介護保険を利用した住宅改修

 3つ目に検討したいのは、介護保険を利用して住宅の改修をする方法です。
 
 住宅改修は、要介護認定で要支援または要介護の認定を受けた方で、自宅で生活している人が対象になります。住宅改修の限度額は20万円までで、自己負担額は被保険者の所得に応じて、1割から3割になります。

 介護保険における住宅改修の種類は以下の通りです。

(1)手すりの取付け
(2)段差の解消
(3)滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料の変更
(4)引き戸等への扉の取替え
(5)洋式便器等への便器の取替え
(6)その他前各号の住宅改修に付帯して必要となる住宅改修
(厚生労働省 介護保険における住宅改修より)

 原則1回限りということなので、母が自宅で生活していくうえで不自由さを感じるようになったら、介護保険を利用する予定です。

 改修場所は、玄関の段差を解消するスロープの設置と、トイレの扉を開き戸から引き戸にします。

 手足が不自由な母は、いずれ車椅子を利用する可能性が高いので、スムーズに玄関を出入りできるよう補修します。また、トイレが開き戸のままでは、扉の開閉スペースが邪魔になって、トイレでの介助が難しくなるため、引き戸にしてトイレ内のスペースを確保します。

【4】家の改修ではなく、電化製品でカバーする

 4つ目にオススメしたいのは、電化製品を購入して住環境を整備することです。

 例えば、夏が暑くて冬が寒い部屋に断熱材を入れようとすると、費用も工期もかかります。そこで古くなってあまり効かなくなったエアコンを、新しくしてみるといいかもしれません。

 東京23区内の熱中症による死者数は、2018年から2年連続で100人を超えたそうです。高齢者が住む家の冷房機器の購入に助成金を出す自治体もあるので、利用を検討してみるといいと思います。

 日当たりの悪い部屋なら、窓を大きくしたり、増やしたりするのではなく、照明器具を購入して出費を抑えてもいいと思います。大がかりな家の改修ではなく、電化製品を購入するだけで、住環境が劇的に改善する場合もあります。
 
 家族があとどれだけ生きるか分からないので、古い家の改修を躊躇(ちゅうちょ)する方も多いと思います。それでも家で介護を続けるためには、改修が必要になる時期がやってきます。

 これら4つのポイントをおさえれば、家の改修費用の節約になると思います。

 今日もしれっと、しれっと。

工藤広伸(くどうひろのぶ)

祖母(認知症+子宮頸がん・要介護3)と母のW遠距離介護。2013年3月に介護退職。同年11月、祖母死去。現在も東京と岩手を年間約20往復、書くことを生業にしれっと介護を続ける介護作家・ブロガー。認知症ライフパートナー2級、認知症介助士、なないろのとびら診療所(岩手県盛岡市)地域医療推進室非常勤。ブログ「40歳からの遠距離介護」運営(https://40kaigo.net/

●遠距離介護 呼び寄せなくても案外うまくいく!|その方法【まとめ】

●介護保険サービスが受けられない?介護者が備えておくべき4つのリスク

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