2019.09.03 |暮らし    1

「歩幅」の狭い人は要注意!認知症発症リスクとの関係

 65歳以上の666人を対象に、最長4年間にわたり、歩幅と認知機能の変化についての調査が実施された。

 その結果、歩幅の狭い人は広い人と比べると認知機能低下のリスクが、3.39倍高いことがわかった。認知症患者の約6割のアルツハイマー型認知症は約20年という長い期間を経て、少しずつ病態が進行する。

 歩幅の変化が、認知機能低下に気づくサインになると期待されている。

海辺を歩く高齢者カップル

認知症と歩幅の関係とは(写真/アフロ)

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認知症になりやすいかどうか気づくサイン「歩幅」

 国内の認知症患者は予備軍といわれる軽度認知障害(MCI)を含めると約862万人だと推計されている。認知症患者の約6割を占めるアルツハイマー型認知症は脳細胞が正常な状態から、20年以上かけて徐々に進行し、MCIを経て発症する。

 MCIであれば発症を遅らせたり、正常な状態に戻ることがわかっているので、より早い段階で気づき、生活習慣を改善していくことが不可欠だ。

 認知症の診断には認知機能テストの他、CTやMRIの画像診断が用いられる場合がある。しかし、認知症の症状のないときに、これらの検査を実施することは患者・医療関係者の負担が大きい。

 そこで認知症になりやすい状態かどうか気づくサインとして注目されているのが歩幅だ。

『たった5センチ歩幅を広げるだけで「元気に長生き」できる!』の著者で、国立環境研究所の谷口優主任研究員に話を聞いた。

歩調より歩幅

「高齢者の身体機能を測る代表的な指標として握力、片足立ちバランス、歩く速さの3つがあります。特に歩く速さが高齢者の健康指標に大きく係わるという論文が世界で数多く発表されています。歩く速さは歩調と歩幅の掛け算ですが、私は高齢者にとって、どちらが将来の健康状態に影響しているかに興味を持ち、調査を始めました。結果、認知機能低下に関して歩調よりも、歩幅の狭さが関係していることがわかったのです」

 調査は新潟県と群馬県の65歳以上の住民約1000人を対象に実施された。実測で歩幅が狭い群、普通の群、広い群の3つに分類。歩幅とは一方の足のかかとから、もう片方のかかとまでの距離のことで、実測の数値が3等分になるようにグループ分けした。

 最長4年間追跡できた666人について調べたところ、歩幅の狭い人は広い人に比べ、認知機能が低下するリスクが実に3.39倍になっていたのだ。

 さらに延べ6500人の最長12年間にわたる大規模な研究でも、歩幅の変化と認知症発症との関連を調べた結果、歩幅が狭いまま年齢を重ねた群は、歩幅が広く維持された群と比べて認知症発症リスクが2.12倍高くなることが明らかになった。

「歩幅は脳の神経メカニズムと深く係わっています。例えば、パーキンソン病患者は動作が緩慢になり、歩行が不安定になります。それは脳の黒質と呼ばれる場所に変化が起き、歩行にまで変化が表われるからです。歩幅を一定に広く保つためには脳の様々な領域を駆使する必要があります。つまり、脳のある領域に何らかの変化が生じると歩幅を広く保つことが難しくなる。歩幅の変化は脳のわずかな病変をも如実に表わしているのです」(谷口主任研究員)

 認知機能低下予防には歩幅を広く保ち、常に自己チェックの意識が重要だ。

※週刊ポスト2019年9月6日号

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  1. ミーちゃん より:

    老人ホームで働いている60代後半のケアマネです。長年、介護現場で見てきたお年寄りの弱っていく状態の経過と、年齢的に、自身の体も老化していく現実と向き合いながら、なるほど、と考えさせられました。とても勉強になりました。

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