2019.08.31 |暮らし   

介護施設訪問レポート|米国仕込み!リハビリに力を入れる介護付有料老人ホーム<後編>

 高齢者向けの住宅の中から、話題の施設をピックアップ。記者が訪問し、施設で働く人の思い、設備、サービスなどをレポートする。今回は、東京都江戸川区にある介護付有料老人ホーム「サンライズ・ヴィラ西葛西」だ。

サンライズ・ヴィラ西葛西

 東京、神奈川、埼玉で22の介護付有料老人ホームを運営するライクケアネクスト株式会社。こちらでは、22人の各施設長が専門性や思いのもと、一定の裁量権を持ってそれぞれ任された施設の運営にあたっている。前編ではサンライズ・ヴィラ西葛西の施設長・和氣俊也さんの専門であるレクリエーションを紹介。後編では、常勤の理学療法士が入居者の健康維持のために行っている取り組みをみていきたい。

→前編を読む

アメリカ留学経験のある理学療法士が常勤

 サンライズ・ヴィラ西葛西では、施設長肝いりのレクリエーションと同じくらいリハビリテーションに力を入れているという。「ご入居者全員にリハビリの機会を」という考えのもと、理学療法士の三田地敏希さんが常勤。三田地さんは病院勤務を経てアメリカに留学し、PNFという手法を学び、高齢者のリハビリに活かしているという。

「アメリカのカイザー病院に留学してPNFを学んできました。PNFはポリオ後遺症患者に対するリハビリテーションから始まり、脳梗塞や脊髄損傷のリハビリ、スポーツ障害などで使われてきました。プロ野球選手やプロゴルファーなど、スポーツ選手も取り入れています。PNFは3次元的な動きをすることが特徴で、一つの箇所に負担がかからないので、高齢者のリハビリにも向いています」(三田地さん)

介護付有料老人ホームの機能訓練スペース

個別リハビリも行う機能訓練スペース

 理学療法士が常駐しているメリットの一つは、入居者の日々の変化を把握できること。三田地さんはリハビリが始まる前に一人ひとりの部屋を訪ねて、ベッドから車椅子への移乗を手伝うなどして、身体の状況や体調を確認しているという。

「リハビリの場に来ていただくための工夫もしています。ただ『リハビリが始まりますよ』と声がけをするのではなく、お一人おひとりに合わせたお話をして、モチベーションを高めることを心がけています。リハビリに取り組む意欲を持っていただけるように、介護職と効果的な声がけの方法を共有しています」(三田地さん)

体操をする高齢者たち

1日に3回、行われる集団リハビリ体操

 入居者の心を三田地さんがほぐしていくことで、リハビリに消極的だった人も楽しみながら参加するようになってきたという。どんなに高い技術を持っている理学療法士がいたとしても、入居者が信頼し、楽しいと思わなければリハビリは続かず、意味がなくなってしまう。

「理学療法士の三田地と施設長の和氣のコンビはいい組み合わせだと自負しています。施設長の和氣は生きるモチベーションを上げるためのレクリエーションに特化し、理学療法士の三田地は身体を動かすためのモチベーションを上げています。大事にしていることは、高齢者の気持ちに寄り添って、生きていくための気持ちを高めていくことです」(ライクケアネクスト株式会社営業部部長の蟹江望世さん)

自宅でも簡単に座ったままで!PNFを取り入れたエクササイズ

 自宅でも簡単にできる、PNFの考え方を取り入れたエクササイズを三田地さんに2つ教えてもらった。いずれのエクササイズもお風呂に入る時など、生活に必要な動作を自分の力でできるだけ長くできるようにすることを目標に置いている。椅子に座りながら簡単にできるので、無理のない範囲で試してみてはいかがだろうか。

 1つ目は下腹部の筋肉を維持するための運動。これを行うことで、浴槽をまたぐ時やベッドから起き上がるために使う筋肉を維持する効果が期待できるという。

(1)椅子に左斜めに座り、両手で座面を掴む。

理学療法士が教える体操

膝も伸ばして座る

(2)両足のつま先を曲げて床から上げる。

理学療法士が教える自宅でもできる体操

同じ姿勢のままつま先を上げる

座ったままできる体操

つま先が伸びていると足が重くなり、持ち上げにくくなるのでしっかりと上げる

(3)膝を曲げて、右上に持ち上げていく

高齢者向けの椅子に座ってできる体操

無理のない範囲で持ち上げる

(4)斜めの動きを意識しながら、右側に伸ばしていく。左右交互に繰り返す。

椅子に座って行う体操

座面をしっかりと掴み、身体を支える

2つ目はバンドを使った背筋と腹筋を維持するための運動。物を取る時や電気を消す時など、腕を上げて何かをする際は、真上ではなく斜めに動かしていることが多いという。

(1)バンドを左足で踏み、反対側を右手で掴む。その際、体幹と腕を螺旋的に動かせるように、右手の手首を左手で掴む。

バンドを使った体操

背筋を伸ばして椅子に座る

(2)右手を右斜め上に上げていく。バンドを使わずに行ってもOK。

バンドを使う体操

左右両方とも行う

眠りSCANで睡眠を客観的に管理

 サンライズ・ヴィラ西葛西では、リハビリの他にも生活の質を高めるために取り組んでいることがあるという。その1つが「眠りSCAN」の導入。マットレスの下にセンサーを設置することによって、睡眠状態を客観的に把握できるという。

睡眠をチェックできる眠りSCAN

薄くコンパクトなので眠っている入居者に違和感はないという

「センサーによって、睡眠・覚醒・起き上がり・離床が把握できるため、適切なタイミングでオムツ交換をしたり、見守りをすることができます。睡眠のデータが取れるので、睡眠薬の過剰な投与を避けたり、生活習慣の改善を図れます」(和氣さん)

眠りSCANのパソコン画面

入居者の状態をリアルタイムで把握

 全居室に導入され、その測定結果をケアプランの改善にも役立てているという眠りSCAN。良質な睡眠をとることが認知症予防に効果があるとの研究報告も出ているという。昼夜逆転するなど、生活リズムが乱れがちな高齢者の睡眠環境を整えることに効果を発揮しているそうだ。

 いかがだっただろうか。常勤の理学療法士が一人ひとりの状態を把握し、リハビリへの意欲を高めてくれるサンライズ・ヴィラ西葛西。専門家による科学的な知見と温かみのある人間性が、健康寿命を延ばすための鍵なのかもしれない。

撮影/津野貴生 取材・文/ヤムラコウジ

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【データ】
施設名:サンライズ・ヴィラ西葛西
公式WEBサイトhttps://www.like-cn.co.jp/homes/sunrise-villa/nishikasai.html
所在地:東京都江戸川区西葛西8-12-7
最寄駅:地下鉄東西線「西葛西」駅 徒歩13分
類型:介護付有料老人ホーム
事業主体:ライクケアネクスト株式会社
敷地面積:1,171.18平方メートル
延床面積:2,960.75平方メートル
室数:80室
入居要件:概ね65歳以上で入居時自立・要支援・要介護
構造:鉄筋コンクリート造地上5階建て
開設年月日:2018年5月1日
料金:入居一時金+月額利用料。入居金85万円に対して、月額利用料(家賃)1万円の割合で増減ができる。
(1)入居一時金0円+月額利用料25万1830円(家賃13万3000円+管理費6万4800円+食費5万4030円)
(2)入居一時金335万円(下限)+月額利用料19万1830円(家賃7万3000円+管理費6万4800円+食費5万4030円)
(3)入居一時金590万円(上限)+月額利用料16万1830円(家賃4万3000円+管理費6万4800円+食費5万4030円)

※施設のご選択の際には、できるだけ事前に施設を見学し、担当者から直接お話を聞くなどなさったうえ、あくまでご自身の判断でお選びください。

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