2019.09.05 |   

老化で減少する筋肉を増強する!スケソウダラのタンパク質に注目

 スケソウダラ(スケトウダラ)は日ごろ馴染みの深い魚の一つだろう。かまぼこや魚肉ソーセージなどの練り製品、白身魚のフライの原材料として多用されるほか、卵はタラコとして食卓に上る。タイやヒラメと比べたら大衆魚といったイメージが強いが、ニッスイの調査で、実はこのスケソウダラが、我々の体に役立つ成分を持つことがわかってきた。

スケソウダラの水揚げの様子

日本人の食卓でなじみの深いスケソウダラ

タンパク質のほとんどが利用される

 ニッスイがスケソウダラの機能面で注目し研究を続けてきたのは、この魚のタンパク質に高い機能性があるからだ。同社食品機能科学研究所の研究員、内田健志さんはこう話す。

「タンパク質は多くの食品に含まれる成分ですが、食べた後、体に利用される割合が高い種類と、利用されにくい種類があるのです。中でも鶏卵のタンパク質は優秀で、体に利用される割合を示す『正味タンパク利用率』を見ると、94%が利用されることがわかっています」

 利用されやすさの違いは、タンパク質に含まれるアミノ酸の種類と吸収されやすさによるという。逆にタンパク質が利用されにくいのは小麦で、利用率は卵の4割程度。

「私たちは水産物を扱っているので、魚のタンパク質を研究してきました。調べたところスケソウダラのタンパク質が、鶏卵を超える利用率を持つという結果が出たのです。その数値はなんと97%。つまり、体に取り入れたタンパク質のほとんどが、筋肉の組成などに使われるということになります」

 体に利用されなかったタンパク質は脂肪に変わるため、利用率が低い食品だと体内に無駄な脂肪を増やしてしまう可能性がある。

年齢と共に減少する「速筋」を増やす働きも

 スケソウダラタンパク質が優れている点は利用率の高さだけではないと、内田さんは説明する。

「運動で筋肉を使うと、次のようなことが起こります。負荷がかかり、傷ついた筋肉は『自己破壊』といって、いったん自らを壊しにかかります。この状態が皆さんも経験がある筋肉痛です。それから破壊を抑制するプロセスを経て、筋肉の再生が開始されます。これにより筋肉は強化されます。ところがスケソウダラを食べると、自己破壊のステップなしに破壊の抑制と再生が行われるのです。筋肉にダメージを与えずに、筋肉を増やすことができるわけですね」

 スケソウダラタンパク質は、意識的に筋繊維を傷めることをせずとも筋肉増強が期待できる性質を持っているのだ。さらにもう一つ注目したいポイントは、ある種の筋繊維に対する働きだ。

「それは『速筋』と呼ばれる筋繊維を増やす働きがあることです。筋繊維には、瞬発力に関係する『速筋』と、持久力に必要な『遅筋』の2種類があって、特に速筋は年を取ると減少することがわかっています。スケソウダラタンパク質は、速筋を太くする働きがあることが動物実験で判明しました。これは高齢者の筋力減少を改善する可能性があるのではと考えられるのです」

スケソウダラの筋肉増強作用を説明する内田研究員

スケソウダラタンパク質は「速筋」の増加を後押しする

被験者の8割近くの筋肉が増加

 これをもとに内田さんらの研究グループは、速筋が減少してくる世代を対象に、スケソウダラタンパク質がどのような働きをするかの試験も行っている。

「65歳以上の女性19人にスケソウダラをミンチにしたものを30グラム、3か月間、毎日食べてもらいました。この場合、タンパク質の量は4.5グラムになります。その結果、15人の筋肉が増加したと見られる分析結果が出ました」

 健康のために「筋トレをしましょう」「歩きましょう」と言われてはいるが、時間や場所の問題で難しいことがある。また、体を動かすことが大変という人もいるだろう。スケソウダラは、そうした場合にも有効な食品と言えそうだ。

 ところで、上記の試験のようにスケソウダラタンパク質を4.5グラム摂取するには、どうしたらいいのだろうか。

ちくわ、カニ風味カマボコを朝に食べるのがオススメ

「スケソウダラはそのまま食べなくても、使用されている食品を摂ってもかまいません。目安としては、ちくわ約33グラム、フライ約60グラム、カニ風味かまぼこ約50グラム程度となります。昼、夜に比べ朝食にタンパク質を摂取する人が少ないので、食べるタイミングは、特に朝をオススメします。足りないタンパク質を補えることと、筋肉増加作用の2つのメリットを活かせる朝食に、スケソウダラ食品(スケソウダラのタンパク質4.5グラム以上)をプラスすることが、効果的なのではないかと考えています」

カニカマを使ったサラダ

カニカマなどのスケソウダラを使った食材は手軽な上、レシピを展開しやすい

 スケソウダラタンパク質の機能性を、高齢者の食事に活かす取り組みも始まっている。東京都東久留米市のNPO法人「地域ケアネットワーク ゆいまぁる」では、デイサービスなどの食事にスケソウダラのミンチを使った料理を11月より提供予定。比較的油の少ない魚肉なので、いろいろな料理に展開しやすいという。ニッスイでもこの活動の支援として、食材の提供を開始しメニュー開発を進めている。

 練り製品はそのまま食べることもできるし、サラダの具にする、煮る、焼く、炒めるなど多くの調理法でおいしくいただくことが可能だ。筋肉を増やしたいときは、スケソウダラの含有量が多い製品を選ぶといいだろう。

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