2019.11.15   

「こんな医者にはかかりたくない」認知症の母を介護する息子の気持ち

 認知症とは長い付き合いになるので、同じ担当医に長期間診てもらうことになる場合が多いだろう。本当にこの医師でよかったのか…。そう思っている人もいるかもしれない。

 長年、認知症の母を介護しているブロガーで作家の工藤広伸さんは、自身の経験から、「こんな医師にはかかりたくない」というタイプがわかったそうだ。

患者の手を触る男性医師

認知症の人を介護する家族がかかりたくない医師とは?

 * * *

 認知症を診る医師と他の診療科の医師とでは、大きな違いがあります。

 それは、認知症の人とその家族との付き合う時間の長さです。例えば、風邪や骨折といった完治する病気の場合、いずれ病院に通うことはなくなります。

 しかし、基本的には完治しない認知症の場合、1か月に1回程度の通院が長く続きます。それゆえ、悪い医師に当たると、認知症の人もその家族も、長い間大変な思いをすることになります。

 今日は、認知症の介護をする家族の立場でわたしが考える、「こんな医師にはかかりたくない」タイプについて、お話しします。

※医師の対義語として、患者と表現したほうが分かりやすいと思うのですが、 わたしのポリシーとして、認知症患者という言葉は使わないと2014年から決め、極力避けているので、今回も認知症の人とその家族という表現にしています。

認知症ご本人とその家族の話を聞かない医師

 認知症の診断は、認知症の人の言動や、家でのいつもの様子を知る家族の話など、問診が特に大切と言われています。

 それなのに、認知症本人や家族の話を聞かずに、パソコンばかり見ている医師や、画像だけで、認知症を診断しようとする医師には、正直かかりたくありません。

 病院の待ち時間が長くなると、待たされる認知症の人やその家族はイライラしてしまいがちです。ただ、認知症の問診に時間をかけた結果、診療時間が長くなっているとしたら、むしろ信頼していいお医者さんなのかもしれません。

 認知症の人とその家族の話を聞く医師の姿勢が、患者や家族にとっては、とても大切です。

認知症の症状の悪化をすべてお薬で解決しようとする医師

 認知症の症状が悪化し、家族が介護の大変さを訴えたときに、お薬だけで解決しようとする医師も困ります。

 お薬の種類や量を増やすことで、認知症介護の問題が解決することもあると思います。しかし、問診を大切にせずに、お薬だけで問題を解決しようとした結果、かえって認知症の症状が悪化したという話を、医師から何度も聞いたことがあります。

 高齢者が複数の医療機関にかかっていて、6種類以上のお薬を服用すると、副作用の危険性が高まる「多剤服用」が問題視されているそうです(参考資料:「超高齢社会における かかりつけ医のための適性処方の手引き」日本医師会作成)。

 高齢になれば、飲むお薬の種類は増えるのに、さらにお薬が追加されてしまっては、やはり副作用が心配になります。

 他院で処方され服用している薬を把握するためにも、家族は認知症の人のお薬手帳を診察の際に持参し、医師に相談してみるといいと思います。また、多剤服用が解決しない場合は、薬剤師に相談してみるという方法もあります。

看護師や病院スタッフに対して高圧的な医師

 看護師さんや病院スタッフに対して、高圧的な態度を取る医師にもかかりたくありません。

 認知症治療の通院は長期になるので、認知症の人やその家族は、医師以外のスタッフの皆さんとも接する機会が多くなります。そのスタッフが高圧的な医者のせいで病院を辞め、コロコロ変わってしまうようでは、認知症ご本人も落ち着きません。せっかく名前や顔を覚えかけても、すぐ忘れてしまいます。
 
 そういった高圧的な態度のまま、認知症の人やその家族にも接するのであれば、その医師にはかかりたくありません。

医師が考える「いいお医者さん」とは

 先日、わたしは医師と講演会で対談する機会がありました。その医師に「いい認知症のお医者さんとは、どういう人ですか?」と質問してみました。

 すると医師から「人柄で判断したほうがいい」という、シンプルな答えを頂きました。

「医師である前に1人の人間なのだから、医師と認知症の人、その家族と信頼関係が築けないような人柄では、認知症ご本人も家族も大変な思いをすることになる」というお話でした。

 ただ、認知症を診る医師が全国的にまだまだ少ないので、信頼関係を築けない医師とも付き合っていくしかない場合もあって、家族もつらいだろうという話もされていました。

わたしの「いいお医者さん」の見つけ方

 その医師から、

「くどひろさんは、どうやっていい医師を見つけるの?」

 と、逆質問を受けました。わたしは、

「介護家族の集まりや、認知症カフェで教えてもらった医師の口コミで判断する」

 と答えました。

 インターネット上の医師に対する口コミの数には地域差があり、判断材料に乏しい場合もあります。また、信ぴょう性に欠ける口コミも中にはあります。

 介護家族の集まりで語られる医師の口コミが、必ずしも正しいわけではないのですが、地元でしか得られない口コミは、いい医師を選ぶうえでのひとつの判断材料になると思います。

 最終的には自分や認知症ご本人との相性で判断し、その医師と長い時間お付き合いしていくかどうかを決めればいいと思います。

 医師との相性がよくなかった場合は、医師や病院自体を変えてみるのも手かもしれません。医師が変われば、認知症の人の状態も、その介護を行っている家族の大変さも大きく変わると言われています。

 一方で、認知症は基本的には完治せず、お薬や接し方によって症状が改善したり、進行を遅らせたりすることはできます。なので、医師が認知症を治してくれると期待し過ぎるのは、どうかと思います。

 家族として今困っていること、認知症ご本人が大変そうにしている目の前のことを、ひとつひとつクリアしていく中で、医師と認知症ご本人、家族の信頼関係は積みあがっていくのだと思います。

 今日もしれっと、しれっと。

工藤広伸(くどうひろのぶ)

祖母(認知症+子宮頸がん・要介護3)と母のW遠距離介護。2013年3月に介護退職。同年11月、祖母死去。現在も東京と岩手を年間約20往復、書くことを生業にしれっと介護を続ける介護作家・ブロガー。認知症ライフパートナー2級、認知症介助士、なないろのとびら診療所(岩手県盛岡市)地域医療推進室非常勤。ブログ「40歳からの遠距離介護」運営(https://40kaigo.net/

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