2016.07.28 |暮らし   

初めての介護|介護はいつから?タイミングを見逃さない7つのチェックポイント【プロが教える在宅介護のヒント】

介護はいつから必要? サインを見逃さない

 ふとした瞬間、「うちの親も歳をとったなぁ」と感じることがあっても、それが、介護が必要な状態なのかはよく分からない場合が多いだろう。特に本人が「まだ大丈夫」と言えば、なんとなくそのままになってしまいがちだ。

 だが長く健康で、自立した暮らしを維持するためにも、介護保険を利用する適切なタイミングを見逃さず、早い段階で介護の専門職とつながることが大切なようだ。

「プロが教える在宅介護のヒント」シリーズの第1回に登場するのは、家庭で介護サービスを受ける際、最初に相談する人、“介護支援専門員(ケアマネジャー)”。介護保険利用者の相談援助の傍ら、一般と介護専門職向けに介護関連のセミナー企画・運営なども行っている森岡真也さんに、介護保険の利用を検討するタイミングと最初に相談する窓口はどこの誰になるかなど、初めての介護のステップについて聞いた。

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そろそろ介護が必要?7つのチェックポイント

 暮らしの中で困ることが出てきても、高齢者には「人の世話になるのは申し訳ない」「子どもに心配や迷惑をかけたくない」といった気持ちが強く、介護(支援)を拒む人が少なくありません。けれど早い段階で介護(支援)が必要かどうか気づくことができれば、介護サービスを上手に利用しながら、ご本人の希望に叶う自立した暮らしを続けることができます。重症化させない可能性も高くなり、そうなれば家族や社会の負担も軽くなるのです。

 僕ら介護の専門職は、重症化するまでケアマネジメントや介護サービスとつながらなかった人に会い、残念に思うことがあります。もっと早く、適切な介護サービスとつながっていたら、今の状態が違ったのではないかと。

 ぜひ、次の点をチェックして介護が必要なタイミングを見逃さないでください。

 これらのポイントはいずれも症状を起こしている原因の特定が難しい問題で、高齢者の場合は、若い人とは全く違う原因で起きていることもあります。

 それぞれ原因を探して対応を変える必要があり、症状を放置すると悪化するだけでなく、全身の健康に影響し、自立した生活が困難になるきっかけになってしまうことがあります。

 次の7つのポイントをチェックして1つでも当てはまるなら、そろそろ介護が必要かもしれません。

1:食欲がない、急に痩せてきた、食事量が減った 

 さまざまな病気や噛み、飲み込む機能の低下、口腔トラブル、認知機能低下といった原因から「食べられない」という問題が起きている可能性がある。

2:自宅の壁に穴が空いている、ガラスが割れている、杖や靴が壊れている

 運動機能の低下や脳の病気などが原因で「転倒」している可能性が高い。ケガや骨折につながるリスクも。

3:手帳やカレンダーに予定を書き込まなくなった、外出の機会が減った

 認知機能の低下や、何らかの身体的・精神的な不安や困りごとが原因で社会参加が減っている可能性がある。

4:物をしまう場所(位置)が変わる、探し物が増える

 認知症や意識障害などの可能性がある。体験の一部ではなく体験全体を忘れる、忘れた自覚がない場合も要注意。

5:人との約束や日時を忘れる、何度も繰り返して日付を尋ねる

 認知症や意識障害などの可能性がある。日時や季節の見当がつかなくなるほか、場所、人が分からない場合も要注意。

6:メガネや食器など、手で持つ物、身につける物をよく壊す

 認知症によって物との位置関係がつかめなくなっているか、また別の病気や薬の副作用などが原因で手の震えやしびれ、筋弛緩が起き、ひんぱんに物を落としている可能性がある。

7:眠れていない、昼夜逆転している(昼間に寝て、夜起きている)

 認知症による時間感覚の喪失や薬の副作用など、さまざまな原因から生活のリズムが破綻している可能性がある。

介護保険のサービスを利用するには

 介護が必要かなと思ったら、家庭で介護保険のサービスを利用するために「要介護認定(要支援1、2または要介護1~5)」を受ける必要があるので、【1】行政の介護相談窓口や福祉の窓口で申請方法を尋ねましょう(※注1)。

 申請は、【2】地域のケアマネジャーに頼むこともできます(※注2)。

 要介護認定を受けたら、これから、どのようなサービスが利用可能か相談できます。

 要支援1、2の場合は【3】地域包括支援センターに、要介護1~5の場合は、【4】地域のケアマネジャーに相談し、サービス計画を示すケアプランを立ててもらうことができます。

 介護保険の介護サービスの利用は一部自己負担が必要ですが、介護認定の申請やケアプラン作成に自己負担はなく、ご本人やご家族が望まない介護サービスを提供することもないので、サービスを「受ける・受けない」は後で判断することとして、相談してみましょう。

 また、いろいろ困っているけれど、認知機能が低下するなどして、困っていることを自覚できないケースもあります。7つのチェックポイントの症状が見られたら、ご本人が「必要ない」と言っていても、気づいた人が介護の窓口とつながり、備えることが、ご本人の安全な暮らしを守ることになります。

【1】行政の介護相談窓口や福祉の窓口
【2】地域包括支援センター(新宿区の場合は「高齢者総合相談センター」という名称、地域によって名前が異なる場合もある)
【3」地域にある医療機関(院内にある患者相談室など)
【4】地域にある訪問看護ステーション

※注1 2015年に施行された「第4次改正介護保険法」により一部の自治体では要介護認定を受ける前も希望すれば 「介護予防・生活支援サービス事業対象者(第1号事業対象者)」としてヘルパーやデイサービスを利用できるようになった。この場合は、地域包括支援セン ターで基本チェックリストのチェックを受ける必要がある。これは「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」の適用で、各自治体の判断により2018年4月 までの間にスタートするため、現時点の対応は各自治体によって異なる。住んでいる自治体の対応が分からない場合は、要介護認定を希望する場合と同様に行政 の介護相談窓口や福祉の窓口、地域包括支援センターで聞いてみよう。

※注2 ここでいう「地域のケアマネ ジャー」は都道府県知事の指定を受けた居宅介護支援事業所に所属し、都道府県知事が行う試験や研修をクリアし、都道府県知事への登録を行っている有資格 者。家庭で介護を受けたい人の要介護認定の申請の代行は、地域包括支援センターとケアマネジャーがいる居宅介護支援事業者のうち厚生労働省令で定めるもの のほか、成年後見人、民生委員・介護相談員、社会保険労務士も可能。すべてのケアマネジメントが公平に行われ、ケアマネジャーの個人的な考えや手法に左右 されないように、さまざまな決まりごとがあり、居宅介護支援事業所や所属するケアマネジャーはそれを遵守する。

介護相談は最初はどこへ? 誰に?

 具体的な介護相談に応じてくれるのは“介護支援専門員(ケアマネジャー)”です。

 要介護認定を受けたら、次のような場所で家庭での介護を支援する地域のケアマネジャー(※)を紹介してもらいましょう。なお、要介護認定の申請から地域のケアマネジャーに依頼することもできます。

教えてくれた人

 

ケアマネジャー:森岡真也さん

森岡真也さん/株式会社モテギ新宿ケアセンター長、モテギケアプランニング新宿管理者。主任介護支援専門員(ケアマネジャー)・社会福祉士・介護福祉士。大学では文化人類学を専攻していたが、介護のアルバイトと家族介護をきっかけに現職を志した。介護保険利用者の相談援助の傍ら、区内の介護専門職のネットワークづくり、市民を交えた「食支援」活動に奔走する。「高齢になると十分な食事がとれず、栄養障害を起こす人が多いこと、食支援が必要なことを知ってもらいたい」。

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