2020.01.18    1

日本一かっこいい介護福祉士!杉本浩司さんが会いたい人|すごい90歳・奥村正子さん<前編>

“日本一かっこいい介護福祉士”として介護職の枠にとらわれず、テレビなどのメディアにも登場し、マルチな活躍を続ける杉本浩司さん。モデルから介護の仕事に転身して22年の杉本さんが目指すのは、介護がかっこいい仕事であることを伝え、業界全体を向上させていくことだ。10年以上続けている講演活動は、年間70回・7000人もの人が聴きに来るほどの人気ぶり。

日本一かっこいい介護福祉士

日本一かっこいい介護福祉士として引っ張りだこの杉本浩司さん

72歳から始めたベンチプレスで世界一。90歳で現役の秘密は食事と水分摂取

 そんな杉本さんが「会いたい高齢者」に会いに行き、インタビューするこの企画。1回目のゲストにお迎えした奥村正子さんは、72歳で始めたベンチプレスの世界大会で5回の優勝を誇っている。90歳になった今でも現役最高齢女子選手として日々の鍛錬を欠かさない奥村さんに健康の秘訣や考え方、大切にしていることを聞いた。

「外食は一切しません。食材にもこだわりがあります」(奥村さん)

杉本さん(以下、敬称略):5つ目の金メダル、おめでとうございます。日本で開催された世界大会だったので喜びもひとしおだったのではないでしょうか。

奥村さん(以下、敬称略):周りの方の応援とサポートのおかげですね。感謝の気持ちを常に忘れないようにするために、試合では胸を拳で3回叩くルーティンをしています。1回目は亡くなった両親、2回目はベンチプレスを始めるきっかけをくれた亡くなった夫、そして3回目はいつも気にかけてくれる息子に対してです。さらに、練習や大会でサポートをしてくださる方々への感謝を口に出して伝えるようにしています。金メダルを5つも取れたのは、日々の積み重ねだと思っています。自分の体を作ってくれているのは食べ物です。ちゃんとしたものを食べて、自分の体は自分で管理することが大切です。

インタビューをしている2人

終始笑いの絶えないインタビュー

杉本:食事にこだわっていらっしゃるとお聞きしました。

奥村:外食は一切せずに、自分で作って食べています。出かけるときには、おにぎりを握って持っていきますね。食材にもこだわりを持っていて、お金はかかりますが、全国から自分が良いと思ったものを取り寄せています。よく使うオリーブオイルやお酢などの調味料も質の良いものにしています。自分の体のためということもありますが、外食をしない理由は他にもあります。戦中、戦後と食糧難の時代に育ったせいか、食べ物を無駄にしたくないんです。外食で食べきれなかった分が捨てられるのが嫌なんです。

おにぎりを食べる90歳の女性

インタビュー前に自宅から持ってきたおにぎりをパクリ

 他にこだわっているのは、食べるものを量って、コントロールしていることです。食事は1日2回と決めていて、ご飯は90g、朝から食べるお肉は1日に100~130g。ご飯はまとめて3合炊いて、量って冷凍しておきます。お肉は地元の常陸牛。その理由は、生産者の方の顔が見えるからです。信頼できる食材しか、安心して口に入れられません。お肉は例えば週に1日だけ300gまとめて食べるという摂り方ではなくて、毎日少しずつ食べて蓄積させることが大切です。専門的に栄養学を学んだわけではありませんが、自分の体調を見ながらいろいろと試しています。

おにぎりと水筒

外食はしないと決めている

 朝からしっかり食べることを心がけていて、天ぷらを揚げることもありますよ。使う油はオリーブオイルを基本にしていますが、天ぷらのときはごま油を使って、野菜を揚げることが多いですね。野菜は素材の味を楽しむようにしています。漬物も本当は好きですが、今は塩分を控えるためにあまり食べないようにしています。皆さんにもオススメしたいのは、玉ねぎの味噌漬けです。プラスチック容器に入れた味噌の上にさらしを敷いて、その上に玉ねぎの輪切りを乗せます。さらにさらしを乗せて、お味噌を乗せて一晩寝かせます。洗わずにそのまま食べられて、とってもおいしいですよ。

「奥村さんのお話をそのまま社員研修で見せたくなります」(杉本さん)

杉本:かなりこだわっていらっしゃいますね。朝から食事をしっかり食べること、タンパク質や炭水化物などバランス良く食べているのは良いと思います。奥村さんはアスリートでもありますが、水分はどのくらいの量を、どのようにして摂っていますか。

奥村:1日2リットルは飲んでいますね。主治医の先生からもそのくらいは飲んだ方がいいと言われて、実践しています。モーニングコーヒーから始めて、日中はハトムギ茶、食事のときには日本茶を飲んでいます。寝る前には牛乳にハチミツを入れて300ミリリットル飲んでいます。かなり水分を摂っているように思われるかもしれませんが、寝ている間にトイレに起きることはまったくありませんよ。

ベンチプレス選手の奥村さん

睡眠時間はたっぷり8時間以上

杉本:とてもよく分かります。勘違いをしている方が多いのですが、水分を摂らない方がかえってトイレが近くなるんです。理由は、尿意を感じているのは膀胱ではなく脳だからです。前頭葉の働きは高齢になればなるほど、どうしても弱くなってしまいますが、水分を摂ると血液循環が良くなるので、脳に回る血液が多くなり、前頭葉が刺激されます。そうすると、尿意がコントロールできるようになるんです。

奥村:8~10時間くらいたっぷりと睡眠をとっていますが、朝までぐっすりですね。日中も必要以上にトイレに行きたくなることはありませんね。

杉本:私は長野県の弊社のグループホームで、約90人を対象に調査をしたことがあります。水分摂取量を多くしたら、トイレに行く平均回数が減って、朝まで起きずに眠れるようになった方が増えました。多くの方は、水分を摂るとトイレが近くなると勘違いしていて、水分を摂るのを我慢してしまいます。水分を摂るとトイレに行く回数を減らせることは、声を大にして伝えたいですね。人は1日に2500~2800ミリリットルくらい体から水分が出ています。呼吸や皮膚から1000ミリリットル、おしっこで1500ミリリットルくらい出ています。ご飯を食べていると、体が勝手に300ミリリットルくらい水を作ってくれますが、やはり2リットルは意識して水分を摂ることが必要です。

話をする杉本さん

豊富な現場経験と理論の両輪が杉本さんの強み

奥村:やっぱりそうなんですね。私は夜寝る前と朝に体重を量りますが、大体寝ている間に400gから500g減っています。

杉本:奥村さんは積極的に水分を摂るようにしているとご著書にも書かれていますが、私が先日、講義で社員に教えてきたことそのままです。お話をお聞きしていて、実践されている方がここにいらっしゃると思いました。奥村さんのお話をそのまま社員研修で見せたくなります。

ウエイトリフティングで5回の世界一の奥村さん

ウエイトリフティングで5回の世界一に輝く奥村さん

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撮影/津野貴生 取材・文/ヤムラコウジ

奥村正子さん

1930年7月7日、横浜生まれ。世界マスターズベンチプレス選手権で5回の優勝を誇る現役最高齢の女子ベンチプレス選手。主婦として子育てをし、36歳のときから学んだ英語を使って仕事をしていたがスポーツ経験はなし。72歳で夫と共に始めたジム通いをきっかけにベンチプレスに熱中。2013年にチェコで行われた世界大会で初優勝。その後、イギリス、アメリカで行われた世界大会を制し、3連覇を達成。2018年の南アフリカ大会、2019年の日本大会でも優勝し、5つ目の金メダルを獲得。
著書に『すごい90歳』(ダイヤモンド社)がある。

聞き手/杉本浩司さん

1977年、千葉県生まれ。介護施設の施設長などを経て、2018年9月にメディカル・ケア・サービス株式会社入社。現在は西日本事業統括部岐阜事業部部長・認知症戦略室副室長を務めている。これまで培ってきた自立支援介護のノウハウをもとに、誰でも、どの施設でも介護が必要な方の自立支援ができる仕組み作りに取り組んでいる。社外では“日本一かっこいい介護福祉士”として、年間70回以上の講演やメディア出演、介護職員のユニフォームのプロデュースなど、介護の仕事の魅力を向上させる活動に取り組んでいる。

取材協力
日本パワーリフティング協会:https://www.jpa-powerlifting.or.jp/
TXP(パワーリフティング・ウエイトリフティング専門ジム):http://t-x-p.com/

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  1. 高橋 より:

    90歳には見えませんね!
    ビックリです。

    8+