2020.02.27    1

兄がボケました~若年性認知症の家族との暮らし【第30回 やっと来ました失業手当!】

 ライターのツガエマナミコさんは。若年性認知症を患う兄と2人暮らしだ。病気がわかってからも続けてきた会社勤めに、ついに終止符をうった兄だったが、退職金、障害年金などはもらえないことが判明。頼みの綱は失業手当と、兄に付き添いハローワーク通いを続けた結果…。

「明るく、時にシュールに」、でも前向きに認知症を考えます。

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ハイスピードな入金に感激

 失業手当をいただくには、就職する意思があることを具体的な行動で示さなければなりません。それが最低月2回の求職活動でございます。一般的には、求人への応募、ハローワークや民間機関への職業相談、公的機関主催のセミナー受講などでありまして、兄もそれをしないといけないとなると、わたくしもそれに同行しなければならないということで、「最悪だ」と思っていたのです。

「求職活動はどうしたらいいのでしょうか?」というわたくしの質問に、職員の答えはこうでした。「それは、一般の方のお話で、お兄さんの場合は月1回でいいんです。認定日にここへ来ていただけば、それが職業相談1回となりますから、とにかく認定日には必ずここに来てください。それで大丈夫です」

 それを聞いてどーっと肩の荷が下りました。でも要は「積極的にしなくてもいい、したところで見つからないから」という意味に思えて、やはり仕事は無理なんだろうと、諦めムードも漂いました。

 そして、上階の窓口で定型の質疑応答により「きちんと失業している」という認定を受けて、ついに失業手当を受給できる段取りになりました。

「〇月〇日にご指定の金融機関にこの金額が入金されますので、ご確認ください」

 複雑な条件と方程式から割り出されたその金額は、強欲なわたくしが期待したほどはありませんでした。しかしながら無収入に比べたら宙を舞うようなありがたい金額。もちろん兄の通帳に入るものですし、カード番号など本人がちんぷんかんぷんのですからわたくしが代理で引き出せるはずもありません。

 ただ兄はほぼ家から出ない上に、物欲もなく、わたくしと違ってお金にも執着をしない無垢な天使のような人なので、失業手当はもれなく貯金となり、いずれ兄のために使うことになるはず。

 退職金の代わりにしてはあまりに少ないですが、病気&会社都合で退職になったことで手当期間は普通よりもロングランで、最大10か月先まで頂戴できるようでございます。本当にありがたく、今更ながら社長様にも人知れず感謝いたしました。

 通帳だけは兄から預かっているので、1週間後ぐらいに自分の用事で銀行へ行ったついでに「まさかまだだろうな」と思いつつも記帳をしてみると「もう入っている!」となって、思わずニヤついてしまったわたくし。いやいやハローワーク恐るべし。出版社の入金は、仕事をしてから2~3か月先が普通ですのに、失業手当は認定日からなんと4日後というスーパーハイスピード入金でございました。

 引き出すことはなくても、兄に毎月いくばくかの収入があるというのは、わたくしの精神衛生上、とても救いでございます。

 しかし! 次なる不安は、確定申告。勤めをやめた兄の分の確定申告もしなければなりません。ああ、また面倒な作業が増えるではありませんか。自分の確定申告でさえ面倒で遅れがちなのに、兄の分まで。しかもマンションの売買をしているとなると、どんな申告が必要になるのでしょう????? 

 人生は一生勉強。またまた頭の痛い問題でございます。

つづく…(次回は3月5日公開予定)

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文/ツガエマナミコ

職業ライター。女性56才。両親と独身の兄妹が、5年前にそれぞれの住処を処分して再集合。再び家族でマンション生活を始めたが父が死去、母の認知症が進み、兄妹で介護をしながら暮らしていたが、母も死去。そのころ、兄の若年性認知症がわかる(当時57才、現61才)。通院しながら仕事を続けてきた兄だったが、ついに退職し隠居暮らしを開始。ハローワーク、病院への付き添いは筆者。

イラスト/なとみみわ

この連載の一覧へ!

第1回 これからどこへ引っ越すの?
第2回 安室ちゃんは何歳なの?
第3回 この光景見たことある
第4回 疑惑から確信へ
第5回 今日は会社休み?
第6回 今年は何年ですか?
第7回 アパート借りっぱなし事件
第8回 アパートはゴミ屋敷
第9話 全部処分していい
第10回 で、どうすりゃいいの?
第11回「奥さん」じゃないんですけど…
第12回 たびたび起こる出社拒否
第13回 退職金が出ない!?
第14回 兄の焼肉病
第15回 社長様のお説教
第16回 住所が書けない
第17回 マンション買い換え
第18回 引越しは大格闘スペクタクル
第19回 兄、新居を覚える
第20回 認知症は世間話が上手?
第21回 兄、会社を休職
第22回 さようなら障害年金
第23回 はじめての「家族の会」
第24回 犬を飼う
第25回 はじめてのハローワーク
第26回 希望月収は30万円!?
第27回 兄と2人で映画館
第28回 4時間の悪戦苦闘
第29回 行ってきました初回認定日

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▶コメント

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  1. motoko より:

    最新号を偶然目にして拝見しました。初めから読んでみたくて読み始めたら
    一気に全部読み通してしまいました。
    ゴミ屋敷は、昨今テレビでもよく放送されていて、片づけられない人が一人暮らしをするようになると必ず行きつく…のが、普通のことだという認識になってきました。
    お父様の事故、お母様の介護、続いてお兄様のお世話…現在に至るまで
    リアルな日常をユーモアも交えながら明るく(イライラも)受け入れておられるので 読み手の自分も重くならずに読めるんだと思います。
    単行本になりますこと願っております。

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