2018.02.01 |暮らし    5

70才からが楽しい!老いる極意「ひとり旅、趣味は20個」

 日本人の平均寿命は、女性87.14才、男性80.98才で、いずれも過去最高を更新している(2016年 厚生労働省)。リタイア後の10年、20年をどう生きるか…この“下り坂”がつまらなければ、せっかく生きているのに楽しくない。自身の老いを観察し、「人生の楽しみは70才から」という、ドイツ文学者・池内紀さんに、楽しく老いる極意を聞きました。

「人生の楽しみは70代から」と池内さん

年寄りは自立してひとり旅に出よう

 年寄りに大切なのは、“自立する”こと。人間は基本的にひとりですよ。ご夫婦でどんなに仲がよくても、最後はひとりになりますからね。よく何人か連れ立って旅行している女性を見かけますが、年を取ったら“ひとり旅”がおすすめです。

 今のホテルは清潔で、ひとりで泊まっても安心です。その場合、できるだけ新しいホテルを選ぶこと。新しいホテルは空調もよく効きますし、バリアフリーがしっかりしていて、お風呂に入る時の敷居も非常にラクです。その日にキャンセルが出たりするので、予約をする時は、当日の朝か前日の夜が狙い目です。

 女性はひとりで食事はできないという人がいますけど、外に出るのが嫌なら駅弁とデザートとコーヒーを買ってきて部屋で自分のレストランを作ればいい。外で食べたければ、フロントの人に「ひとりで行って気楽なお店はありますか?」と聞けばいいんです。

 うちは夫婦で旅する場合、「夕方何時までに着く」と約束をして別々に出発します。そうすれば1回で、ひとり旅とふたり旅の両方を楽しめます。長年連れ添った夫婦は、もうあまり話題がないんです。だから黙々と食事をしていたりする。ホテルのレストランで楽しそうなのは、ワケありカップルくらいですよ(笑い)。

 でも別々に行けば、それぞれの道中の話題ができます。そんなふうに、話題を提供できる仕掛けをたくさん作ればいいんじゃないかな。

趣味は20個くらいないとダメ

 昔好きだったことをもう一回やってみるのもいいものですね。人間の体は4年くらいで新しい細胞に変わると医者が言っているのを聞いて、ぼくは4年に1度、新しいことを始めるようにしています。

 絵を描いたり、ギターを弾いたり、将棋を指したり。昔やって体が覚えていることは割と飽きないから不思議です。銀行マンで出世した友人に、「定年して何をやっていいかわからない。趣味を持ちたいけど何かないかな」と言われたので、「趣味を1つ持とうなんていうのはでたらめで、20個くらい持たないとダメだよ」と、脅してやりました。

 それも、若い頃に映画ばかり見ていたとか、山登りしていたとか、遊んでいた人の方が年を取ってから強いですね。神様がうまい具合に計はからっているようで、若い時に無駄をしたと思うことが、年を取ると生きてくる。無駄をしてないと年を取ってすがるものがないんです。

自分の終い方を決めておく

 年を取れば当然よろけます。歩くのが遅くなるし、へまもするし、忘れっぽくなるし、みっともなくもなる。でも、それが年を取るということ。それを認めることから始まるわけです。

「死」についても、最近は自分で選べる時代になりました。今は延命装置が発達しています。もし、それを望まないなら、生きているうちに意思表示をしなければいけない。

 ぼくは夫婦で『日本尊厳死協会』というところの会員になっていて、「延命治療は望みません。痛み止めだけは処置をお願いします」という意思を伝える証明カードを持っています。人生の役割はもう終わったのだから、安らかに“おさらば”するのが自分も家族もいちばんいいと思います。

 これまでずっと、どんなふうに生きるかという選択をしてきた。最後はどんな死に方をするのか、決めておくのがいいと思います。とても安心できますよ。

「人生は下り坂にこそ楽しみがあるんです」と語る、ドイツ文学者・池内紀さん(77才)

撮影/豊田和志

※女性セブン2018年2月1日号

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  1. イチロウ より:

    天上天下唯我独尊、何と言う名句でしょうか。 私の信条そのものです。

    旅行どころか、何から何まで自分一人です。 ただし、我が家の愛猫達のために数十年程以前から旅行は日帰りのみ。 その頃から高速道路や本州と各島との連絡橋が整備されましたので、その昔には泊付でないと無理だった場所が日帰りで可能になりましたから。

    趣味のトレッキングでは、単独行のみですので、その昔には死にかけたことがありました。 でも、甥を連れて行った時には安全第一でしたが。 今は、昔々、両親と共に訪れた近郊の地を、当時の道程を思い出しては、再訪しています。 数十年の後でも、意外に同じ風景が見られるので驚くことが多いです。 建物等は、立て替わっても街や野外の風景そのものは、変わっていない、と言うことなのでしょう。

    外国語、主に欧州の言語の習得も趣味ですが、英語以外は、なかなか進展しません。 でも、昔と違い、今ではネットの御蔭で以前は習得が難しかった言語の勉強が手軽に出来るようになりました。 例えば、スウェーデン語です。 昔は、ストックホルムの放送局等は、短波ラジオでも聴取が困難でしたが、今では、簡単です。 北欧諸国語の中でも他の言語とは違い習得が断然難しいフィンランド語も本国からの放送等が手軽に聴けますので習得するにも、各段に便利になりました。

    今月になり、スウェーデン語の学習書と文法書を新規に買い、昔、初歩で学習を止めたものを新しく勉強し直そうと思っています。 スウェーデンの人達は、何方も英語が出来るのでスウェーデン語で会話する必要はないのですが、あの言葉の音声に惹かれているのです。

    自分の経験から、高齢者には、外国語の習得をお勧めします。 ピーチクパーチク会話のみではなく、正式に文法学習を含めての習得を、です。

    7+

  2. ミミちゃん より:

    74歳。食べること、一人旅、楽しんでいます。
    過去4年の間に、連れ合いと母との永遠の別れ。「ぼっち」になってしまった。9年前に乳がん、股関節の手術を受けましたが、現在心身共にOK.日々感謝の気持ちで過ごしています。
    国内外、旅行社を通じて申し込んだり、ツアーに参加したりしていましたが、旅行社も世代代わりで、儲け重視がありありと見えてヤメ~。
    ネットでワクワクストレスを溜めながらも、一人旅を組んだ時の達成感。肉体年齢に優しく、精神年齢で旅を楽しんでいます。

    8+

  3. たもり より:

    失礼します
    小生 77歳です 今が最高 ただ不整脈発症(しかし循環器専門の名医に巡り合えた) 夜は9時に寝て 朝は4時半に 起きる そして小さな我が家の 拭き掃除
    そして お茶を飲む 家内が 起きてくるまでの 至福の時 新聞 PC 食事が済む
    と お城付近を 歩く 血液検査項目 全部 真ん中 そうそう もうひとつ 大事な
    楽しみがある 麦焼酎(どんどこどん)を少し?だけ 飲む 友 は無 寂しく ない
    そうそう 大穴 狙いの競馬 時たま ゲツト  もひとつ テレビ の録画を 綺麗な
    景色 だけ 編集して残し それを 見る楽しみ まだまだ 頑張り たい 失礼します

    8+

  4. 赤松純一 より:

     一人旅向きの人とそうでない人って
     もうキャラかな?って思う事があります。
     とにかく人と合わせて行動するのが死ぬほど嫌な性格なので
     大勢で旅行するのが楽しいって理解できませんが
      一人旅ができないって言う人の気持ちもわからない訳じゃない・

    5+

  5. デグリン より:

    死に際を決めておくのは、とてもいい事だと思います。
    私も子供達の厄介になるくらいなら、ここが潮時かな?と感じた時取る行動を考えてあります。
    やはり、見極めることが最後には大切かな!と思う今日この頃です。

    7+