2020.03.24    1

高木ブーが明かすあのキャラの誕生秘話【第13回 雷様に感謝】

「高木ブーといえば雷様」というイメージは、日本の津々浦々まで浸透している。あの緑色のコスチュームを着た雷様は、『ドリフ大爆笑』のコントから生まれた。今もステージなどで雷様になる機会が多い高木さんは、自分の代名詞となっているキャラクターについて、どんな思いを抱いているのか。ヘソを隠しながら聞いてみた。(聞き手・石原壮一郎)

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雷様になると好きなことが言えて楽しかった

 街を歩いていると、今でもたまに「雷様ー!」って声をかけられるんだよね。去年の秋に群馬であった「山人音楽祭」っていう音楽フェスでも、僕がステージに上がるときに、若いミュージシャンがみんな色とりどりの雷様の格好をしてくれた。もちろん、僕も雷様になってね。

 会場の人も喜んでくれてすごく盛り上がったんだけど、そしたら最後に若い雷様のひとりが大泣きしちゃってさ。あとで聞いたら、子どもの頃から大好きだった雷様と共演できて、感極まったんだって。なにも泣くことはないんだけど、そんなふうに思ってくれるのは嬉しいかったな。

 緑色の雷様のキャラは、フジテレビでやってた『ドリフ大爆笑』のコントから生まれた。僕が緑の雷様で、長さん(いかりや長介)が黒、仲本(工事)が赤。『8時だョ!全員集合』でやってたと勘違いしている人もいるけど、雷様のコントは1985(昭和60)年に「8時だョ」が終わったあとに始まったんだよね。

 加藤茶と志村けんが別の番組を始めて、スケジュールの都合でふたりとは別に、長さん、仲本、僕の3人で収録せざるを得なくなった。もちろん、仲が悪いとかそういうことじゃないよ。単純にスケジュールの問題。3人で何をやろうってことになったときに、ああいうスタイルでのコントをやってみたら、それがウケちゃった。

 セリフをたくさん言うイメージがなかった僕が、ボヤキ漫才みたいに、長さんに向かって「給料あげてくれよ」って文句言ったり「このバカ」って言っちゃったりするのが、意外な感じで面白かったのかもしれないね。やってる僕としても、普段は言えないけど雷様の格好しているから悪態ついても許されるみたいなところがあって、すごく楽しかった。

 長さんは「8時だョ」が終わったあとも、僕らひとりひとりをどう生かすかを考えてくれてた。あえて僕にしゃべらせようと思ったんだろうな。3人とも雷様の格好はしてたんだけど、今でも雷様といえば僕を思い出してもらえる。ありがたいよね。まあ、太ってるから雷様が似合うっていうのもあるかもしれないけど。

 雷様のコントでは、楽器もたくさん弾かせてもらって、あれで初めて「高木ブーって楽器できるんだ」って思った人も多いんじゃないの。

作画/高木ブー

 なぜかあの緑の雷様は、よく妻のノロケを言ってた。「妻が俺に惚れててさ」なんて感じで。そういえば長さんが本番中に、今は亡き妻に電話かけて、いきなり出演させちゃったこともあった。「奥さんがこのコントに出てくださるって、ブーさんが言ってるんですけど」とか言ってね。「いえいえ、私には無理です」って必死で断ってる妻は、あえてノロケちゃうけど、とってもかわいかったな。

 20年ぐらい前にNHK教育テレビ(現・Eテレ)でウクレレの番組をやったときも、雷様の格好で出てくれって言われた。他局の番組で生まれたキャラなのに、NHKってすごいなあって思ったね。そこであらためて、高木ブーにとって雷様というキャラがいかに大きな存在で大事な財産なのか、気づかせてもらえたかもしれない。

 これもNHKだけど、去年の春にさだまさしさんが夜中にやってる「今夜も生でさだまさし」に出たときも、雷様の格好でウクレレを弾いた。雷様になると不思議な力が湧いてきて、エンディングのときなんてステージでちょっと踊ちゃったもんね。いつもはグースカ寝てる時間なのに。身体の中に電気がみなぎるのかもしれないな。

 もちろん、雷様のコスチュームは自前で持ってる。みなさんが喜んでくれる限り、死ぬまで雷様を続けますよ。もはや、僕と雷様とは一心同体だから。だけど、緑の雷様がいくらぼやいても、突っ込んでくれる黒い雷様の長さんがいないのは、ちょっと寂しいな。

「高木ブーにとって雷様というキャラは大きな存在で大事な財産です」

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高木ブー(たかぎ・ぶー)

1933年東京生まれ。中央大学経済学部卒。いくつかのバンドを経て、1964年にザ・ドリフターズに加入。超人気テレビ番組『8時だョ!全員集合』などで、国民的な人気者となる。1990年代後半以降はウクレレ奏者として活躍し、日本にウクレレブーム、ハワイアンブームをもたらした。CD『美女とYABOO!~ハワイアンサウンドによる昭和歌謡名曲集~』など多数。著書に『第5の男 どこにでもいる僕』(朝日新聞社)など。2月末に発売された野村義男さんのソロアルバム「440Hz with〈LIFE OF JOY〉」(エムアイティギャザリング)では、沖縄風のハワイアン「ヤシの木の下で」で伸びやかな歌声を披露している。

取材・文/石原壮一郎(いしはら・そういちろう)

1963年三重県生まれ。コラムニスト。「大人養成講座」「大人力検定」など著書多数。この連載ではブーさんの言葉を通じて、高齢者が幸せに暮らすためのヒントを探求している。

撮影/菅井淳子

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  1. ミミ より:

    高木ブーさん、大好き!!!
    子供の頃から、ドリフで楽しませてもらってましたが、
    主人がウクレレを始めてから、ブーさんの素晴らしいウクレレ演奏と、
    何とも癒される歌声を知って、大、大、大、、、感動!!!!!
    この連載からも、穏やかな人柄がにじみでてますね。
    だから、あんなふうに演奏できて歌えるのだとわかります。
    ずっとずっと、お元気で演奏続けてください♪(๑ᴖ◡ᴖ๑)♪

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