2018.02.21 |暮らし   

孤独死相次ぐ高齢化団地 おむすびプロジェクトで活性化

 住民の約半数65才以上、2017年には1年で6件の孤独死があったという多摩ニュータウン団地は、“都会の限界集落”の代表格だ。

 孤独死が相次ぐ多摩ニュータウン団地の一角にある都営愛宕団地。この団地がある愛宕三丁目の高齢化率は58.4%で、10人中6人が65才以上だ。

  団地にエレベーターはなく間取りや内装も昔のままで、ベランダには着崩れした地味な洗濯物が並ぶ。バス停から聞こえるお年寄りの会話は、「実は狭心症やっちゃってさ」「私は肺炎で入院していたの」といったシビアな内容ばかりだ。そんな現状を、「高齢者が多いということはそれだけ長生きだという証」ととらえ、少しでも住民が楽しく元気に生活できるよう、昨年、あるプロジェクトが立ち上がった。

高齢化が進む団地で始まった“プロジェクト”とは?

コンビニ弁当やカップ麺で食事を済ます高齢者が増加

 プロジェクトの発起人である多摩市社会福祉協議会の松浦隆浩さんが言う。

「きっかけは団地のゴミ捨て場でした。地域の福祉推進の会議中、『ゴミ捨て場にカップラーメンのカップやコンビニ弁当の容器がたくさん捨てられている』という話が出た。とくに単身の高齢者は、食事を作るのが億劫になってカップ麺やコンビニ弁当に頼っている。だから“食”を提供して住民同士のコミュニケーションを図ることにしたのです」

 問題は何を作るか。高齢者だけに手の込んだ料理は難しい。手頃で栄養があり、おいしい料理は何かと考えて、「おむすび」という結論にたどりついた。

具材を持ちよって、一緒におむすび作り

「ただ一緒にご飯を食べるのではなく、住民に“会話のきっかけ”を作ってみてはどうかとのアイディアから、各自が握ってみたい具材を持ちよることにしました」(松浦さん)

 団地住民の1人として企画を進める松本俊雄さん(69才)は、この「おむすびプロジェクト」を告知する手作りの広報誌を全戸に配布して参加を呼びかけた。おかげで2016年6月に初開催されたプロジェクトには団地住民28人が参加。

「あら、塩辛入れるの?」
「ウチは昔から筋子よ」
「それ、おいしそうね。私にもくださいな」

 と、会場のいたる所で住民同士の会話に花が咲いた。松浦さんはホッと胸を撫で下ろしたという。

「秋田出身のかたが偶然2名いらして、具材のやり取りのなかでお互いに同郷であることを知って驚いたり、長野出身のかたが野沢菜のうんちくを楽しそうに講釈したり(笑い)。同じ団地なのに互いのことを知らないかたたちばかりだったので、いい交流ができました」(松浦さん)

 その後、回を重ねるごとに参加者は増えている。

「参加することで新しいお友達ができるとあって、『今度はいつ?』と楽しみにされるかたばかりです。いつもうつむきながら道端を歩いていた80才くらいのおじいさんが参加してくれた後に近所で出会った時、『こんにちは!』と明るく挨拶してくれた時は、本当に嬉しかったです」(松本さん)

※女性セブン2018年2月15日号


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